- 位相の異なるインプットを心がける ~Idea Arts その1~
- アイデアの種を拾い集める ~Idea Arts その2~
- 頭を開く ~Idea Arts その3~
- 柔軟にアイデアを広げる ~Idea Arts その4~
の続きです。
第五の習慣:アイデアの肥料を集める
第四の習慣ではアイデアを柔軟に広げていきました。
そうして広げたアイデアが実行に移され、アウトプットが完成したとします。やれやれ、これで終わりと気を落ち着ける前に、やっておきたいことがあります。それは、「アイデアの肥料を集める」ことです。
具体的には、
- アイデアノートの整理
- エラーログの蓄積
の2つがポイントとなります。
アイデアノートの整理
序盤のアイデア出しから、後半のアイデアを詰めていくところまで、さまざまな「記録」が残っているかと思います。走り書きのメモ、アイデアをまとめたノート、検討会議の議事録、自分の手帳の記録……、そうしたものを一度振り返ってみましょう。
すると、今回の企画では使えなかったけれども、別の企画に組み込みたいというアイデアが見つかるかもしれません。あるいは、まったく別の形の新規アイデアとして活用できるアイデアがあるかもしれません。そうしたものはアイデアの種です。しかも、紛れもなく自分が考えたアイデアの種です。
このアイデアの種を、また後から使えるように何らかの形で保存しておきましょう。手帳やノートに転記しても良いですし、Evernoteにストックしておくのもありでしょう。どんな形であれ、普段から自分が作成しているアイデアノートにそうした「アイデアの残滓」も記録しておくのです。
そうすれば、アイデアの引き出しがより豊かさを増していきます。
失敗談の蓄積
もう一つ注意したいのが失敗談の記録についてです。エラーログと言い換えてもよいでしょう。
企画作りが終わった段階で、後から考えてみたらこうしておけば良かった、と思うことがあったかもしれません。あるいは、最終的な段階に入ってから気がついた細部のチェック忘れといったこともありうるでしょう。それらは一種の失敗ですが、逆に言えばアイデアを育てていくプロセスを改善するための大切なデータとも捉えられます。それを放置しておくのはもったいないものです。
あの情報が先にわかっていたら、あれについて考えていたら、あの人に聞いておけば、といった後悔は山のように発生するものですし、それを後から消すこともできません。しかし、次のアイデア作りに活用することはできます。
できれば、そうした経験を踏まえて、プロセスのチェックリストを作ってみるのがよいでしょう。
細かい手順にまで落とし込む必要はありません。アイデア作りのマニュアルは必要ないのです。ただ、「これについて考えておく」「この情報源は先に当たっておく」といった(多少粒度の荒い)行動の指針をチェックリストにセットしておくだけで良いのです。それを参照すれば、これまでの自分の体験が活かせる、というチェックリストができればベストです。
そして、そのチェックリストを時間をかけて改良していきましょう。
さいごに
アイデア作りの準備と実行を行ったら、最後に「後始末」を行わなければいけません。それが、第五の習慣である「アイデアの肥料を集める」となります。
何かをやるたびごとに経験値というのは確かに増えていくものですが、こうした後始末を心がければその経験値が増量することは想像に難くありません。是非とも、ほんの少しばかり時間を投下して、アイデアの肥料を集めていってください。
▼今週の一冊:
デジタルボーンな新刊。
HONDAに関する本なのですが、車の話というよりもデータの話です。データと人の話。まだ01なので(02と03が続く予定)、トータル的な評価はしにくいのですが、「あっ」と思うような視点が短い本ながらしっかりと入っています。とりあえず、続きが読みたいですね。
» HONDA、もうひとつのテクノロジー ~インターナビ×ビッグデータ×IoT×震災~ 01 それはメッカコンパスから始まった (カドカワ・ミニッツブック)[Kindle版]
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。