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〈ライフハックは楽しいかね?〉な一冊



倉下忠憲四月となりました。新入社員として新しい環境で働き始めた人も多いかと思います。

仕事を覚える、ルールを学ぶ、技能を向上させる……、やるべきことはたくさんあります。やりたいことだってたくさんあるでしょう。もちろん、うまくできることもあれば、そうでないこともあります。成功と失敗を比べてみれば、後者の方が若干多い。そんな状態かもしれません。

同じような境遇の「僕」が主人公である物語を書きました。

» Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)[Kindle版]


私の大好きな『仕事は楽しいかね?』と同じように、主人公がメンターに教わる話です。しかし、テーマはビジネス的成功ではなく、ライフハック──そんな一冊です。

概要

中心的なテーマは仕事術やライフハックです。

タスクリストやチェックリスト、それにリマインダーといったものが扱われています。しかし、具体的なテクニックが豊富に紹介されているわけではありません。流行りのビジネス書とは真逆のアプローチと言えるでしょう。「今すぐできる」といった即効性の高いノウハウとは、ずいぶん距離がある内容です。

その代わり、ライフハック的なものはなぜ有効なのか、どのように機能するのか、どうやって付き合えばいいのかを掘り下げています。その意味で、(シゴタノ!の)大橋さんがよく言われる遅効性を目指した本と言えるかもしれません。

今すぐには「役に立たない」かもしれないが、ジワジワと効いてくる本。そんな位置づけです。

目次は以下の通り。

第一章 傘忘れの憂鬱
第二章 カオティック会議
第三章 デートのアート
第四章 タスク・ジャグル
第五章 忘却のメビウス
あとがき

「傘を忘れる」という身近な話から始まり、その他の日常的な話題をライフハック的(仕事術的)に解決していく道筋が、メンターである〈ハカセ〉と僕の対話によって示されています。

どう読むの?

一応というか歴とした物語作品ですので、肩肘張らず読んでもらえればよいかと思います。

読書メモもレバレッジ・リーディングもおそらく必要ありません。頭から読み始め、最後まで読み通していただければ、否応なしに頭を動かすことになるでしょう。少なくとも、それを意図して構成してあります。

魚を与えるか、魚釣りの方法を教えるかで言えば、本書は後者を目指している本です。なので、今すぐ魚を求めている場合は、肩すかしを食らってしまうでしょう。むしろ純粋に楽しんで読んでいただければ、「僕」やサクラさんのように、ハカセならこう言うだろうな、という思考アプローチがインストールされるはずです。

「どうすればいいと思うかね?」


さいごに

即効的なノウハウ本は、すでに世の書店にたくさん並んでいますので、本書はそれとは違う路線を目指しました。ある意味で、そうした本と補完的に位置づけられる内容だと思います。

そもそもとして、即効的なノウハウを活かすには、それがなぜ機能しているのかという理解や、それとどう付き合えばよいのかという姿勢みたいなものが、前提として必要になるでしょう。

でなければ、「ノウハウはたくさん知っているけど、それらを使えない」という状況に陥りかねません、あるいは応用を欠いた極めて限定的な使い方しかできないこともありえます。ノウハウの持ち腐れというやつです。

本書が、ノウハウ・バカから抜けだし、ライフハックと楽しんで付き合える手助けとなれば、望外の喜びです。

» Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)[Kindle版]


» 仕事は楽しいかね?[Kindle版]


▼編集後記:
倉下忠憲



ついに4月が始まってしまいました。今年もじわりじわりと残り時間が少なくなってきています。次の電子書籍の発売は3ヶ月後を目処に考えていますが、まずかーそるの第二号を完成させないと……。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


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