2人の経営者がホームレス時代に学んだ、たった1つの教訓

方法だけ真似ても認識は元のままでは得られる成果はオリジナルには及ばないでしょう。むしろ、方法を知らなくても、認識さえコピーできれば得られる成果はオリジナルと同じか、あるいは超えることもあります。

問題は表面にある方法にとらわれて、本質である認識変革にまで到達できないこと。

こちらのエントリーでご紹介したオウケイウェイヴの兼元謙任(かねもとかねとう)社長は、ホームレスに転落することで、この本質への到達を果たしたようです。

また、同エントリーで関連本としてご紹介した『どん底からの成功法則』の堀之内九一郎社長も、やはりホームレスを経て企業経営者にまでのぼりつめていますが、「どん底」でそれまでの認識を根底から覆させられる体験をしています。

それぞれに異なるドラマがあり、描かれている過酷な現実は想像を絶するものですが、お二人ともにこのホームレスという試練を乗り越える過程で実にたくさんのことを学んだようです。

すぐに実践できるノウハウもあれば、後学のために知っておきたい視点や考え方もあり、いずれも参考になるのですが、やはり行間に漂うたった1つの教訓からすべてが派生しているように見受けられます。

ゼロに戻して初めてわかること

その教訓が何であるかを明らかにする前に、お二人が学んだことをいくつかご紹介します。

» 『ホームレスからのリベンジ―あるIT社長の独白』より

「エサ取り」(引用者注:コンビニやファーストフード店の裏に行き、廃棄されるものをもらうこと)で学んだことは、ファーストフードはあまりいいものではないということ。一個食べるだけでも胃がむかつき、最後には痛くなった。生きるか死ぬかギリギリの生活をしていると、ファーストフードはとても体に悪いことがわかる。

明日、死んでしまっているかもしれないことと、あと何十年かしたら寿命で死ぬということ、それらにあまり違いはないかのように思える。

ならば、どのように考えたら、今生きていることの意味が豊かになり、色鮮やかに自分の前にビジョンとして現れるのかを考えることのほうが、大切なのではないかと思えるようになった。


» 『どん底からの成功法則』より

人間は自分が本当に得たいということに対しては、恐ろしいほどの集中力と記憶力とでモノにしてしまうものです。どん底にあると人は、自分の欲求に素直になります。その欲求を満たすためにものすごい集中力を発揮し、結果としてふつうならば思いつかないような知恵がわいてきたりするものなのです。

あるとき、何としても仕入れたいカメラがありました。仕入れると十万円かかるのですが、私の持ち金はたった一万円。さてどうしようというわけです。

私は有り金のすべてである一万円を、相手に渡して言いました。

「いまこれだけしか手元にありませんが、この一万円を手付金としてお渡しします。残りは銀行に入っているので、明日の三時でもよろしいですか」

(中略)

さぁこれで、一万円で十万円分の商品は手に入った。ここからがたいへんです。さて九万円はどうするか。

仕入れたカメラを明日の三時までに売るのです。何としても売るのです。後戻りできないのだから必死です。もし払えなかったら、これは詐欺になってしまいます。


ほかにも、

  • 何としても仕事をもらいたい時に効果的な3つのテクニック
  • 相手をいい気持ちにしつつ値切る方法
  • 昇級一万円で五万円働いてもらう方法

など、具体的な方法論が紹介されているのですが、注目すべきはこういった方法論が生まれた背景です。

何がきっかけになったのか、どんな「化学変化」が起きたのか。そして、そこに行き着くまでに認識はどのように変化したのか。これらをなぞっていくことで、表面的な方法論に惑わされることなく、その本質に迫ることができます。

引っ越しの日に荷物を運び出してみて初めて住んでいた部屋の広さに気づかされたり、家具の陰に紛れ込んでしまっていた小学校時代の作文が“発掘”されたりするのと同様に、いちどゼロに戻さなければ見えてこないことというのは少なくありません。

つまり、お二人がホームレス生活から学んだ教訓とは、ゼロに戻すことの重要性といえます。

今回ご紹介したお二人の著書には、ホームレスという「ゼロ」に戻ったからこそ得られた認識や、そこから生まれた方法論が書かれているのですが、ただ、これらを真似ようと思えば、まずは「原点」に立ち返る必要があります。

とはいえ、そのためにホームレスになるわけにもいかないでしょう。

ではどうするか?

1日5分 目的・目標を達成させる 4行日記その答えが『4行日記』の中にありました。まとめも兼ねて該当部分を引用します。

自然でいれば右下がりになるときは必ずあります。それを右上がりにするのです。つまり、「昨日の自分より一歩前へ」ということです。「どん底」を今とするか、「今を平均値」とするか。私は「足るを知りつつ、現状をどん底」と捉えてみます。だからこそ、何をしても自己新なのです。

小さな目標に向かえば、毎日が成功体験です。自身が湧かないはずがありません。それが続くと「自分には解決できない問題などない」「私は天才である」、否、それ以上の能力感を持てるようになります。「私は救世主である」と自らのレベルをどんどん上げられるのです。そして、上がっても上がっても謙虚でいられるのです。それは自分のどん底を知っているからです。

  • 「どん底疑似体験 → 目標がたくさんある状態をつくる」

そう考えてください。上り詰める一歩前では「目的 → 究極の目標」がただ一つになります。

  • 「目標を一つひとつ減らしてゆける → 達成感を味わっている → だから目標がたくさんある状態 → 欲しいものがたくさんある状態」

どん底は「奈落の底」ではありません。どん底とはターニングポイントなのです。

今回ご紹介した2冊から学ぶべきは、心のホームレス、すなわち心が満たされていない状態を意図的につくって、そこから「次」を考えるという、現状認識をゼロベースでとらえ直すことの重要性でしょう。


▼合わせて読みたい:

今回ご紹介したのとは別の意味での「どん底」を経験しつつ、最終的にはV字回復を果たした主人公の軌跡は、経営者を目指す人であれば辿る価値のあるものです。


▼次にすること:
・なぜ兼元社長はホームレス時代にホームレス仲間と群れなかったのかを考える

 

▼編集後記:
大橋悦夫



お世話になっているコーチのHさんに影響されて、万歩計を買いました。なかなか運動のための時間が取れない中にあっては、もはや歩いている時間を活用するしかない、というわけです。

まぁ、単純に走ったりジムに行ったりすることに敷居を感じているというだけなのですが、万歩計を使い始めてすぐに気づいたことは、どうにかして歩数を増やしたいと思えるようになったこと。

今まではいかに最短時間・最短ルートで移動するかにあくせくしていたのが、今ではいかに長い時間歩けるかにフォーカスが移っています。今のところは1日あたり6000歩をノルマにしているのですが、距離に換算すると5km。時間にすると50分ほど。これだけの距離・時間を歩くには、かなり意識的に歩く必要があります。

その分、努力して歩いた実績はきちんと数字に表れるので、それがモチベーションにつながっているようです。使っている万歩計は少々高いですが、歩数に加えて、距離、時間、消費カロリー、平均スピードなども計測できるため、ゲーム感覚で数字を増やす楽しみがあります。


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