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トップ > シゴタノ! > カードとデッキからみる概念(コンセプト)の重要性 | Aliice pentagram




倉下忠憲

» 前回:コンテンツの枠組みとしての概念構築 | Aliice pentagram



前回は、概念(コンセプト)が、〈情報の意味的なまとまり〉であり、それが「ひとにわかるかたち」にするために重要である、ということを確認しました。

今回は、その重要性について違った観点から考えてみます。

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デッキとカード

「シャドウバース」というデジタルカードゲームがあります。集めたカードを使い、40枚のデッキを作って相手と対戦するゲームです。

そうしたゲームを行う上で、個々の知識のカードはたいへん有用です。というか、それがないと始まらないとも言えますし、むしろそうした知識を得ることがゲームを遊ぶ楽しさの一つであるとも言えるでしょう。

しかし、個々のカードの知識だけがあれば成立するのかというと、そういうわけではありません。カードの知識だけでは、コンセプトを持ったデッキが作れないからです。

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たとえば、ビショップのコスト6フォロワーには、〈天空の守護者・ガルラ〉〈ムーンアルミラージ〉〈ヴァルハラジェネラル〉〈ダークジャンヌ〉〈苦罰の審判者〉といったカードがあり(他にもありますが)、それぞれが独自の存在感を持っています。

〈天空の守護者・ガルラ〉・・・・・・場に出たときに問答無用で相手に3点。さらにアミュレット1つのカウントを3つ進めるので、〈詠唱:白翼への祈り〉や〈詠唱:獣姫の呼び声〉と合わせて出すことで、真っさらな場から5点のダメージをたたき出せることも。

〈ムーンアルミラージ〉・・・・・・ビショップでは珍しい疾走持ち。自分のターンの終了時に体力が上限まで回復するので、殴り合いでは殺されにくい。ただし進化してもパワーは5なので、相手の進化済みフォロワーを討ち取れないこともある。

〈ヴァルハラジェネラル〉・・・・・味方のフォロワーを+3/+3して突進を与える。アミュレットから出てくるフォロワーと相性が良い。進化済みの〈マイニュ〉に効果を付与するとわりと手が付けられない。ただし、自分の場がまっさらなときには単なる3/3フォロワーとなる。

〈ダークジャンヌ〉・・・・・・敵味方問わず2ダメージを与え、パワーも2上げる。味方のフォロワーにもダメージが行く点と、相手のフォロワーのパワーも上がる点を忘れると痛い目を見る。

〈苦罰の審判者〉・・・・・・パワー3以下の相手のフォロワーを消滅させ、さらにカード1枚ドロー。攻撃力は低いが、アドバンテージが取れる。

以上のような知識があって、はじめてカードを使えるようになるわけですが、かといって上記の知識さえれば、「どんなデッキを作ればいいのか」がわかるわけではありません。強さがわかり、評価ができるとしても、それを使うデッキがうまく作れるかはまた別の話なのです。

むしろ本当に大切なのは、個々の知識から一歩先に進んだコンセプトにあります。

コンセプトが決めるもの

たとえば、「速攻で決めるデッキを作ろう」というコンセプトが立ち上がれば、「じゃあ、ガルラは3枚積みだな」という方向性が見えてきます。個々の要素の扱い方が決まるわけです。

逆に「ゆっくり場を支配していくデッキでいこう」となれば、「審判者は使いたいところ。ネクロが多いので、ダークジャンヌも採用か」といったことが考えられるようになります。

以上のようなことを考えず、つまり、コンセプトを欠いたままでカードを40枚寄せ集めても、シナジーが発揮されないどころか、互いのカードが足を引っ張り合うことすらあるでしょう。対戦相手にしてみれば、「何をやりたいのかがわからない」という印象を受けるはずです。

つまり、「ひとにわかるかたち」になっていないのです。

コンセプトは、全体を統一するための指針であり、それがあることで、情報は意味的なまとまりへと変貌します。

さいごに

コンセプトは全体を統一し、個々の要素の扱い方を決める上で欠かせないものではありますが、個々の要素抜きに作れるものでもありません。たとえば、速攻に使えるカードが一枚もないのに、速攻で決めるデッキのコンセプトを立ち上げるのは無理があります。

つまり、コンセプトは、個々の要素から立ち上がってくるものなのです。

個々の要素抜きには作成できないが、個々の要素だけでも生成できない。そのようなものがコンセプトです。ある情報群の一つ上のレイヤーに存在するもの、という言い方もできるかもしれません。

今回は、カードとデッキを例に用いて説明しましたが、知的生産の成果物でも同じことが言えます。個々の要素から立ち上がりつつ、それらを統制し・制御するための意味的なひとつのまとまり。それがコンセプトです。

以上を確認した上で、次回はその作り方にアプローチしてみましょう。知的生産の成果物作りにおける第一歩の踏みだしです。

▼今週の一冊:

たいへん刺激的な一冊でした。

情報論であり、経済学でもあります。情報経済学という言い方をしてしまうと、あまりにも別の学問に聞こえてしまうので、表現が難しいのですが、この宇宙における情報の性質を考えながら、そこから地球上(あるいは人類)がいかにして情報を発展させてきたのかが語られています。そして、その視点において、なぜ地域ごとに経済格差なるものが発生し、しかもそれが是正しにくいのかが考察されます。

» 情報と秩序 原子から経済学までを動かす根本原理を求めて (早川書房)[Kindle版]


▼編集後記:
倉下忠憲



自分で電子書籍作りを進めているのですが、それとはまたちょっと違った話も進んでいます。月末くらいには告知できるかもしれません。お楽しみに。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


» ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由




▼「R25世代の知的生産」の新着エントリー

» 「R25世代の知的生産」の記事一覧

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06月10日(土) 新しいプロジェクトをサッと始めて着実に進める方法

タスクカフェ
今回のテーマは、

新しいプロジェクトをサッと始めて着実に進める方法

です。

前回に引き続き、プロジェクト管理について掘り下げます。
前回の続きですが、今回初めて参加する方にも優しく解説します。

タスクカフェ講師の1人、佐々木正悟はこれまでに50冊以上の書籍を執筆していますが、一度たりとも原稿を落としたことがないと言います。つまり、締切に遅れることなく、1冊分の原稿を仕上げているのです。

これは、たとえて言うなら卒業論文を50回連続で期限までに提出しているようなものです。

書籍の執筆という仕事は、一冊ごとにそれぞれにテーマも背景も事情も異なる、言わば定型化しにくいプロジェクトです。もちろん、50回も繰り返していれば、その勘所は押さえられるがゆえに、初めて本を書くという人に比べて圧倒的に効率よくスピーディーに進められるということはあるでしょう。

それでも、佐々木にも1冊目の本の執筆という機会があったはずです。そこからいかにして「今」に至ったのか? これまでの経緯をひもときながら、新しいプロジェクトをサッと始めたうえで、これを着実に進めていく方法をお伝えします。

特に、見通しの立ちにくい仕事になかなか着手できずにお困りの方はぜひご参加ください。

好評いただいている個別相談の時間もご用意していますので、知識としては理解できているとは思うものの、なかなか実践に結びつけられず苦戦している、という方は、ぜひこの機会にブースターとしてご活用ください。


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