というわけで、佐々木さんの今週のエントリーの物まねです。今年も面白い本とたくさん出会えたのでおすすめしたい本はいくつもあるのですが、それらを全て並べるわけにもいきません。佐々木さんと同じように一定の基準を設けて7冊セレクトしてみました。
ちなみにその基準とは
- 面白かった本
- 知識を蓄えるというよりも、「物の見方」を変えてくれるもの
- 「2010年に読んだベスト10冊」で紹介されていない本
- 自分の著書でないもの(といっても数はありませんが)
です。ちなみに順番は本棚で目に付いた順です。年末年始の読書の際の参考にでもお役立てくださいませ。
「物の見方」を改める7冊
『デザイン思考が世界を変える』
「発想」についての考え方が大きく変わる一冊です。機械的な組み合わせによる発想や、フレームワークによる発想とは違ったルールによる発想があり得ることを知る事ができます。また、その効果のほども。
デザイン思考は、人間中心であるというだけでなく、人間の本質そのものといえる。直感で判断する能力。パターンを見分ける能力。機能性だけでなく感情的な価値を持つアイデアを生み出す能力。単語や記号以外の媒体で自分自身を発信する能力。それを重視うするのがデザイン思考だ。
これからは「デザイナーのごとく思考できる」人が求められくるのではないでしょうか。
『ライフログのすすめ』
同じくハヤカワ新書juiceより。「ライフログ」という言葉を日本で広めた一冊でしょう。
本書を読めば、Evernoteの使い方に変化が生まれると思います。
目にしたものすべてが自動的に撮影され、すぐさま電子記憶の個人用画像ライブラリーに送られる。耳にしたことはすべてデジタル音声ファイルとして保存される。自分の行動を文字情報にして検索できるようにしておけば、ソフトウェアで画像を探して書類を見つけられるし、音声ファイルから思い浮かんだ言葉を拾い集めることもできる。
さすがに、いまだにこのレベルまでEvernoteは達してはいませんが近しいことを目指す子はできます。そういうのが手に入る社会は未だ人類が体験したことのない社会ではないでしょうか。
『yPad』
一見ネタっぽい本ですが、立派なスケジュール帳です。立派すぎて少し幅の広い机を必要とするのは難点ですが、これを使うと「タスク管理」というものが持つ意味が視覚的に理解できるようになります。
A3の大きさに、3週間のスケジュールと、35個のジョブをまとめて、一目で見られるようにしたのです。たったそれだけのことで、細切れの時間につながりが生まれ、頭が整理され、なにより気持ちが落ち着いて、安心して仕事ができるようになりました。
タスク管理についてまったく手探りならば、こういったアナログツールで実感を確かめてみるのもよいかも。
『失敗の技術』
コラム集なので示唆の種類は豊富ですが、今回は1つだけ紹介。問題を「パズルなのかミステリー」なのかで考える事。これによって解決へのアプローチが変わってきます。
難しいの情報不足ではなく情報過剰のときである。
現代はどちらかというと、情報過剰に対応しなければいけない状況の方が多いと思います。そういうときに情報不足のアプローチを使っていても何も前には進まないでしょう。
『究極の鍛錬』
「天才」についての考え方が変わります。あとそれに至るための道のりについても知る事ができます。あと「練習」についての考え方も変わると思います。
達人と素人の違いは特定の専門分野で一生上達するために、考え抜いた努力をどれだけ行ったかの違いなのである。
「才能」という言葉に溺れるのも、それを言い訳に使うのも避けたいところです。
『「超」ヤバい経済学』
何一つまとまりの無い本といってしまうと、言い過ぎですが個々のテーマはさまざまです。ただし、人間の思考が陥りやすい罠とそれによって作られている間違った観念というものについて知る事ができます。
基本を見つけることには大きな価値がある。それに、平均的に起きることを知っておくといい出発点になる。そうすることで、ぼくたちは、考えごとをするときのクセにとらわれないようになる。日々の判断や法律や営みを考えるとき、現実よりも例外や変形に目が行ってしまいがちなぼくたちのクセと手を切れるのだ。
単純に読み物としても面白いです。
『ストレスフリーの整理術 実践編』
最後はGTD本。これは「GTDについての認識」を改めてくれる一冊です。一つはボトムアップだけがGTDではないんだよ、ということ。上から俯瞰するような視点を持つことで、はじめてボトムアップ式のやり方が上手く回っていくということ。もう一つは何かのシステムやツールを使うことがGTDではない、ということ。ある種の「思考システム」を自分の内側に構築するのがGTDだということです。
活動的な人ほど、やるべきことが無数にあるうえに、身の回りの状況も次々に変化していくため、大きな変化のストレスにさらされることになる。
上のような人、身の回りにおられませんか?あるいはあなた自身はそういう人ではないですか?部分的な効率化ではこういった状況に対応しきれません。包括的なアプローチを身につける必要があります。GTDを部分限定なものとして認識している人はこの本でそれを改めてみるのがよいかもしれません。
なんだかんだで、今年も徐々に終わりに近づいてきました。
今年は初の自著が出たのでいろいろな変化がありました。自分で本を書いてみて感じるのは、「やっぱり面白い本はうまく書いてあるな」という事。当たり前ですね。そういう視点から見てみると、一冊の本にもさまざまな工夫を発見したりしますね。こういうのも「物の見方」の変化の一つかもしれません。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。