今回は、現状のMy 知的生産ツール群を紹介してみます。言い換えれば、知的生産システムの構成です。
大きな部分は数年間変わっていませんが、最近、少し変化がありました。その辺もからめてご紹介します。
全体像
単純に切り分けるのは難しいのですが、図式化のために「Workling」と「Sharing」の二軸を設定してみました。
「Workling」は、作業・プロセス中ということで、何かを生み出す際の工程をイメージしています。対する「Sharing」は、ミニなアウトプット行為です。
この二つの軸が、物書きとしての私の仕事の多くを占めています。
中心はやっぱりEvernote
データ保管の中心となるのは、Evernoteです。
Evernoteは大きく二つの役割を担っています。
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- 総合inbox
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- 総合パーソナルライブラリ
まず、「総合inbox」ですが、ごく雑にいえばメモの受け口ということです。
メモに関しては「FastEver 2」という極めて使いやすいiOSアプリがあり、MacOSではメニュー右上に表示されるクイックノートが便利なので、そこからどんどんメモを放り込むようにしています。
また、メモ以外でもさまざまな情報がEvernoteに入るようになっています。IFTTT連携、メールによるノート作成機能が大活躍です。
さらに、利用し終えた情報の保管場所としてもEvernoteは活躍しています。それが「総合パーソナルライブラリ」ということです。Webクリップ、書き終えた原稿、使用したデータ、備忘録的情報がEvernoteには集結しています。
まずEvernoteに入り、使う場合はいったん外に出し、使い終えたら再びEvernoteに戻ってくる。そのような情報の流れのイメージです。
作業
仕事のうち、「本を作る」という作業においては、WorkFlowyが活躍します。いわゆる「アウトライン」を扱う作業です。
まず最初に全体となる構成案を立て、それに基づいて文章を書き進め、不具合が生じたらアウトラインに戻って流れを調整する。それを繰り返して執筆を進めていきます。
一通り原稿が完成したら、それらをScrivenerに移し、全体を整えていきます。
そうして本の完成を目指すのが一つの仕事です。
共有
本作りのような大きなアウトプットではなく、小さく断片的なアウトプット、あるいは情報の種まきのような活動もあります。それがSharingです。
TwitterとBlogがその主戦場で、最近そこにScrapboxが加わりました。そして、関係性はやや複雑になっています。
毎日のTwitterのつぶやきは「ツイエバ」によってEvernoteに保存されますが、連ツイ(連続ツイート)のような粒度の少し大きいものはScrapboxにコピペしたりもします。
Blogは読み物記事を提供する場所で、こちらもアーカイブはEvernoteに保存されますが、何度も登場するようなキーワードについてはScrapboxにページを作っています。
逆にScrapboxからTwitterやBlogに情報をどうにかすることはほとんどありません。ここは一方通行です。
Twitterはミニマムなアウトプットを、Blogは読み物のアウトプットを、Scrapboxはそれらの中間的なアウトプットを提示する場所で、Scrapboxに蓄えられた知見・情報はネットワークを形成していきます。
そうして形成されたネットワークが、最終的に本のコンテンツになることもあるかもしれません。そうしたときは、ScrapboxからWorkFlowyやScrivenerに情報が渡されることでしょう。
まとめ
今回は、私の知的生産システムの構成を簡単に紹介してみました。ここに出てこないパーツもありますし、見えない関係性もありますが、大雑把ではこんなところです。
で、やはり質的に大きな意味を持つのがScrapboxです。このツールの登場によって、いろいろなものが──特にメモの扱いが──変化してきました。簡単に言えば、これまで機能していた「内と外」の境界線の意味合いが急激に薄まってきたのです。
そしておそらくそのことは、知的生産活動全体の意味合いも少なからず変えてしまうことでしょう。そういう予感があります。
▼今週の一冊:
というわけで、宣伝なわけですが、月末にScrapboxの本が出ます。電子書籍版も発売されるとのことなので、そちらもご期待ください。
Follow @rashita2
よ〜〜〜やく脱稿に至って、やれやれな状況ですが、販促の動きだとか、次の本の準備だとか結局やることは山盛りで、落ち着く暇はあまりなさそうです。それでも、切羽詰まった感は急激に減少したので、心理的には落ち着いております。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中。