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3つのプロジェクトと7つのテーマ



倉下忠憲限定すること。

物事を前に進めるためには必要なことです。

どれだけ可能性があろうとも、スキルや才能に恵まれていても、尽きることのないお金持ちでも、友達が一億人いても、一人の人間が一度にできることは限られています。

体は常に一つで、時間は限られており、注意を振り分けられる対象と、短期記憶が扱える量はちょっとびっくりするくらい少ないものです。

無限の可能性と、有限の人間。

これをつなぐのが、限定化です。

今回は、私が長い間実践している限定化と、今年から意識し始めた限定化の二つを紹介してみます。

3プロジェクト

こちらは長い間実践している方です。

「一つの期間中に、コミットするプロジェクトを3つに限定すること」

シンプルな考え方ですね。元になっているのは、レオ・ボバータの『減らす技術』に出てくる「シンプル・プロジェクト・リスト」です。まず手持ちのプロジェクトを洗い出し、その中からトップ3のものだけを選び出して、別のリストに書き出す。それが「シンプル・プロジェクト・リスト」です。

ボバータのやり方では、選ばれた三つが達成されるまで、別のプロジェクトには一切手をつけないという決まりがありますが、私はアレンジして、一つのプロジェクトが達成されるたびに、別のプロジェクトを選出し、常に3つのプロジェクトを抱えている状態を維持するようにしています。

また、新規選出のタイミングで、すでにリストに入っているプロジェクトを外すこともあります。コミットすると決めたものの、事情が変わって……みたいなことが起こりうるのが人生ですから、そういう柔軟性は持っておきたいところです。

ちなみに、ここでいうプロジェクトとは、複数の行動や工程が必要で、達成に数日以上の時間がかかる企画のことで、一定の周期で繰り返されるルーチンとは区別しています。たとえば、書籍の執筆はプロジェクトで、シゴタノ!の更新はルーチンとなります。

この二つの区別は案外大切で、なぜかというと、ルーチンには「終わり」がないからです。終わりのないものを「3つのプロジェクト」に組み込んでしまうと、一部分が「固定化」してしまい、そこに新鮮味・真剣味が感じられにくくなってしまうトラップがあります。それを避けるためにも、ルーチンはプロジェクトとしては扱わない、というルールが(私の中には)あります。

さらに付け加えておくと、「コミットする」というのは、その達成に責任を負うことを意味していて、つまりは真剣に取り組むということです。逆に言えば、真剣に取り組まない形でのプロジェクトとの接触はありえます。

ボバータのやり方では、選んだ3つ以外のプロジェクトには決してタッチしないことになっていますが、私は軽く触ることはよくあります。ただし、それは途中でダメになっても、止めてもまったく気にしない程度の関係性に留めます。

7つのテーマ

こちらは今年からスタートしたことです。

私の興味関心は、「一本集中」というよりは「多岐分岐」(悪く言えば八方美人)なので、あえてとりまとめるようなことはせず、地に根が伸びるように自由に展開させていたのですが、それではいつまでたっても「まとまり」みたいなものは生まれないな、ということにここ最近気がつきました。「まとまり」というのは、「まとめよう」とする中で生じるものなのです。

そこで、「このネタ(アイデア)は、あのテーマにつながりそうだな」と思ったら、できるだけそこに関連づけるようにしているのですが、問題はそのテーマです。テーマの数が多すぎると、「あのテーマ」というのがうまく想起できないのです。認知の限界を超えてしまうわけですね。

そこで、マジカルナンバーの登場です。

だいたい7つくらいまでなら、「あのテーマ」と想起できるのでは? そう考えて、自分の手持ちの興味を書きだし、それをグルーピングしてみました。

※?が入っているので、実質は6つです。


まずこの大きなグルーピングがあり、面白そうなネタは、このどこかに位置づけられます。もちろん、この下にもグルーピングがあるわけですが、その数も7つに留めておけば、チャンクの力が発揮されて、それほど大きな混乱は生じません。つまり、合計49個の中テーマを頭の中にぶら下げておくことができます。一人の人間が一定期間で扱うテーマ数としては十分な数でしょう。

もちろん時間が経過すれば、中テーマの見直しや、それに伴う大テーマの再編も行った方がよいことは間違いありません。

さいごに

というわけで、今回は二つの限定化について紹介してみました。

デジタル時代に入って、私たちはさまざまな自由と無限に近い情報を手にできるようになっています。でも、だからこそ、限定化を意識して行わないと、状況が手に負えなくなってしまいかねません。そしてその限定化は、やはり私たちの意識や注意に沿って行われるのがベストでしょう。


▼参考文献:

かなりストイックな「減らし方」が紹介されているので、ある程度はアレンジして運用してみるのがよいかもしれません。



▼今週の一冊:

佐々木さんの新刊です。というか、発売されたばかりなので、読み始めたところです。一体仕事の渋滞がいかにして「心理学」で解決できるのか。今から楽しみです。



▼編集後記:
倉下忠憲



この忙しい師走に若干体調を壊してしまったので、原稿の進捗もブレイク気味です。まあ、ぼちぼちやっていきましょう。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


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