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「あなたはもう私たちのお客さまではありません」をいかに伝えればいいか?



大橋悦夫毎月2回ほど午前中の時間帯にワークショップを開催しており、終了後はランチ会を行っています。

開催はたいてい土曜日なので、予約をしているのですが、ランチの予約ができるお店は意外と少なく、しかも休日となるとさらに少ないという印象で、毎回それなりに苦労してきました。

それが、数年前に見つけたお店が味も対応も素晴らしく、予約も可能ということで、以降きっちり毎月2回、このお店でランチ会を続けてきました。

当初はいつ行っても空いていて、「予約は要らないんじゃないか?」と思うほどだったのが、今年に入ってだんだん人気店になり、行きづらくなりました。

予約は12時からにしているのですが、12時にお店に着くと8割方の席が埋まっています。このお店は2階にあるのですが、散会して帰る頃(13時過ぎ)には階段を埋め尽くす長蛇の列。

なるべく長居しないように気を遣ってはいるのですが、それでもやや申し訳ない気持ちはつねづね感じていました。

それが、先日のランチ会後、いつものように次回のランチ会の予約のために電話をかけたとき「あ、これはもう潮時だ」と感じる対応がありました。

「あなたはもう私たちのお客さまではありません」

そのお店は、ランチメニューはどれも1000円で、別途200円でドリンクを付けられます。それが、今回予約をした際に「ご予約の場合は、ドリンクも必ずご注文いただくようお願いしています」と言われたのです。「ドリンク注文なしのランチのみの場合は、予約ではなく並んでください」とも。

やんわりと予約利用を拒否していると受け止めました。「あなたはもう私たちのお客さまではありません」というメッセージ。

もちろん、お店の都合もあるでしょうから「予約不可」になったとしてもそれは仕方の無いことです。いずれにしても、自分たちはこのお店の想定する客層から外れたのだな、と。

ふと、このことを自分に置き換えてみたときに、「ああ、そうだな」と腑に落ちるところがありました。

「X+Y」でものを考えろ

気持ちよく接客ができない相手や、自分のポテンシャルが最大限に発揮できない条件・体制では、当然ですが良い仕事はできません。

気持ちよく接客ができる相手以外はシャットアウトし、自分のポテンシャルが最大限に発揮できる条件・体制が整わない仕事は断固断る、というスタンスは、自分はもちろん相手にとっても無用な衝突や摩擦を防ぎ、有用な価値を生み出す上では欠かせないことでしょう。

「誰でもOK! どんなスタイルでも対応可能!」を謳えば、間口は広がるかもしれませんが、最終的には自分自身の首を絞めることにつながり、さらに無駄に期待を裏切ることになるため、続かないでしょう。

そこで、ふと島田紳助さんの本に書かれていた「X+Y」の公式のことを思い出しました。

僕がよく言うのは、「X+Y」でものを考えろ、ということ。

「X」は自分の能力。自分は何ができるのか。これは自分にしかわからないのだから、自分自身と向き合って必死に探すしかありません。

「Y」は世の中の流れ。これまでどんなことがあって、いまどんな状況で、五年後十年後、それがどんな風に変わっていくのか。これは資料が揃っているんだから、研究することでわかってくるはずです。

この、「X」と「Y」がわかった時、初めて悩めばいい。「さて、俺は何をしよう」って。そこから、「どうしたら売れるんだろう」「そのためにはどういう笑いをつくったらいいんだろう」って考えを深めていったらいいんです。

「X」と「Y」もわからずにどんなに悩んだって、それは無駄な努力です。

『自己プロデュース力』より

以下の記事にも通じる内容ですね。

» 戦う場所を間違えると戦わずして負けることになる

» 不確実な時代で生き残るためには徹底して客を選ぶ


ただ、「お前はわしの客ではないんじゃー!」とか「そんな体制ではわしは仕事はできん!」と上から目線で迫るのはやはり角が立つので、このあたりをいかに「ふわっ」と、それでいて一切の誤解なく伝えていくかは今後のサバイバルにおいて欠かせない“お作法”になると感じています。

不遜な対応を見かけて残念な気持ちになることが最近増えてきたので、自戒も込めつつ。

参考文献:

取り上げた島田紳助さんの本は以下です(残念ながらKindle版はありません)。


実はこの本の内容は以下のDVDに収録されている講義の1つを活字化したもの。僕自身、このDVDは所有しており何度か見たことがあったのですが、改めて活字で読んでみたら、10年ぶりということもあったにせよ(実際にはこの影響が大きいな)、まったく違ったものに感じられました。その上で、今度は映像で見返したらさらに変化。

そのまま食べても美味しいし、薬味を加えたりお茶漬けにしたりしてもまた違った味を楽しめるひつまぶしを食べているかのような気持ちになりました。