チャールズ・ミンガスというジャズ演奏家の言葉に、
簡単なことを複雑にするのはよくあること。
複雑なことを簡単に、驚くほど簡単にすること――これが創造力だ
というのがある。
さして新しいことはないように思えるが、日々の仕事を振り返ってみたときに、「複雑なことを簡単にする」ことは容易ではないことに気づく。
例えば、この1週間で複雑なことを簡単に変換できた事例はいくつあるだろうか?
普段から心がけているつもりでも、その心がけの実践として具体的に何をしたかを淀みなく答えるのは難しい。
日々の瞬間瞬間は無意識による自動運転でどんどん過ぎ去っていっている。
心がけているはずのことが実践できていないとしたら、その原因として考えられるのは、一度に心がけることが多すぎるからではないか、ということ。
たくさんあっても一度に注意を向けられるのはせいぜい2,3個。仕事をしていれば注意というリソースの大半を消費してしまうことを考えれば、思い切って1個だけに絞ってもいいくらい。
例えば「今日は誤字脱字をしないように心がける」と決めたら、他のことはともかく、メールでも報告書でも、とにかく自分が書く文章においては誤字脱字をしない、ということだけに意識を集中させる。
これを1日やり通してみて初めて「今日は誤字脱字を一切しませんでした」と自信を持って言い切れる。
たくさんあることを1つに絞ることは、複雑なことを簡単にするための一番簡単な方法である。
1つに絞る基準をどう決めればいいかについては『減らす技術』という本に載っていた以下の2つの原則が参考になる。
- 制限する──制限することで「本質に迫ること」を厳選する
- 本質に迫ることだけを選ぶ──時間とエネルギーを最大限活用し、小さな元手で大きなインパクトを生み出せる