といっても、別に「あのノート」というノートを作るわけでも、その名前のノートブックを作るわけでもありません。
さらに言えば、具体的な名称をぼやかして表現しているわけでもありません。
心の中で「あのノート」と思えるようなノートブックを作ろう、というお話です。
「あのノート」とは?
アナログノートを愛用している人であれば、「あのノート」をお持ちでしょう。
部屋に大量にあるノートの中でも、ノートを使おうと思ったときに、まっさきに頭に浮かぶノート。それが「あのノート」です。簡単に言ってしまえば、現在使用中のノートのことです。
- その時点で使っているノート
- 直近のことが書かれているノート
- 外出するときに持っていくノート
- 作業中、書き足したり見返したりするノート
こうした特徴を持つのが「あのノート」です。もちろん、それぞれの人の心の中にしか存在しません。しかし、こうした存在があると安心できるものです。
混在するEvernote
Evernoteにはたくさんの情報を貯めておけるので、使い方の多くは「検索」によって情報を引き出すものになるでしょう。たとえば、自分が読んだウェブ記事の中から、特定のキーワードを含むものを抽出する、というような使い方です。
こうした使い方はもちろん便利なものでデジタルの力を存分に発揮しているのですが、「あのノート」的な安心感はやや劣るかもしれません。大量の情報の中に「気になること」が埋没してしまうと、再発見できない可能性が出てくるからです。
「最近気になっていること」を検索で見つけ出すのは、どうにもむずがゆさが残ります。そもそも適切な検索ワードが見つかるかもわかりません。
つまり「検索」とは別口のアプローチをキープしておきたいのです。言い換えれば、探すためのノートブックではなく、見る(あるいは読む)ためのノートブックを作っておきたいのです。
アイデアから気になることへ
私の場合は「incubator」というノートブックがその役割を担っています。当初このノートブックは「育てたいアイデア・気になっているアイデア」を入れておくためのものでした。しかし、気がついたのです。別に「アイデア」に限定する必要はないな、と。
今ではこのノートブックは「最近気になっていること」を入れておくものとして機能しています。書き留めておきたいことがあれば、ひとまずここに放り込んでおき、またちょっと振り返りたいときはこのノートブックを開く。あるいは、関連するノートのリンクを貼ったり、思い付いたことを追記することもあります。
基本的には、アナログのノートと同じような運用方法と言えるでしょう。つまり、「あのノート」です。
何か違いがあるとすれば、必要に応じてこのノートブックから他のノートブックに移動可能な点があげられます。特別なアイデアは別のノートブックに移動したり、大規模なタスクが必要であればプロジェクトに変化させることもできます。その意味ではルーズリーフ的な運用方法でもあります。
さいごに
Evernoteに情報を一元化しておけば、情報を探し回る手間は省けます。検索によって引き出せるEvernoteは、ともかく入れておく戦略が有効なのです。
しかし、それはそれとして「今」自分の関心が高い情報・アイデア・資料で、かつ具体的なプロジェクトや用途が決まっていないものを入れて置くための切り分け区画もあった方がよいでしょう。分類軸で考えれば「今」や「その他」に属するものを扱うための場所です。
そして、そうした場所は「検索」ではなく「閲覧」によって管理するのが良いのかもしれません。
「検索」と「閲覧」。この二つのノートの使い方を分けて考え、Evernote全体の管理方法を考えてみると、ノートの活用度が向上しそうです。
▼今週の一冊:
拙著ですが改めて。
» Evernote豆技50選 (Espresso Books)[Kindle版]
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Amazonさんからセールのお知らせを頂いたのですが、未だに本当にセール対象になっているのだろうか期待半分心配半分です。個人的に売り上げデータがどう変化するのか興味津々です。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。