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執筆時に停滞したら試したい5つのムーブ


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倉下忠憲文章を書いていて、手が止まってしまうことってありますよね。それもさまざまなレイヤーにおいて。

そんなときに試したい5つのムーブを紹介してみます。

  • 文を動かす
  • 視点を動かす
  • 体を動かす
  • メデイアを動かす
  • 締め切りを動かす

5つのムーブ

文を動かす

まず、一番取りかかりやすいのが文、というか言葉を動かすことです。さまざまな粒度があります。

  • 主語を動かす→想定していた主語と目的語を逆にする。別のものを主語に持ってくる
  • 文を動かす→一つの段落内の文を入れ換える。あるいは別の場所に持っていく
  • 段落を動かす→段落の順番を入れ換える。別の場所に持っていく。
  • 章立てを動かす→同上

このような変更を加えることで、流れがスムーズになったり、必要なものが明らかになったり、逆に不要なものが見えてきたりします。

また、私がよくやる方法ですが、すでに存在している段落の一文を推敲するときに、改行を入れてあえて段落から切り離して、続きの文章を考え直すことをします。

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これも「文を動かす」の一手法と言えるでしょう。

視点を動かす

次に、視点を動かすことです。

  • 俯瞰する→アウトラインを眺める
  • 原点回帰→そもそもその文章の出発点は何だったのか?
  • 読者の気持ちになる→一番伝えたいことは何か?
  • 周りを眺める→別の角度からのインプットを得る

これらのうち、上の三つは文章を見る視点を変えます。目の前にある文の塊ではなく、全体像やコアとなる要素を見据えます。それで点棒が開けることもあるでしょう。

最後の一つは物理的な視点変更です。書棚や書類、風景などを目にすることでインスピレーションが湧いてくるかもしれません(湧いてこないかもしれません)。

体を動かす

体感的にわかりやすいのがこちらでしょう。

  • 散歩する→近場を20分ほど
  • 場所を変える→いつもと違う場所で書く

散歩の有用性は多くの書き手が口にしています。将来VRが発達したら家にいながらでも散歩ができるかもしれませんが、その場合は体を動かさないので、もしかしたら効果は半減するかもしれません。ともかく、「体を動かすこと」「いったん考えることから離脱すること」「違う景色(情報)を目に入れること」などが複合的に作用します。

また、申告に手が止まっている場合は、いつもの執筆場所とは違う場所でパソコンやノートを広げてみるのも一手でしょう。最初は違和感があるかもしれませんが、その違和感が停滞を打ち破ってくれる可能性があります。

メデイアを動かす

上は、自分自身を動かすことでしたが、逆にコンテンツを移動させることもできます。

  • プリントアウト→紙に印刷して読んでみる
  • 形式変換→アウトラインを表組みに、表組みをマインドマップに
  • 聞いてみる→パソコンやスマートフォンに読み上げてもらう
  • 誰かに話す→自分で誰かに内容を説明してみる

いつもディスプレイで見ている原稿を、プリントアウトしてみるとまた違った感触があります。横書きを縦書き、縦書きを横にすることも同様です。

また、箇条書きになっているものを横に並べた表組みにしてみたり、あるいは表組みになっているものをマインドマップ形式にしてみてもよいでしょう。新しい発見があるかもしれません。

他には、自分が書いた原稿をパソコンの読み上げ機能で「聞いてみる」という手もあります。言葉の遣い方や音の連なりに意識が向くことでしょう。

最後に、書いている内容について話し言葉で誰かに説明してみる、というのも空気を入れ換える良い手段です。たぶんそこで出てくる説明やたとえは、普段とは違ったものになるでしょうから、脳のエクササイズになってくれるでしょう。

締め切りを動かす

上記のようなことを散々試した挙げ句、それでもどうしても書けないなら、しかるべき筋にお願いして締切を延ばしてもらいましょう。

自分で決めた締切なら、なんとなく先送りするのではなく、きちんと新しい締切を決め直すのがポイントになります。

さいごに

最後は若干オチめいてしまいましたが、やむにやまれる事情によってどうしても間に合わないことはあるでしょう。そういうときには、無理の限界を超えないように適切に対応することは存外に大切ではないかと思います。

とりあえず、原稿用紙の前でウンウン唸っているだけでは何も進まないことが多いので、いろいろ「動かして」みるのがよいでしょう。

▼今週の一冊:

少し古い本ですが、改めて読んでいます。取りかかる前に問題について精査する、という視点は、『SPRINT 最速仕事術』と近しい感じがします。大切な視点です。


▼編集後記:
倉下忠憲



結構毎日キリッキリに原稿を書いています。締切があるからなんですが、締切を設定することでネジが巻かれる現象はたしかにあります。僕らの自律って、基本的にはそれくらいのレベルなのでしょう。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中