前回は「一週間の俯瞰」について書いてみました。
一週間の俯瞰を作り、一日の最初と最後に少しだけチェックする。これだけでも一日の過ごし方に変化が出てくるでしょう。
では、その「一日」のレベルにおいて手帳はどのような活躍を見せてくれるでしょうか。
今回は、それについて書いてみます。
二週類の「一日ページ」
次のブログ記事では、ほぼ日手帳カズンのデイリーページの使い方が紹介されています。
私のほぼ日手帳カズンの使い方 ー 2012.04.03版 – なんかカラフルな生活
考えていること「ミッションステートメントと達成のためのワークフロー」 …
デリイーページの使い方の例
- 4行日記フォーマット
- SEの心構え
- Doingリスト
- スケジュール
- タスクリスト
- リマインダー
- ノート
- 参考資料
- 考えていること「ミッションステートメントと達成のためのワークフロー」
とてもたくさんの情報がページに盛り込まれています。これぐらいたっぷり情報が詰まっていると、さぞかし仕事が進みそうな気がしますね。
では、こちらはどうでしょうか。
リーガルパットに一日分の作業を書き出したものです。「爪を切る」などの細かい作業は入っていませんが、その日こなしておけば社会人的生活に破綻がでないレベルの「重要な」作業が並んでいます。上の使い方に比べると、やや情報不足感は否めません。
紹介した二つの「手帳術」は一見まったく異なったものですが、実は共通点があります。もちろん「紙とペンを使って書いている」、ではありません。
では、一体なんでしょうか。
共通点に潜むメリット
その共通点は、「一日のベースキャンプ」__一日の作業の根拠地__を作っている点です。
一日の最初に(あるいは前日の夜に)準備を整え、必要になったらいつでもそこに帰ってこられる場所。そういう場所を持っておくと、進行がずいぶん楽になります。たとえば次のようなメリットが考えられるでしょう。
- リストを見逃さない
- 復旧ポイント
- 脱線しにくい
リストを見逃さない
「次の行動リスト」があると、次に何をするのかについて考える必要がなくなります。
ここでのポイントは「リストを作れば」ではなく「リストがあれば」な所です。リストは作っただけではあまり意味がありません。結局の所、どれだけ精巧なリストを作り上げても参照しなければ意味がないのは自明のことでしょう。必要な時にアクセスできてこそのリストです。
一日の行動の拠り所となる場所を持っておき、そこにリストを作っておけば、「リストを作ったのに、結局参照しなかった」という事態を防げます。
復旧ポイント
作業を進めていると、脱線なり横やりが入ることもあります。そういう時は頭が完全に別の情報処理に追われ、それが終わった後に「えっと、さっきまで何してたっけ?」といった状態になることもあるでしょう。
そういう時でも、「とりあえずあのページを見よう」という場所があれば復旧が可能です。
脱線しにくい
「次に何をしようか」と頭の中だけで考えると、脱線の足音が聞こえ始めます。どうしてもついさっき目に入った情報を優先したくなるのです。
デスクトップの掃除を始めたり、雑誌を読み始めたり、ウェブページをチェックし始めたり、ツイッターに投稿しはじめたりと、別にやろうとは思っていなかったけれども、気になるからやってしまうことは沢山あります。
ベースキャンプがあれば、一つの作業を終えたら、「済」マーク__赤線を入れるなど__を付けに戻ることになります。そうすると、リストが目に入り「次に何をしようか」をそのリストの中から選べるようになります。言い換えれば「次何をしようか」という選択肢が絞り込まれるわけです。
これが脱線の確率を減少させてくれます。
さいごに
今回は一日のベースキャンプについて紹介しました。
朝一番に、「今日の行動はここを見ればOK」というものを作ってみてください。普段持ち歩く手帳やノートが最適なツールでしょう。パソコン作業が多いならばもちろんパソコンでもOKです。たんに作るだけでなく、アクセスしやすい状況にしておくのも大切です。
日中は、それを常に参照しながら作業を行い、作業を終えたらチェックを付けに戻ってください。次に何をするかで迷った場合もそのリストを参照します。ベースから出発してベースに戻ってくる感覚です。
そして、一日の最後にはベースを撤収して、明日のベースキャンプ作りに備えましょう。
ただこれだけのことですが、安心感はかなり変わってくると思います。
▼参考図書:
▼倉下&北式の手帳の使い方を一冊の本に纏めています
Follow @rashita2
6月後半の新刊発売に向けて、販促のアイデアを考え中です。
前職の職種がら、実はこういうのを考えるのが結構好きなのです。もちろん、広告費バーンとかけて、とかではなくオリジナリティのある販促アイデアを考えてみたいものです。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。