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今日からはじめる手帳術 第17回 一週間を俯瞰したい


photo credit: R. Motti via photo pin cc

倉下忠憲前回は北さんが、スマートフォンやクラウドが手帳環境に与えた変化を紹介されました。

» 今日からはじめる手帳術 第16回 手帳の役割と環境の変化

ツールそのものの優劣を決める必要はありません。状況や目的に合わせて最適な手段を選ぶことが肝要です。

さて、前回の引きで北さんが

次回からは具体的な手帳の使い方について取り上げて行きたいと思います。

と書かれていたので、今回はその辺りについて書いてみます。


I want “Weekly View”.

次の写真は、私の愛用しているほぼ日手帳カズンの「週間ダイアリー」のページです。

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その週の作業時間と進めるタスクが見開きのページにまとめてあります。ある種の「計画」といってよいでしょう。

こういうのを見て、「面白そう」と感じるのか「面倒くさそう」と感じるのかは、人それぞれでしょう。作成にかかる時間は20分程度ですが、ものすごい手間に感じる人がいてもおかしくはありません。

なぜ、わざわざこのような使い方をしているのかというと、「一週間を俯瞰したい」からです。

つまり、

  • 手持ちの作業時間を知りたい
  • その週に進めるべきタスクを把握したい
  • 現状どのぐらい進捗しているのか知りたい

という自分自身の目的があり、その目的を実現するためのツールとして手帳の「週間ダイアリー」を使っているわけです。

私自身の体験から言えば、少なくともこれを書いておくと、一週間は心穏やかにタスク処理が進められます。逆にこれを書いていないと、もやもやした感じがいつも付きまとうことになります。

もちろん、こうしたことを書いたからといって、その通り時間が使えるわけではありません。

予想外のトラブルもあるでしょうし、怠惰に流されてしまうこともあるでしょう。そういう場合に「計画通りにいかないのだから、計画を立てるのは無意味」と判断してしまうのはあまりにも性急です。

手持ちの作業時間を知りたい

なんとなく私たちは一日が24時間__つまりたっぷり__あるように感じますが、実際のところ睡眠時間やら雑務の時間を引いてみると、「何かができる時間」はそれほど多くありません。これを忘れると痛い目にあいます。

たとえば、私は毎日Blogを更新し、メルマガ用の原稿を書いています。それぞれ1時間かかるとすると、もうそれだけで一日の作業時間が2時間消費されていることになります。

ある日にイベントが入っていて半日程度外出しなければならないとしましょう。そういうときに「Blogとメルマガは前の日に書いておこう」と考えることがあります。とても合理的な判断です。が、なぜかしらその作業に2時間かかることは忘れられがちです。まるで次の日の予定を前倒しにしたら一日が26時間になるような感覚を持って、予定を立ててしまいます。

そういう予定は当然うまくいかず、先送りされることになります。その先送りもうまく消化されるかどうかの保証はありません。

何かをやろうと思えば、何かをやめる必要がある、というのはごくありふれた言葉ですが、一週間の時間を俯瞰するとそれがよく見えてきます。

タスクのリストと進捗

タスクリストを頭の中だけで管理するのも、よほど優れた脳をお持ちの方でない限りオススメしません。これは忘却に対抗する目的もありますが、それ以外にも大切な意味合いがあります。

たとえば新規でタスクが入ってきたときに、「今何を優先すべきか」を判断しなければなりません。こういう場合に書き出しておくのはたいへん有効です。頭の中だけでやってしまうと、どうしても「新規」で入ってきたものに反応したくなるからです。

予定外のことが起きた場合、優先順位を変えて予定外のことに注力するのか、それとも優先順位の下の方を切り捨てて予定外のものを放り込むのか、といった決断ができるのは予定があるからです。

また、週の中頃に「あまり予定通り進んでいないな」という事態に直面したときも同様です。「週の後半がんばろう!」と決意するのは良いのですが、結局それにも時間を使います。「ここの部分はやって、この作業は切り捨てる」という判断をしない限り、睡眠時間を削減しまくらなければならないでしょう。

さいごに

計画というのは予め引かれた直線みたいなものです。

その線があるからこそ、実績がどれぐらいズレているのかが分かります。それが分かれば、線に向かって軌道修正することもできますし、新しく線を引き直すこともできるでしょう。

どちらにせよ、計画通りに実行することではなく、計画を土台にして現実の行動に役立てることが大切です。

紙の手帳に書くのが面倒ならば、表計算ソフトやらカレンダー系のアプリを使ってもよいでしょう。その辺はケースバイケースです。何であれ、一度一週間分の自分の時間の使い方を予定し、実績を残してみるとよいでしょう。きっといろいろ「発見」があるかと思います。

もう一歩踏み込んだ「週間ダイアリー」の使い方については、拙著の『シゴタノ!手帳術』『ハイブリッド手帳術』を参照してくださいませ。

▼参考図書:

▼倉下&北式の手帳の使い方を一冊の本に纏めています


▼編集後記:
倉下忠憲



6冊目の本がすでにアマゾンに登録されております。詳細はまたおいおい紹介させていただきますので、お楽しみに。



▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。