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売れれば売れるほど…

By: Nick CarterCC BY 2.0


商品やサービスを作り、値段をつけて売り出す。

このとき考えておくべきことは、売れる数量とそれにともなって生じるコスト。
できれば、いくら売れてもコストはいっさいかからないほうが望ましい。
ましてや「まとまった量」を作るための「まとまったコスト」がかかることは避けたい。
理想は、最初に商品やサービスを作るのにかかったコストがすべてであるという状態。

例えば、100万円の開発費用がかかったサービスを単価1万円で売るとき、最初の100人に売り終えた時点でコストが回収でき、101人目以降はすべて利益になる、という状態。

もちろん、売り続けるための販売促進や広告宣伝のためのコストも必要なので「すべてが利益になる」ことはないが、それが「まとまったコスト」になることはない。そのためには販売促進や広告宣伝をあるていど自動化するしかない。

かつてはそんなことは不可能だったが、今は少しずつ可能になってきている。

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私はまだ経験も浅く世間知らずではあったが、慎重な面も持ち合わせていた。この注文を引き受けた場合に起こるあらゆる結果を想定したあと、机に向かってU字型の曲線を描いてみた。

5000個の注文は定価で受けるとして、曲線はそこから始まる。1万個で値引きをしてカーブはそこで最低となる。そこから値段は再び上がりはじめ、5万個で単価が5000個の場合を超え、10万個となると、その差はずっと大きくなるというわけだ。

こんな見積もりなんて聞いたこともないことは百も承知だが、私はこう考えた。

10万個の注文を受けるための生産規模を2倍に拡張したとして、翌年にその注文が来なくなったら、これは大変なことで、おそらく破産に追い込まれるだろう。

従って、保守的で慎重すぎるかもしれないが、大量の注文を受けるとするなら、その注文だけで生産規模の拡張費をまかなえるだけの利益を見込んでおくべきだ、と考えた。

規模を拡張するというのは安易にやるべきことではない。新規に金を借りるのはむずかしい。だから私はたった1回の注文のために、このような拡張をするのは良い方策ではないと考えた。(p.155)


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