脳がうずうずしていたので、手書きで概念マップを描きました。
この「脳がうずうずしていた」は説明が難しいのですが、頑張ってtryしてみると、「頭の中に概念のネットワークがぽつぽつ思い浮かんでいるのだけども、その全体像が捉まえきれておらず、なんとなくもやもやしている」状態となります。
で、そうしたときには上のような手書きの概念マップをよく描きます。今回は、「現代における知的生産の技術の意義」について脳がうずうずしていたので、それを描き出して整理してみました。
で、書き終えた後に「価値創造」と「フェイクニュース」が二回出ていることに気がつきました。そうなると、ちょっと描き直してみたくなります。
描いたものを描き直す
自分が描いた図を眺めながら、今度は「価値創造」の重なりに重点を置いてリライトしてみました。
同じような要素は出てきていますが、ずいぶんと印象が異なる概念マップとなりました。全体を眺めてみると、「情報化社会における価値創造の意義」といった観点が中心になっていますし、逆に「知的生産の技術」周りの枝葉は切り払われ、整えられています。
さらに、新しい構図では、「人間とAI」「Who」と「What」の対比がよりくっきりと浮かび上がっています。一枚目を描いたときには、それほど印象に残らなかったところが、二枚目では重要事として表出しています。
中心の違い、視点の違い
この二枚の違いは、世界地図の違いに似ているかもしれません。どこの国も自国を中心とした世界地図を使うものですが、それによって地図から受ける印象は変わってきます。扱っている要素はほとんど同じであるにも関わらずです。
上の二枚も、どんな要素を中心の近くに置くか、どの関係性を重要視するのかといった違いによって、見た目から受ける印象の違いが生まれています。これが「切り口」の違いということです。
どちらが正しいという話ではありません。中心に置く概念と関係性が変わるとき、その見え方もまた変わってくるのです。
だから、一度描いた概念マップでも、別の視点で描き直してみることは、物事を立体的に捉える上で有用なわけです。
さいごに
もちろん、「ほとんど変わらないなら、一枚でいいじゃん」という考えはあるでしょう。面倒だから、やらない。差異がないなら、同値である。「効率的」に考えればそうなるかもしれません。
しかし、異なる視点でいちから概念マップを描き直してみると、細かい表現の違いやら、関係性の新しい線引きが生まれてくるものなのです。人間の頭は、ひとときですべてを把握できるほど立派なものではないので、時間を置いて対象を見つめ直すことは、少なくともその対象への理解を深める上では有効です。
もちろん、理解を深めることが目的ではなく、その場凌ぎのアウトプットを即座に作ることが目的ならば、こんな面倒なことはしなくてもよいでしょうが、そうでないならば、一度作った概念マップ・マインドマップ・アウトラインは、別の視点から組み立てて直してみることをおすすめします。
ちなみに、コピペして済ますのではなく、いちから作り直す、というのがこの行為のポイントなります。そうして手間をかけるほど、光を当てられる光点の数は増えていきます。
▼今週の一冊:
100刷目らしいです。すごいですね。
100刷は、めでたいので、金色に。
6月12日出来。 pic.twitter.com/A6pWIEK1oY
— 岩波新書編集部 (@Iwanami_Shinsho) June 11, 2020
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なんとなく、すごーく基礎的な知的生産の技術の話をしたほうがいいのではないか、という気持ちに最近なってきました。それをどこで、どのようにやるのか、というのが問題なわけですが。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。メルマガ毎週月曜配信中。