※当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

デジタルノートとしてのNotion


倉下忠憲

前回はモダンなアウトライナーのWorkFlowyとDynalistを紹介しました。今回は、最近人気が急上昇しているNotionを紹介します。

Notion: タスクも、メモも、ナレッジも、すべてをひとつにする All-in-one workspace


Notionとは?

Notionは、超多機能デジタルノートです。おそらく、アナログのノート好きの人が、「こういうデジタルノートがあったらいいな」と想像できる機能のほとんどすべてを備えている、と言っても過言ではないでしょう。それくらいにさまざまな機能が備わっています。

  • カテゴリーによるページの大分類
  • データベース
  • 多種のリスト
  • カレンダー
  • タイムライン
  • ページごとのヘッダー画像
  • テンプレート機能
  • ページ間のリンク/バックリンク
  • ページの共有/Webへの公開

上記はほんの一部であり、紹介しきれないくらいたくさんの機能があります。ツール紹介のページにある「タスクも、メモも、ナレッジ」という表現は伊達ではありません。たいていのことは、このツール一つで扱えてしまいます。

その意味で、万能のデジタルノートと呼ぶことができるでしょう。

多機能であるがゆえに

一方で、その多機能さは良いことばかりではありません。

まず、あまりに機能が多いのでこのツールで具体的に何ができるのかを把握しづらい問題があります。「いろいろなことができるのはわかった。で、何をすればいい?」となりがちなのです。また、それぞれの機能は違った方向性を持っているために、使い方もそのたびごとに学ばなければなりません。学習コストが高い、ということです。

加えて、これは万能ツールに共通する特徴ですが、個々の機能の使い勝手に関してはどうしても専用ツールに見劣りする部分が出てきます。たとえば、バレットを作って入れ子状のリストを操作する点で言えば、やはりアウトライナーを使うのが快適ですし、リンクでページを繋げていく機能も(次回紹介する予定の)ScrapboxやObsidianには使い勝手が劣ります。特化したツールに慣れているからすると物足りなさが出てくる局面はあるでしょう。

最後に、「どんな情報も一ヶ所に集められる」というEvernoteとの共通点は、Evernoteと同種の問題──なんでもかんでも入れ過ぎて中身がわけわからんことになる──を引き起こす懸念を持っています。

Notionでは、階層的に情報を整理していけるので、情報の量が少ないうちは綺麗に整理できて全体を把握できるのですが、その数が膨大になるのと自分でもどこに何が置かれているのかが把握できなくなります。

そして、「どんな情報もこの場所に集める」を実施していると、すぐに情報の量は膨大になります。その点を考えて、情報整理の構造を考えておく必要はあるでしょう。

データベース・フル

上記の課題を踏まえた上で、Notionにしかできないことを考えてみると、やはり「データベース」の機能が挙げられます。簡易のデータベースを、個人の情報環境に導入できるのは、端的に言って素晴らしいことです。

たとえば、以下は私が「気になった本」を書き留めているページですが、簡単な表組みに見えるこのページはきちんと「データベース」になっています。構成要素に対してフィルターを書けたり、ソート順を変更したりが可能です。



しかも、複雑な命令を覚える必要はなく、クリック操作だけでそれが可能です。

また、上記のデータベースの項目は、一つひとつが「ページ」を持っているので、個別の情報に対しても操作ができます。非常に便利です。

その上、私はこの「データベース」を、Notionが提供しているブラウザ拡張機能だけで作成しています。気になる本のAmazonページで、その拡張機能を使う→Notionにそのページの情報が取り込まれる、という情報の流れが簡単に実現するのです。

EvernoteのWebクリッパーは、WebページをWebページとして保存するのが得意ですが、Notionの拡張機能はWebページを、「データベースの一項目」として保存してくれる特徴を持ちます。保存した後、それらの情報をどう扱いたいかによって、この選択は変わってくるでしょう。

さいごに

以上のように、NotionはEvernoteと似た性質を持ちながらも、情報の扱い方が少し違っています。Notionはデータベース指向なのです。

ですので、NotionをNotionらしく使う場合は、この「データベース」の設計が重要な鍵を握ってくるでしょう。

ある程度習熟し、「データベース」が利用できるようになると、さまざまな「情報処理」が自分の手で行えるようになります。たとえば、以下のページで紹介されている手法などは、いかにもデジタルノートらしい情報処理だと言えるでしょう。

そろそろやりましょうと教えてくれる、Notionの「おそうじカウントダウン」| Mandarin Note

こういうことができるようになると、少しずつNotionが面白くなってくると思います。

というわけで今回はNotionを紹介しました。次回はScrapbox/Obsidianを紹介します。

デジタルノートテイキング連載一覧

▼編集後記:
倉下忠憲




並行して走っているプロジェクトがあって、そのすべてで仕事の内容が違っています。文章を扱うという点は共通しているのですが、それでも頭の使い方がぜんぜん違いますね。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中