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「あとで読む」をあとで確実に読むための問いかけ

commuting
大橋悦夫

あとでじっくり読みたいと思った記事をブックマークしたり、Pocketに送ったり、あとでしっかり読もうと思った本をAmazonで注文したり、といった「アクション」に比べると、これらを実際に「読む」のは難しいものです。

サクッと終わってすぐに結果が出るブックマークや注文という「アクション」に比べて、「読む」はサクッとは終わらないうえに、読み終えても直後には何も起こらないことが多いからです。

推理小説のように続きが気になってついつい手にとって読み続けてしまう本…でない限りは、取りかかるためのブースターを別途用意する必要があるでしょう。

「読みたい!」と思って設(しつら)えたのに、読むためのブースターが別途必要になるのはおかしな話ですが、読めないものは仕方がありません。

最近このブースターとして機能しているのが、ブースターという呼び方があまりふさわしくない、「あること」です。

時間をかけて躾ける

それは、お風呂に浸かっている時間とか移動中の時間とか、できることが極度に限られるシチュエーションを利用する
ということ。

大事なことは、お風呂に浸かり始めたり、移動を開始したら、すぐにこの「読む」を始めること。

これを続けることで、お風呂に浸かったりどこかに移動するという行為は「読む」という行為と一緒に行なわれるものなのだという認識を持てるようになります。

いわゆる条件付けです。

お風呂に浸かっているのに何も読んでいなかったり、移動中なのにボーッとしていたりしたときに、何か違和感を覚える、と感じるくらいになれば、「あとで読む」の消化はおのずと進むようになるでしょう。

即効性はないものの、時間をかけてしつけることで、ラクに続けられるようになるはずです。

道を平坦にする

ウェブの記事ならともかく紙の本は持ち運びに不便なので、可能な限り電子書籍にしてiPhoneで読むようにしています。

自宅にいる時でも、分厚い本を読むのは、まず手に取るところからして抵抗を感じるものです。iPhoneに入っていれば厚みという“牙”は抜かれた状態ですから、メールでも読むような感覚で読み始めることができます。手元にあってすぐに手繰り寄せることができる点は大きいでしょう。

1分でも時間があけばサッと読み始めることができます。紙の本のように

  • 栞のはさまったページを開いて、
  • 読んで、
  • ふたたび栞をはさみなおす、

という手順をすべてスキップできます。

逆に言えば、こうしたちょっとした“段差”が「読む」のブレーキになりうるのです。

読書メモができるようにしておく

こちらでも書いたとおり、KindleやGoodReaderなら書き込みもできます。

» 最近の読書はGoodReaderを使っているという話 #Asa5fun – しごたのじゃーなる

読んだ時に思いついたことは、ページの端を折ったり傍線を引いたりしただけでは残りません。電子書籍でも気になったページに栞を設定したり、ハイライトさせたり、メモを書き込んだり、といったことができますが、一番効果的なのはメモを書き込むことでしょう。

読んでいる最中にいちいち中断してメモを入力するのはあまり気の進むものではありませんが、その場で書いておかないと「あれれ、確かさっき読んだときはすごく良いアイデアをひらめいたはずなんだけど・・・何だっけ?」ということになりかねません。

気になった箇所に傍線を引いたりハイライトさせたりするだけでは、引いたときに頭の中にありありと浮かんでいた明瞭なイメージは残りません。

もちろん、傍線部分を読み返すことで、それがトリガーとなって記憶が蘇り、再現できることもあるかもしれませんが、個人的には不安を覚えます。

その時々に考えたり悩んだりしていたことが背景にあり、本を読んで、たまたまある記述に目が留まる。これは、背景があってこそ起こることだと思います。背景が変われば見落としてしまうかもしれません。アイデアは常に文脈依存なのです。

これを防ぐためにも、「○○のプロジェクトにも活かせそう」というほんの一文でもいいので書き添えておくと、マーキングが日の目を見る確率が格段にアップします。「読む」のに投じた時間から得られるリターンが増やせます。

「読む」だけでは済まない

このように考えてくると、とにかくインプットするからにはそれを何らかの形でアウトプットにつなげられるようにする、その下ごしらえが「読む」というプロセスが担っている役割だと考えられます。

ところで、『思考の整理学』に「つんどく法」という話が出てきます。

ざっくりまとめると、本の読み方には、

  • 1.しっかりとメモを取りながら読む方法
  • 2.メモは最小限にして片っ端から読んで行く方法

の2種類があり、「つんどく法」とは後者を指します(詳細は本書をご覧ください)。

本を読む時にメモを取るか取らないかは悩ましいところではありますが、そもそもその本を読む理由と目的が明らかになっていれば、おのずとどちらの読み方が適切かはわかるはず、というわけです。

メモを取らずに「片っ端から読んで行く」場合でも、そのように読むことで短期間のうちに大量の知識が頭の中で「渦巻く」ことになるため、これらが失われる前にまとめる必要があります。結局はどこかでメモを取ることになるのです。

読み終えたら、なるべく早く、まとめの文章を書かなくてはいけない。ほとぼりをさましてしまうと、急速に忘却が進むからである。本当に大切なところは忘れないにしても、細部のことは、そんなにいつまでも、鮮明に記憶されているとはかぎらない。

たくさんの知識や事実が、頭の中で渦巻いているときに、これをまとめるのは、思ったほど楽ではない。まとめをきらう知見が多いからである。

しかし、ノートもカードもないのだから、頭のノートがあとからの記入で消える前に整理を完了しなくてはいけない。

「読む」という行為には、それが純粋に読んで楽しむだけのものでない限りは、必ずこうした「後処理」が控えています。

「あとで読む」ことを先延ばしにしたくなるのは、単に読むだけでは済まないことに薄々気づいているからかもしれません。

読んだうえで、その内容が頭の中から消えてなくなる前に何らかの形で整理して記録に残す必要がある。でも、どういう風に記録に残せばいいのだろう? ・・・そんなことを考えているうちに面倒になってきて「あとで読む」は「いつか読む」になってしまうのです。

これを防ぐためには、

  • 1.その本から何を得たいのかの目的を明確にしたうえで、
  • 2.先ほどの2種類の読み方のどちらで行くのかを決め、
  • 3-a.前者でいくなら「読書メモ」を取りながら読む
  • 3-b.後者でいくなら「後処理」のための時間を確保したうえで片っ端から読んで行く

という3ステップを踏んでいく必要があります。

特に目的が明確になっていないと、「とにかく読破すること」が目的となってしまい、後に何も残らないということになりかねません。

今回ご紹介した、

  • 時間をかけて躾ける
  • 道を平坦にする
  • 読書メモができるようにしておく

という話はいずれも「読む」ためのブースターであり、どこに向かうかを決めるコンパスは別途用意する必要があるわけです。

言い換えれば、コンパスさえあれば前に進むことができます。
ブースターがあれば、いっそう速くかつ確実に進むことができます。

その「あとで読む」はどこに向かうためのものですか?

Kindle版がおトクでおすすめです。

Pocket (Formerly Read It Later)

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