※当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

不確実な時代を生き抜くための“磁針”を持つ

先雪不透明…。

大橋悦夫
この年末年始で一番気になっているキーワードがあります。

それは「不確実」。

このキーワードだけで今起きているいろいろなことが説明できるし、同時に説明がつかなくなります。

一つ言えるのは、自分の中にあるものを活かしたり、伸ばしたり、見直したり、といった時間を意識的に増やすべきである、ということです。今に限ったことではありませんが、不確実な今はことさらに。

たとえば、最近の読んでいる本は「不確実」をものともせずに生きている人の話が中心です。言い換えれば、何か特定のスキルとかツールとか資格を駆使しなくても、独自の視点や方法や考え方で世の中を見ている人。おのずと行動もぜんぜん違ってきます。

ふり返ってみれば、これまでに読んできた本にも似たような傾向がありました。


「時代が変わっても変える必要のない“磁針”を持つ」というスタイル

以下の5冊です。すぐ下のリンクは言及した記事です。

» 自戒を込めて、9年間に学んだ自営の心得3箇条 

若干鼻息荒いところはありつつも、自営にとって徹底すべきこと、心がけるべきこと、受け入れるべきことが著者自身の実体験をもとにバランスよく過不足なく語られており、激しく自戒を促される。すでに自営な人はもちろん、これから自営を目指す人も必読の一冊。


» 常識を疑い、自分の頭で考え抜く 

とにかく、人間に考えられるすべての仮説を出し尽くさなければ、自信をもってこれだといえるコンセプトには到達できないのである。

正直いって楽な作業ではない。だからみんなマトリックスのような出来合いのツールでこの部分を端折ろうとするのだろうけど、それでは誰でも思いつく平均的な答えしか出てこないのは目に見えている。ウイナー・ゲッツ・オール、ただひとりの勝者がすべてを手にするのが21世紀だという言葉を聞いたことがあるだろう。みんなそう思っているはずなのに、なぜ平均的なコンセプトのまま走り出せるのか私にはよく理解できない。


» 次の一歩を踏み出すための「現実起業」と「夢起業」 

経営者はすべて起業家であるかというと、決してそうではありません。経営者イコール起業家ではなく、経営者の中に起業家がいるのです。つまり起業家であるかどうかは生き方の問題であって、職業や役職の問題ではありません。ですから、サラリーマンや公務員の中にも、同じように起業家もいれば生業家もいます。

両者の違いは、価値と感動を提供する夢を持ていれば起業家、自分の生活を維持することだけが目的ならば生業家ということになります。起業家は、夢に向けて自分よりも力のある人を動かし、世の中にある経営資源を集めて不可能を可能にしていきます。

一方、生業家は自分だけの力で収入を確保しようとしますから、生きていくだけで精一杯です。


» 「こうすれば成功する」は本当か? むしろ・・・ 

自分にとっていいことがあったときは「またか」、あまりよくないことが起きたら「珍しいな」を使うのです。

営業の電話を「また断られた」ではなく、「珍しく断られた」。プレゼンが「珍しくうまくいった」ではなく「またうまくいった」という具合。

これを習慣化すると、ほんとうに「またか」が増えて、「珍しく」が減ってくるんですよ。


» 2人の経営者がホームレス時代に学んだ、たった1つの教訓 

人間は自分が本当に得たいということに対しては、恐ろしいほどの集中力と記憶力とでモノにしてしまうものです。どん底にあると人は、自分の欲求に素直になります。その欲求を満たすためにものすごい集中力を発揮し、結果としてふつうならば思いつかないような知恵がわいてきたりするものなのです。


今読んでいる何冊かの本にも同じような傾向が見られました(本だらけになるので次回改めてご紹介します)。

それは、「時代が変わっても変える必要のない“磁針”を持つ」というスタイルです。“磁針”とはコンパスのことです。どんな武器を手にして戦うか、よりも先に、どんな戦い方をするかという方向性が明確に決まっているのです。

戦い方が決まっているからこそ、その時々でもっともフィットした武器が選べます。優れた武器を使っているから勝てるのではなく、自分の戦い方を知悉しているからこそ、自分にフィットした武器を選ぶことができ、その結果、勝てる。

武器ありきではなく、まず戦い方ありき、ということです。

上記に挙げた5冊も、今読んでいる何冊かの本も、戦い方がブレない人たちばかりであることに改めて気づきました。

やるべきは、今まで我慢していたことを解放するだけ、かもしれない

すでにうまくいっている人のやり方をTTP(徹底的にパクる、の略)する、というスタイルがありますが、これはイチからやり方を作るのに比べて少ない手間と時間でゴールに到達できる反面、そのまま真似する限りは周回遅れにしかならない、というデメリットがあります。

人がまだ手をつけていないことにあえて乗り出す勇気が今まで以上に重要になってくる、と思うのです。そういう意味では、本棚を眺めて、かつて読んでグッと来た本を改めて読み返してみるのも良いでしょう。

洗練された手法、体系化されたノウハウをこれからイチから学ぶより、洗練や体系化の途上にある領域に踏み込んでいく。これは勇気というより、いままで我慢していたことを解放するだけかもしれません。

世の中の流れに必死にキャッチアップすることにかまけて、ずっとほったらかしにしてきた「時間ができたらやってみたいこと」を今、始めればいいのです。

きっかけは、この2つの記事

このように考えるようになったきっかけは、年末年始に読んだ次の2つの記事です。

» 2012年12月28日 不確実な時代には「検証による学び」を得るための活動に資源を集中することが大事

この仮説検証のプロセスをループさせるなかで、不確実なものが徐々に確実性を帯び始めます。

もちろん、相手が人間だろうと、市場のようなものだろうと、すべて相手のことがわかることはないし、相手も生き物ですから「わかった」と思ったあとにも変化し、また「わからない」ところが出てきたりはします。

だから、本来、このループに終わりはないのですけど、でも、この仮説検証をまわし続けていれば、相手との関係は続く訳です。

ビジネスであれば、顧客や市場との関係性が継続的な仮説検証のループによって維持できるということになります。


» 2012年12月30日 2012年10大ニュース/もう世界に絶対はない

逆に、こんなことはありえないと思われていたことも、案外あっさりと実現することがある。2012年は、そんなメッセージを静かに伝えていた年だったのではないか。


不確実なものに寄り添うという考え方は、波乗りに似ています。その時々の“波”に呼応しながら常に動き続ける。

もちろん、瞬間瞬間には「次にどう動くか」という目標設定と実行が小刻みに繰り返すので、まったく目標を立てないわけではないのですが、客観的に見ると波のなすがままに動いている(動かされている)ように見えます。でも、それが現実でしょう。

事前の計画よりも、まず自分の羅針盤を持つ

さらにこの「波乗り思考」を補完するような記事がぞくぞくとアンテナに引っかかってきます。

» 2013年1月1日 伊藤穰一:学ぶべきは、「何を学ぶか」ではなく、「どうやって学ぶか」

これだけ世の中にスピードが出てきて複雑になると「地図」、つまり事前の計画は役に立ちませんし、地図を製作するためのコストも高くつきます。

むしろ、大事なのは「何をしたいか」という「コンパス」をしっかりもつことで、企業でもトップがしっかりした磁石をもっていれば、現場は方向性を間違えずに動けます。

3.11のときいちばんカッコよかったのは消防のサイバーレスキュー隊でした。彼らは現場にあって自分たちのコンパスを頼りに仕事を遂行しましたが、地図だけをあてにしていた偉い人たちは、結局何の対処もできませんでしたよね。


佐々木俊尚さんはこの不確実な時代を分析した著書を執筆中とのこと。

» 2013年1月4日 (佐々木俊尚さんのFacebookポスト)

グーグルやアップルやアマゾンという新しい構造を持ったプラットフォーマービジネスの台頭と、グローバリゼーションで企業力と国力が一致しないという新しい多国籍企業の概念の出現。

加えて先進国で軒並み中流が没落し、政府に対する不信感が高まり、民主主義がどう見ても限界に達していること。そもそも国民国家をベースにした民主主義は、工業化による20世紀の成長があったから成り立っていた過渡期のモデルでしか無かったんじゃないのか?という疑問。

そもそも今起きているITの「第3次産業革命」は富を増やさず、富をフラット化することしか引き起こさないのではないかというタイラー・コーエンの指摘。

このあたりがすべて1本のラインで接続できるんじゃないかとずっと考えていて、そういう内容の本になります。


未来を作るのは学位ではなく「生きたスキル」

「フリーランス」という言葉の意味が「働き方」から「考え方」に変わっていくかもしれません。「企業に属さずに仕事をする」という形ではなく、「枠にとらわれることなく自分の強みを活かして仕事をする」という中身にフォーカスが移っていく、ということです。

» 2013年1月3日 フランク・モス:手と頭を使って失敗を繰り返し続けること。そこにしか未来はない

いまニューヨークでは働く人たちの1/3がフリーランスだと言われています。この10年でその人口はますます増えることでしょう。どんな職種であれ、フリーランサーは常に自身のスキルを更新するために学び続ける必要があります。必要なのは学位ではなく、生きたスキルと失敗から生まれた大胆な発想なのです。


自分を見つめ直す好機

前回、ストレングス・ファインダーを取り上げましたが、このテストを受けることで自分なりの今後の“磁針”を探る上でのヒントが得られるでしょう。

» ストレングス・ファインダーを11年ぶりにやってみて、改めてその活かし方を考えてみた 

・・・まだまだトピックがあるのですが、かなり長くなってしまったので、ひとまずこのあたりで。

↓そういえば昨年夏にこんなことをツイートしていました。

 

合わせて読みたい:



関連エントリー:

自戒を込めて、9年間に学んだ自営の心得3箇条 
常識を疑い、自分の頭で考え抜く 
次の一歩を踏み出すための「現実起業」と「夢起業」 
「こうすれば成功する」は本当か? むしろ・・・ 
2人の経営者がホームレス時代に学んだ、たった1つの教訓 

「同化」と「調節」の違いとは?