安易に成功しそうなものを選ぶようでは大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、自らの名を冠した法則や思想を生み出すことはできない。大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく、制約要因にすぎないと見る
まず、見出しに掲げた「優先順位を決めるための4つの原則」について。本文では次の4つが挙げられている。
- 1.過去ではなく未来を選ぶ
- 2.問題ではなく機会に焦点を合わせる
- 3.横並びでなく独自性を持つ
- 4.無難なものではなく変革をもたらすものに焦点を合わせる
いずれも具体性に欠けるが、だからこそ自らの置かれた立場と状況に合わせて補完する“歯ごたえ”がある。
4つの原則には共通点がある。
それは、不確実性。
- 1.過去はすでに起きたこと(確実)だが、未来はこれから。
- 2.問題はすでに起きたこと(確実)だが、機会はこれから。
- 3.横並びは前例のあること(確実)だが、独自性はこれから。
- 4.無難とは前例のあること(確実)だが、変革はこれから。
これと先の引用部分を合わせると、だいたいの方針が見えてくる。
特に以下の一文。
大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく、制約要因にすぎないと見る
つまり、
(問題ではなく)機会に注目し、(機会以外の)他の要素は制約要因と見る。すなわち、機会こそが決定要因である、という立場。
「決定要因」とは「やる理由」であり、「制約要因」とは「やらない理由」であるから、前例にとらわれず(=前例をもって「やらない理由」とせず)、チャンスに即して行動を起こす、ということになる。
良きにつけ悪しきにつけ、通常と異なることが起きたとき、そこに「チャンス」を見いだせるかどうか。すなわち、これまでになかったことに対して「これから」の芽を感じ取れるかどうか。
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