知的生産におけるインプットでは「読書」は欠かせない存在だと思います。単に読むだけではなく、書いてあったことを活用するために「読書メモ」や「読書ノート」を書いておられる方も多いのではないでしょうか。逆にメモを取りたいと思っていてもなかなか実行できない方もおられるかも知れません。
今回は、読書メモに使えそうな方法を4つ紹介しておきます。「読書メモ」や「読書ノート」を付けてみたい方は参考にしてみてください。
レバレッジ・メモ
レバレッジシリーズでおなじみの本田直之氏が提唱する方法です。重要と思われる箇所に線を引きながら読書を進めていきます。読了後に、その線を引いた部分だけを抜粋しておくという方法です。
抜粋部分をPCに打ち込み、A4でプリントアウトして持ち歩き、時間が空いたときにそれに目を通すことで、その本の重要な部分だけを再読することができる、という効果があります。「自分なりの濃縮本」を作ると言ってもよいでしょう。
忙しいビジネスパーソンが本の内容を頭に染みこませるにはこのやり方が便利です。
コーネル式ノート
ノートに線を引いて3分割する方法です。分割されたスペースは「ノート」「キュー」「サマリー」と呼びます。
※詳しい内容は関連エントリーをご覧下さい。
読書中に重要な部分や気になった箇所に線を引いていくところまではレバレッジメモと同じです。
読了後は、一番大きな「ノート」スペースに全体の話の流れを書き込んでいきます。線を引いた重要な部分はその骨子になるでしょう。あるいは特別な固有名詞なども書き込んでいきます。この時は「キュー」「サマリー」スペースは空けておきます。
しばらく時間を置いた後に、「ノート」部分を読み返します。読了直後では気がつかなかった疑問や自分があまり理解できていなかった部分が見つかれば「キュー」のスペースに書き込んでいきます。本の中で使われていた特別な固有名詞も意味を忘れてしまっていれば、もう一度調べて「キュー」のスペースに書き込んでおきます。
「サマリー」のスペースには、ノート部分あるいは本全体の要約を書き込みます。ある程度時間が経っていると本当に重要な部分が見えてきて、シンプルにまとめられるはずです。もしうまくまとめられないならば、もう少し時間を置いてみるか本を再読してもいいかもしれません。
一冊の本を「講義」として捉え、それを復習していくやり方がコーネル式ノートでの読書メモです。
取材ノート式
これは「わかりやすさ」で有名な池上彰氏が実践されている取材ノートの方法を読書向けにアレンジしたものです。考え方自体はコーネル式ノートとほとんど同じです。ノートは見開き2ページを使い、右のページのやや下部に線を引きます。コーネル式ノートの「サマリー」を作るような感じです。
読書中はキーワードと固有名詞に限定して線を引いていきます。読了したら左のページにそのキーワードと固有名詞を抜き書きしていきます。この際文章は一切使いません。抜き書きを終えたら、右ページに、それらのキーワードや固有名詞を使いながら本の内容を「再現」していきます。この際は文章の形で書き出します。もちろん本は参照しません。右下の部分には本についての自分の感想を書いておきます。
やってみるとわかりますが、これはなかなか疲れます。読書のメモというよりもある種のトレーニングのような趣もあります。ただ、右の部分できっちり本の内容を「再現」できたのならば、その本について誰かに説明するのが簡単になることは間違いありません。なかなか時間のかかる方法ですが、本の内容をじっくり理解したい場合には試してみる価値はあると思います。
マインドマップ
この連載でも何度か紹介しているマインドマップ。本の内容をまとめるのにも便利ですが、感想を膨らませていく際にも使えます。
本のまとめ
本の内容をまとめる場合には中心に「キーワード」を置いて、「How?」「What?」という言葉から本の内容をまとめていきます。
※別に英語でなくてもかまいません。
『デザイン思考が世界を変える』という本の目次の次のページには「デザイン思考」を中心としたマインドマップが掲載されています。まとめのお手本のようなマインドマップですので参考にしてみてください。マインドマップを見直せば本の内容がリマインドされる、そういったものが出来ればベストです。
感想
感想を書く場合は、中心に本のタイトルを書いてあとは思いつくままに枝を広げていきます。その場合は本にとっての重要度__つまり著者が重要と考える点__は気にしないで、自分が面白いと考えたところを重要視した方が良いと思います。
面白いと感じた本を読了した時点で一枚書いてみて、その後時間を置いて再読してからもう一枚書いてみる。それを比較して見てみるのも楽しい作業です。
これは知的生産のインプットというよりも、読書をより楽しむための方法と言えるかも知れません。
まとめ
今回は読書メモの取り方を目的別に分けて4つ紹介しました。
- レバレッジ・メモ
- コーネル式ノート
- 取材ノート
- マインドマップ
これ以外にも読書メモの取り方はありますし、独自のやり方を考えることもできます。まだ「読書メモ」を取ったことがないという方は、今回紹介した方法を参考にしてみてください。一冊の本からの学びは今よりも増えてくること請け合いです。
▼参考文献:
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名著をじっくり読むより、私は多読好きだと思った。
「レバレッジ」という考え方
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▼関連エントリー:
・ITmedia Biz.ID:講義ノートの取り方と復習のコツ
▼今週の一冊:
今週は読んだ本の中で一番印象に残った本は・・・と見返してみると『知的生産の技術』でした。何回読み直したかはもう憶えていませんが、読む度に線を引く箇所が見つかるのが不思議です。例えば次のような一節。
カード・システムのためのカードは、多様な知的作業のどれにもたえられるような多目的カードでなければならない。
この「多目的カード」という部分とEvernoteが私の中でリンクしました。ノートのフォーマットが固まっていないEvernoteはまさに多目的カードそのものと言えるかも知れません。Evernote=知的生産のツールのベスト・ソリューションという認識はますます固まっていくばかりです。ノートやメモについて困っている方はまずこの一冊から読み込んでいくのがよいと思います。
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