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集中力が続かなくなった時に、仕切り直しにやっていること

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倉下忠憲
机の前に座って、文章をコリコリと書き続けていく。というのが私の「日常業務」です。

一見楽な作業に感じますが、実際やってみるとなかなか疲れます。

特に問題なのが「集中力」。これが欠けてくると、ほとんど前に進みません。目の前の文章について考えることよりも、別の事柄が頭をよぎり始めます。こうなるとお手上げです。

こういう状況も特に珍しいことではありません。長時間一つの原稿と向き合っていると頻繁に起こります。

今回は、そういう状況に遭遇したときに、私が意識的にやっているいくつかの切り替え方を紹介してみます。


体を動かす

一番シンプルなのがこの方法。頭を動かし続けたら、体を動かす。簡単ですね。身体のこわばりは、集中力の妨げになることがあります。

個人的な感覚で一番効果が高いのが「散歩をすること」です。10分程度でも、散歩をするとかなりリフレッシュできます。外に出ることで、光や風景など脳に入ってくる情報が変化する点と、体を動かすことで血行が良くなる的な何かが期待できるのでしょう。

寒すぎて外に出たくない、という場合はイスから立ち上がってストレッチをしてみるのも一手です。ちょっと上にのびをするだけでもずいぶんと体のこわばりが解けます。室内を歩き回ってもよいかもしれません。私はよく立ったまま本を読んだりもします。

カフェにいて、立ち上がることすら無理という状況でも、のびや腰を左右に回すことぐらいなら可能でしょう。

別の作業をする

集中力が欠ける理由としてもう一つ考えられるのが、「飽き」です。これはもうどうしようもありません。自分の心に「飽きるな!」と命じることは不可能です。こぼした牛乳がグラスにかえらないように、飽きを感じてしまったものに、興味の息吹を入れ込むことはできません。

そういう時はあっさり別の作業をするのが一番です。といっても、別の集中力を必要とする作業だとあまり意味はありません。簡単にできる作業をやって、「飽き」が収まるのを待ちます。

たとえば、片付け。

書類でも電子メールでもEvernoteのinbox整理でもなんでも良いですが、ルーチン的に処理できる作業を行うわけです。普段こういう作業には「嫌気」を感じるものですが、原稿作業に飽きを感じた後だと、とても楽しい作業(は大げさですが)のように感じます。試験前の机の整理のようなものです。

あと、家で作業をしている場合は家事を行うのも良いでしょう。

当面片付けるものがない場合は、手描きのマインドマップを作成する、ラクガキする、など文章を書くのとは違う作業をする方法もあります。

ただ、これらの作業に没頭してしまって原稿にかえってこれないというオチが考えられますので、あらかじめ時間を決めて、さらにタイマーをセットして行うのがよいでしょう。

休む

上記のようなことをやっても効果がない、あるいはそもそもやる気すら起きない、という場合は単純に疲れすぎているか睡眠不足のどちらかでしょう。そういう場合は思い切って休んでしまうのが一番です。

15分以下の仮眠でもかなりリフレッシュできます。仮眠が無理でも、目を瞑って極力脳へのインプットを減らすのでも多少は楽になるかもしれません。

もちろん、コーヒーやリポDで一時しのぎはできるでしょうが、その方法は後から反動がきます。ようは集中力の前借りをしているだけです。一週間ぐらいの短期的な作業ならともかく、「日常業務」でその方法を続けていると、どこかで破綻するでしょう。

「なにもしないことをする」というのは、なかなか難しいかもしれませんが、ある程度意識しておく必要があるでしょう。

さいごに

私の場合、「あっ、集中力が切れてきたな」と感じる瞬間は音楽が「聞こえ始めた」タイミングです。

普段作業中はiPod+イヤホンで何かしらの音楽を流しています。が、ぐっと集中しているときはその音楽は鼓膜には届いているものの、私の「耳」には入ってきていません。認識の検閲を越えられていないのです。

集中力が欠け始めると、その音楽が聞こえ始めます。それが仕切り直しのサインで、上記のような何かしらの対応を行います。

これらのアクションにかかる時間は、5分から長くても30分程度です。直接何かを生み出す作業ではないものの、時間対効果はなかなか高いものがあります。

集中力が欠けた状態で作業しても、生産的な結果がもたらされるとは思えません。1時間ぐらい集中して作業をしていると、そのまま惰性で作業を続けたくなりますが、間に仕切り直しを入れてみることで、総合的な時間の効能は上がってくるのではないでしょうか。

▼参考文献:

先週紹介したこの本。私も普段から意識している脳の「覚醒度」を保つ方法がいくつか紹介されています。時間配分の方法など、ある程度自分で裁量を持って、仕事を進めていく人に役立つノウハウが載っています。


▼今週の一冊:

堀正岳(@mehori)さんの新著。タイトルからも分かるとおりクラウドツールを使った「知的生産」の始め方、という内容です。この連載のカテゴリーは「R25世代の知的生産」ですので(知ってました?)、とりあげないわけにはいかないでしょう。

理系研究者に向けた、クラウドツール環境の整備と使い方の心掛け、というのが大きなテーマ。この手の話題に詳しい人は、目新しい内容ではありません。ただ、重要なポイントが丁寧にまとまっているので、理系の大学生でクラウドツールについて右も左も分からない、という人が読むには最適な一冊と言えるかもしれません。


▼編集後記:
倉下忠憲



ちなみにこの原稿を書いている間に、一度ストレッチを行いました。案外時間がかかるのです。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。

ほぼ日手帳HACKS
倉下忠憲、北真也
PDF: 226ページ