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整理の整理 〜システム・レビューの必要性〜

倉下忠憲
著名人が使っている整理システムを運用してみたが、どうにもしっくりこない。あるいは、最初完璧に見えた整理法がいつの間にか機能しなくなっている、という事はありませんか。

整理は理をもって整えることです。しかし、どうもそれだけでは十分ではないようです。

今回は整理についてのまとめ、ということで「整理の整理」について考えてみます。

他人の整理システム

いろいろな方が自分の「整理システム」を公開されています。デジタルであったり、アナログであったりと方法論は様々ですが、最前線で活躍されている方たちはそれらのシステムを使って、日々を乗り越えておられます。

そのシステムはもちろん「理」によって整えられたものです。

問題は自分の「理」と他人の「理」が異なる事です。似たような職種ならばある程度は許容できるかもしれませんが、全く別の業種であれば必要な情報やその使い方というのは全く違うといっても良いでしょう。

他の人の整理システムを運用していくためにはこの「理」と「理」の壁を越えるものが必要になってきます。
※自分の「理」を知っていることは前提です。

当初完璧なシステム

自分の状況に合わせて独自の整理システムを考え出したとしましょう。それはおもわず他人に紹介したくなるくらい「完璧」なシステムで日々の情報整理をスイスイとこなす事ができるものでした。

しかし、時間が経つとどうでしょうか。どうにもしっくりこない。なんとなく面倒な事が増えた・・・結局ほとんど整理も無い状況に戻ってしまう。

最初は「理」を持って整えていたはずのシステムが機能しなくなる。これもよくあることです。システムを使い続けられるように維持していくものが必要ということです。

整理の整理

上に挙げた両者において必要なものは実は一つです。それは「整理のシステムそのものについて検証する作業」です。それを「システム・レビュー」と呼ぶ事にしましょう。このシステム・レビューがシステムの持続性を支えるものになります。

他の人の整理システムを使っている場合、必ず使いにくいところ、あるいは全く必要のないものが見つかります。それを放置しておかないことです。なぜそれが使いにくいのかを考えたり、あるいは必要のないものに関して別の方法論は無いか、あるいは削除しても問題ないかを考えます。

こうして少しずつ見直す作業を行う事によって、自分の手の形に合った道具を作り上げていくように整理システムを作り替えていく事が必要です。

これは、自分で考えたシステムの場合でも同様です。

当初は完璧に機能していたシステムも「変化」の影響を受けます。

時間が経つにつれ環境がかわり、自分の関心ごとがかわり、ツールが変化し、アプリはアップデートします。そのような状況の変化を無視しては、整理システムは機能しません。

例えば、私は少し前に「Evernote」をプレミアムアカウントにグレードアップしました。一ヶ月の上限アップロード容量が上がったことで、なんでもかんでもEvernoteに入れるという習慣がつきました。それまでは一週間に一度ノートを整理するという形でうまく機能していたのですが、一週間もinboxを放置すると手をつけるのも億劫になるぐらいの量のノートがたまる状況になってしまいました。結局一日に一回ノートを整理するという形に変更し、現状は「適応」しています。

またそれ以降、タグ付けにかかる手間を徹底的に削減するにはどうすればよいかを考え続けています。処理すべきノートの数が増えた以上、システムのどこかを変更しない限りは、どんどん整理そのものに追われる時間が増えていってしまいます。

必要な事は、環境の変化に合わせて整理システムも変更していくことです。そのためには適時のシステム・レビューが必要になってきます。

 

まとめ

整理された机の上というのはなかなか気持ちの良いものです。それは本棚でもPCでも同様でしょう。しかし、それは一度不必要な物を捨てて終わり、というものではありません。毎日少しずつ重ねていく成果の結晶であり、継続こそがその鍵です。

まずは、

「完璧な整理法など無い」

という認識を持つ事がスタートになります。そんなシステムを夢見ているよりも、現実的に機能する整理方法を改善しながら使い続けていく方がよほど生産的です。

そして完璧な整理法が存在しない以上は、常にレビューしていく必要が出てきます。それは他人のシステムでもオリジナルのシステムでも同様です。

機能する整理とは、

・理を持って整える事
・理そのものを整える事

この二つを満たす「整理システム」の事です。まずは、現状の自分のシステムについて見直してみてはいかがでしょうか。

▼関連エントリー:

整理を始める前に考えたいこと ~汝自身を知る~ 
「モノ」と「情報」の整理の差 
知的生産における情報の整理 

▼今週の一冊:

今週は、ちょこちょこ昔の本を読み返していたのであまり新刊は読めていません。ちなみに読み返していた本の一冊が以下の本です。

リフレクティブとは内省(振り返り)です。組織の中で部下を持つ人はどのような振る舞いをすべきか、そして社会の中でどのように成長していくべきか、という大人の教育論にまで話題は及びます。整理のシステムでも、人の成長でもレビューはとても重要ですね。

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する
中原 淳, 金井 壽宏
光文社 ( 2009-10-16 )
ISBN: 9784334035280
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

 

▼編集後記:倉下忠憲
長々と整理について書いてきましたが、とりあえずはこれでいったん終了です。ざらっと知的生産にまつわるテーマは触れてきました。残りは「発想法」あたりでしょうか。これまた難しいテーマです。

 

 
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。