この「気分転換」について検討してみましょう。大橋さんは譲歩気味に「時間が惜しいなら気分転換の時間を使って計画に充てる」と書いていますがこの語に括弧があるのは要するに「気分転換」は「無駄」だからです。
もし、このような書き出し作業をしている時間が惜しい、というのなら、この仕事から目をそらして「気分転換」をしている時間を割り当てればよいでしょう。 仕事が滞っているなら、すでにそのようにして失われている時間があるはずだからです。
陥りがちな心理的悪循環を避けるためには?
〆切の近い複数の仕事を抱えていて、どれにも時間を十分充てられないと思うと、ヒトはどうしてもネガティブになります。時間というものは止めることがないため仕事にとりくまない限りこのネガティブな気分に歯止めをかけることはできませんが、不十分なやり方でしか取り組めないため取り組んでもポジティブになれそうもない。
そこで次のような心理的悪循環に陥ります。
- 時間が十分でないので複数の仕事全部に対して不安を抱いて不吉な雰囲気を感じてしまっている
- 1つの仕事を選び取る必然性がなく、どれを選んでも中途半端に終わり、しかも〆切に間に合わない不安をぬぐえない
- こうしたネガティブな気分を和らげるために、やれば絶対成果の上がる掃除や整理、反応のえられるSNS、あるいは妄想を愉しむ
- その分の時間がなくなるので現実に帰るといっそう不安になる
これが「気分転換」にいたる心理的なメカニズムです。私達がタスクシュート方式を奨める大きな理由の1つとして、この心理的な負のスパイラルに陥ったとき復帰する1つの手段を提供できるからです。