この本で学んだことはタスクシュートの設計思想に大きく影響を与えています。以前もご紹介した、『ザウルスで仕事革命』という本です。
スケジュールの管理で最も大事なことは、自分ひとりの仕事に使う時間を管理することです。
スケジュール帳に自分ひとりの仕事も記入することで、はじめて一日の仕事全体をスムーズに進められるのです。
また、時間の管理ということからいえば、自分ひとりの仕事にも開始と期限があるように、他人と共同の仕事にも当然、開始があれば期限もあるはずです。
ところが、みなさんのスケジュール帳には、他人と共同の仕事の開始の時間しか記入されていないことになります。
これでは、仕事の時間を上手にコントロールできないのも当然です。
スケジュール帳には、自分ひとりの仕事の開始の時間も記入しなければならないし、その期限も記入しなければなりません。
同様に、他人と共同の仕事の開始の時間と、その期限も記入しなければなりません。
この4つの時間を記入することで、みなさんのスケジュール帳ははじめてビジネスをサポートする道具となるのです。
記入すべき4つの時間とは、以下です。
- 自分ひとりの仕事の開始時間
- 自分ひとりの仕事の期限
- 他人と共同の仕事の開始時間
- 他人と共同の仕事の期限
“座標”と“長さ”が入力必須
僕自身、もはや紙の手帳はいっさい使わなくなりました。
手帳の代わりにGoogleカレンダーを使っています。Googleカレンダーの良いところは、以下2点です。
- 1.開始時間を決める必要がある
- 2.所要時間を決める必要がある
当たり前のように思えるかもしれませんが、この2つが明確になっていないと、予定を登録することができない“仕様”になっているのです。
もちろん終日の予定であれば、この限りではありませんが、
「その日のどこかでやる」
という意味合いで終日の予定として登録するのは絶対にNGです。
その日のどこでどれだけ実行するのか、という“座標”と“長さ”を決めない限り、その予定が実行に移されることは皆無だからです。
「自分ひとりの仕事」をどのように扱うか?
問題は、上記引用文中にも触れられている、「自分ひとりの仕事」です。
開始時刻が明確に決まっている会議や面会と違って、「自分ひとりの仕事」は開始時刻を動かすことができてしまいます。
「15:00から資料作成をしよう」と決めていても、前の予定が長引けば、15:30にずらすことができるわけです。
ここにワナがあります。
ずらすことができるということは、一見すると都合が良いように思えますが、言うまでもなくそれによって後の予定が影響を受けます。
歪み(ひずみ)を受ける、といってもいいでしょう。
それがどれぐらいのインパクトになるのかはカレンダー上ではすぐには分かりません。
予定を表す長方形をマウスでドラッグすることで、調整することはできます。
でも、予定が複数ある場合、1つをずらし始めると、その後の予定もすべて同じ時間分だけずらす必要が出てきます。
数が増えると面倒な作業になります。
結局、この調整は行なわれないままに、やむを得ず“五里霧中”で走り続けることを余儀なくされるでしょう。
いつ終わるのかがわからないので、どうしても「やっつけ仕事」になります。ストレスがたまります。
一日全体で考える
一方、タスクシュートであれば、人との予定も自分ひとりの仕事もすべてもれなく書き出します。
開始時刻は定められませんが、セクションを与えることで、
「少なくともこの時間帯で実行する」
というマーキングができます。もしずらしたくなれば、ずらすことも可能です。
というより、そもそも開始時刻という概念がないために「ずらす」必要がないのです。
銀行のATMの行列のようなもので、順番に対応していくだけだからです。
それぞれの予定には見積り時間を設定していますから、その総和がわかれば、今日中にすべてを終えられるのか否かがわかります。
「終了予定」にそれが示されます。
このままいくと、お客さま全員の対応をし終える前に“閉店”時間になってしまう。
このことがわかれば、
「お急ぎでないお客さまは明日にまた来てください」
という“調整”が可能です。
現実に銀行でこのようなことが行なわれたら苦情が寄せられるでしょうが、タスクシュート上であれば、問題なく行えるわけです。