photo credit: eschipul via photopin cc
「セレンディピティFA法」というのが、以下の本で紹介されていました。
本書では、一般的な発想術やアイデアの種の発見法に加え、独自の発想メソッドが紹介されています。
で、それが「セレンディピティFA法」というわけです。
「セレンディピティFA法」とは何か
“セレンディピティ”をWikipediaで引くと、
ふとした偶然をきっかけに閃きを得、幸運を掴み取る能力のことである。
とあります。つまり、「セレンディピティFA法」は、ふとした偶然からアイデアを生み出す方法、というニュアンスのネーミングなのでしょう。
※FAは開発者二人の頭文字。
実際に「セレンディピティFA法」を行う場合、3つの段階を経る必要があるようです。
- アイデアの種を集める
- それらを分類する
- それをもとに発想を生み出す
アイデアの種を集める
まず発想の素になるアイデアの種集めです。
本書の第二章では、さまざまなアイデアの種集めが紹介されています。
代表的なものが「思いつきを書き留める」。これは古今東西のアイデア本で紹介されています。5日ほどノートを持ち歩き、印象に残ったフレーズを残さず書き留めることができればアイデアの種は相当数集められるでしょう。
※実際のところ、残さず書き留めるのはなかなか難しいのですが。
それらを分類する
次に集めた素材を分類します。その分類方法がこの「セレンディピティFA法」の特徴と言えるでしょう。
集めたアイデアを、次の3つの要素で分類していきます。
- 時間
- 位置
- 連続量
※それぞれの分類が具体的にどういうものか気になる人は、本書を直接参照してみてください。
アイデアを整理する際は、こうした軸を持っておくと良いですね。
それをもとに発想を生み出す
上で分類したアイデアの種を使いながら、発想を進めていきます。
本書では「若者にウケる新感覚飲食店」についての企画案作成が実際例として紹介されています。
たとえば、「時間」という分類項目に以下の3つのアイデアの種が集められています。
初音ミク、新展開、未来志向
「若者にウケる新感覚飲食店」と「初音ミク、新展開、未来志向」の3つのキーワードを結びつけて、何かしらの企画を考える、というわけです。
普通に「若者にウケる新感覚飲食店って何だろう?」と頭をひねっているだけでは、新しい企画案はなかなか生まれてきません。強引とも言える視点の移動を行うことで、斬新な発想が頭の中から引き出されてくるわけです。
実際に考えてみると
ちなみに、「若者にウケる新感覚飲食店」と「初音ミク、新展開、未来志向」ではどのような企画案が考えられるでしょうか。
まずバーチャルウェイトレスとして初音ミクが登場する飲食店というのがありそうです。あるいは、初音ミクを好むユーザーが楽しめるカフェというのもありでしょう。あるいはボーカーロイドのプロデューサーやデザイナーが集い、そこで作品を作成したり、発表したりするお店なんかも面白いのではないでしょうか。
もちろん、こうして出てくるアイデアの大半は実現可能なものではないでしょう。
ただ、いろいろ出していけば中にはキラリと光る企画案も出てくるかもしれません。すくなくとも、直線的な視点で企画について考えているだけでは、なかなか巡り会えない企画案を思いつけるのは確かです。
さいごに
拙著にも書きましたが、発想というのは、特別なスキルを必要とするものではありません。
日頃から素材集めを行い、発想の視点を動かす方法を知っていれば、いくつものアイデアを出すことができます。
なにはともあれ、ノートを一冊準備し、そこにいろいろ書き留めていくのが発想のスタートになるでしょう。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。