昔はいろいろなノートを使っていたのですが、最近はかなり落ち着いています。メインはKOKUYOさんのCampusノート。中横罫で100枚の分厚いノートです。
1ページ目は、まあ中二病的ご愛敬ですが、
その後は普通に記述が続きます。
で、ご覧の通り、このノートには二種類のページバリエーションがあります。これを私は「フレキシブルノート術」と呼んでいます。融通が効くノート術、ということですね。2016年の11月からこのノートスタイルを続けていますが、今のところはうまくいっています。
というわけで、今回はこの「フレキシブルノート術」を紹介してみましょう。
タイムラインノート
一種類目のページが、「タイムラインノート」です。どちらかと言えば、こちらが主要となります。
作り方は簡単で、左から4つめのポイントに縦線を引くだけ。縦線は下敷きで引きました。あとは、そこに「ちょっと思いついたこと」をどんどん書き付けていきます。その際、欄の左側に日付を、右側に内容を記入します。もし、その内容に「タグ」(※)を付けたいなら、左側の日付の下にでも書き込んでおきましょう。
※上の画像では「のきばトーク」がタグです。
分類も項目も階層も気にすることなく、ただただ時系列で「思いついたこと」をキャッチしていくためのノート。それがタイムラインノートです。また、基本的には右側のページしか使用しません。のちのちの追記のため左側のページはまるっと空けておきます。
スプレッドノート
二種類目のページが、「スプレッドノート」です。位置づけ的にはタイムラインノートの補佐となりますが、使い方によってはこちらのページ数の方が多くなることもあるでしょう。
ご覧のように、スプレッドノートではタイムラインノートのような縦線を引きません。また、見開きの2ページを一つのトピックのために使います。そのため、日付やタイトルについてはページの上部に書き込みます。
では、このページ内部には何を書き込むのかと言えば、「考えること」を書き込みます。もう少し言えば、1つのテーマについて意識的に考えを発展させていくときにこのページ(フォーマット)を用います。
※新刊の表紙デザインのラフ案
※どんなコンテンツを書いていくのかについての整理
※『勉強の哲学』の読書メモ
スプレッドノートには、「このように書かなければいけない」という制約はありません。むしろ、自由に考えを拡げていくためのノート(フォーマット)がスプレッドノートです。
もし、連続するテーマでかつ間隔を置いてスプレッドノートを作成する場合は、ページの左上にテーマ名を記入しておくのも良いでしょう。こうしておけば、後からそのテーマのページだけをすぐさまピックアップできます。
改めてフレキシブルノート術
「フレキシブルノート術」について整理しておきましょう。
まず、普段は「タイムラインノート」に思いついたことをバンバン書き込んでいきます。ページが一杯になれば、次のページに移り、また縦線を引いて、そこに思いついたこと書き続けていきます。
しかし、ときどきは「あっ、あれについて考えないと」と具体的なトピックが思い浮かぶこともあるでしょう。その際は、ページを改めて、見開き2ページを自由に使い、考えを拡げていきます。一人ブレスト、アイデア出し、内容の検討などなど表現はいろいろありますが、何かについて意識を向けて思考を発展させていく作業を行うのが「スプレッドノート」です。
もちろん、そのページが終われば、また次のページからは「タイムラインノート」が復帰しますし、アイデア出しを続けたいなら次のページも同名のトピックでスプレッドノートを作成すればよいでしょう。何をどのように続けるのは、そのときの自分次第です。それが「フレキシブルノート術」の肝となります。
二つの「思考」
このように二種類のフォーマットを設けるのには理由があります。人間の思考は、無意識で受動的な思考と、意識的で能動的な思考の二種類から形成され、前者は着想と、後者は思考(思索)と呼ばれます。そして、前者を掴まえるのがタイムラインノートで、後者を掴まえるのがスプレッドノートです。
脈絡なくうかぶ着想は、自由記述に書き留めようとすると混乱します。だからタイムラインに沿う形で記録します。逆に、発展・展開させたい思考にとって、タイムラインは邪魔でしかありません。よってそれは自由記述のフォーマットで拡げていきます。
この二種類の形式を備えたノートこそが、思考を扱うのに最適なわけです。
さいごに
この「フレキシブルノート術」では、あらかじめ何かを決めることをしません。つまり「ノートの前半はタイムラインノートで、後半はスプレッドノートで」のような取り決めを経ることなく、そのたびことに必要なノートを作成していきます。
だから、ひたすらにタイムラインノートが続くこともあれば、逆にスプレッドノートばかり、ということもあるでしょう。別にそれでまったく構いません。ノートの形式に思考(とその発現)を合わせるのはちょっと変です。思考(とその発現)に合わせてノートを作っていくのがスムーズでしょう。
ちなみに、「フレキシブルノート術」は基本的なルールは非常に少ないのですが、凝ろうと思えば、目次ページを作ったり、その他の装飾も可能です。そのあたりは個人のお好みで構いません。ただ、あまりやり過ぎると、ノート作りが面倒になるので、ほどほどにしておくのが良いでしょう。
9月もあと一週間しかありません。でもって、電子書籍はまだ校正の段階で……いやはや間に合うのでしょうか…。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。