会社を辞め、ひとり事業を始めてから今年で21年目に入った大橋です。
会社員歴4年に対して、ひとり事業歴は20年と5倍長いですが、「これはまずい!」というピンチに陥る頻度は会社員時代に比べると体感的には5倍以上だと感じています。
なぜピンチに陥るかというと、これは、まぁ、正直言うとあまり認めたくないのですが…
- 自分を過信していたり
- ラクをしようと思っていたり
- 現実を都合よく解釈していたり
といった“ルール違反”を犯しているからでしょう。
ピンチとは事業運営におけるイエローカードのようなものと言えるかもしれません。
「さすがにそのプレイは見過ごすわけにはいかぬ!」
ということで、目に見えない審判が様々な形をとって行く手を阻むのです。
フェアプレイに徹しているつもりでも、長く続けるうちに、いつしか、
- 自分のやり方は正しい
- 自分のやり方こそ正しい
- 自分のやり方だけが正しいのだ
という具合に、どんどんヒートアップしていき、もはや審判もついていけなくなり、最終的には『山月記』の李徴のごとく虎になってしまう。
▼『山月記』はKindleで無料で読めます(Unlimitedでなくても)。
前置きが長くなりましたが、『創業社長』というKindleコミックを読みました。
読み終えたとき「あぁ、これは人が虎になる話じゃないか」と『山月記』のことを思い出したのです。
タイトルのとおり、一人の人物が終戦後の焼け野原から事業を創業し、着々と成果を収め、業容を拡大していく過程が描かれ、頂点に到達したところで一気に転落していくというストーリー。
全5巻なのですが、最終巻の5巻中盤までは多少のピンチに陥りつつも、足を引っぱるライバルがルール違反をしまくるおかげで、結果としては悠然と勝ち上がっていきます。
さながら「半沢直樹」を見ているような痛快さです。
それが、最後の最後で転落。
転落の詳細は描かれませんが、だからこそ『山月記』のラストシーンとだぶるのです。
彼ほどの人物でも最後には虎になるのか、としみじみと諸行無常を感じます。
スケールの差はありますが、僕は僕なりに分相応に身につまされるところが多々あり。
そして何よりも本書を通じて、一事業家としての事業戦略や戦術、そしてこれにまつわるアイデアやヒントが大量に得られ、エトスの面でもパトスの面でもロゴスの面でも多重に刺激に満ちた内容でした。
後半では、僕が残した読書メモをすべてご紹介します。
『創業社長』読書メモ
以下のように、スクリーンショット+自分の言葉で書いたテキストメモをEvernoteに残しています(FastEver 3というiPhone/iPadアプリを使用)。
すべてのスクリーンショットをここに載せるのはさすがに「ルール違反」感が濃厚なので、以降はテキストメモのみ転載します。
コンテクストは失われてしまいますが、テキストメモだけでも「2ページに1回はスクリーンショットをとるくらいに身につまされる内容だった」という僕の興奮っぷりが伝わるのではないか、と考えています。
というか、Kindle Unlimited対象ですので、ぜひ一人でも多くの方に読んでいただきたいです。
テキストメモは全部で72項目ありますが、この項目1つにつきブログ記事1本書けるくらいの濃度があるので、今後時間をかけて濃縮還元していければと考えています。
では、以下テキストメモです。
1巻
- 雲行きは変わり続ける
- できること×手つかずの空き地=勝機
- 「砂漠」を見つける
- 情熱は自己効力感から来るのではないか?
- 虚しさと闘う
- 衣笠遼一目線で物語を捉え直したらどうなるか?プロデューサー目線。
- 次に何が求められるかを常に考え、先手を打つ
- なぜ先が読めるのか?
- つふさに観察することか
- 間違った情報を広めたくない、というパッション
- 「いま」はいつか終わる、しかも思ったよりも早く
- 『儲かる発想』に通じる
- 見切り千両
- 巧みな交渉術…いったいどこで身につけたのか…?(出来過ぎてる)
2巻
- 正直にやっている人間の方が強い
- 『人を動かす』に通じる
- 自分の絶対的な利得ではなく相手との関係性によって変動する相対的な利得を示す(つまり、巻き込む)
- だから、こういう知識はいったいどこでいつの間に身につけたのか、と問いたい
- ふりかかった災いを即座に教訓に変換する
- 商売は短気を起こしたほうが負け
- まず、相手にアラを出させ、これを突く
- 法律の勉強はどこで…あ、10年間の準備期間にやったのか!(想像)
- 確実に効く状況を作った上でハッタリをかます
- 反論を予測し、これに対する再反論の証拠を用意しておく
- 相手にとって持ち出されると困る話を見つけておく
- 攻撃してくる相手が何を恐れているのかを明らかにする
- 誰も疑いを抱かない現状の矛盾を怒りをもって突く
- 自ら斥候役を務める
- 有事に際しては不安を抱く前にまず、現状を確認する
- 目立つと矢面に立たされる
- 人はなぜ出資するか?裏を返せば人に出資してもらう方法がわかる
- 革新は常に必要だが飛躍的な革新は望まれていない
- 顧客に提供できているメリットは何か? それはどんな競争優位性を生み出しているか?
- フランチャイズ=能力のモジュール化?
3巻
- 彼には心のスキというものがないのか?ないとしたら無敵じゃないか。
- ジャパネットたかたの個人情報漏えい後の対応を思い出す
- わけもなく涙が流れる
- 「張り合うだけが商法ではないッ!」
- 1円差でも勝ちは勝ち、負けは負け
- マス広告より地域密着のターゲット広告
- 受付を突破する上品なゲリラ戦法
- 業界間の力関係を垣間見る、突破口は常に関節にある
- 地位を覆すにはゲリラ戦法しかない
- この闘いは誰のためなのか?
- 「闘う人間にとって原点的なマイナス要因は闘争的なエネルギーになっていく」
- 「いいかね、これは我々が試されているんだ!」
- 採算度外視の本当の意味
- 直接攻撃しなくても、間接的な攻撃を長期間継続して繰り出し続けるだけでよい
- 互いのミッションをぶつけ合う
- 顧客を味方につけるには「仮想敵」が要る
4巻
- 仲介業者を排除する、Amazonみたいな考え方
- テナントになる価値をどう訴求するか
- 「たわけ」の語源は「田分け」(へぇ~)
- 「小刻みな容量で売ってゆくほうがより利益が大きいという法則」 ← 敷居を下げてトライアルを増やす?
- 時間の経過は曖昧にしか描かれない
- 「自分たちが作りあげたものがどこでどういう形で役に立っているのか、それを知るだけでも労働への意欲が違ってくるのだ」
- 「仕事のよろこびをあたえる」
- 戦国武将の軍議みたいだ
- 傭兵は流動的であり、だからこそ良いし、だからこそまずい
- 地道なアクセス解析
- 出血覚悟の無料オファー
- 時間を空けてのフォローアップの重要性
5巻
- 出血覚悟の無料オファーよりクーポン配布作戦
- フリーではなく指名客をとるために
- 熱い…!人蕩し…!
- アイデアを思いついても、実行に移しても、タイミングが合わなければ…
- 「成功者が必ずしも勝利者になるとは限らない」
- マネジメント手腕
- リースにするか資産にするか問題
- 騎馬民族と農耕民族
- 成功の頂点に上り詰めたらあとは下降するしかない
- 諸行無常。
参考文献:
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