大橋悦夫さんともう本当に付き合い出しのうちから、私に何度も教えてくれたことがあります。
「仕事は、やり出そうとせず、終わらせようとしない」というのです。
要するに、なんとなく始められるところから不意に始めてみて、やりきる努力を必要とする前に切り上げてしまうべきだというわけです。
これは「スピードハック」に違いはないのですが、どちらかというと「結果として仕事全体を早くするハック」です。このやり方で進むのは断片的で、いわば虫食いの状態をたくさん作りだすだけなのですが、10日たってみて、断片がたくさんあるのと何もないのとでは大違いです。
ダラダラしているのに仕事が進む
やり出す努力は思ったより大変です。そして、終わらせる努力はそれよりも大変です。この2つの努力をいっさいしないように心がけてみると、不思議なくらいダラダラとしているうちに仕事が進むのです。
私はそういう教育をいっさい受けてこなかったため、「やり出すために気合いを入れて、最後までやり抜く精神」を発揮しようとして、10日間なにもしないという逆説的な苦労をずっと続けてきました。このアドバイスは中学生くらいの時から欲しかったものです。
明日はその「やりたくない仕事」の計画を立てる
GTDなどでよくあるのですが、やるべきことを洗い出しているうちに「すごくいいこと」をたくさんやるべきだということに気づいたりします。
このすごくいいことがくせ者で、すごくいいことをいっぱい思いつくのでテンションが上がるのですが、それをする時間がまったくとれないことに気付き、「すごくいいこと」を1つも思いつかなかったときよりもフラストレーションが溜まるのです。
これは少し極端かもしれませんが、「プロジェクトを進めるためには、少なくとも目の前の数項目をもっと分解しなければならない」という自体には、よくぶつかるでしょう。
そういうときに「分解する時間すら、惜しい」というようだと、実にストレスなのです。いますぐ分解したいが、いろいろやっていると結局小一時間くらいかかるかもしれない。そんなに時間はかけられない!となって苦しいわけです。
そこで、「仕事はやり出さず、やり抜く努力もしない」の法則を適用し、「分解」は明日することにします。しかも明日は「分解だけする」ことにします。
これは、こう書くとなんてことのない話に見えますが、懸案事項を前にしてこれをするのは実に勇気が要ります。たとえば、あと十日ほどで書き上げるべき原稿を抱えているとします。
しかし、行き詰まってしまったとします。
そのとき、今日はもう原稿を書かず、明日、原稿に書く内容を分解したり整理するだけにとどめる、という「決意」ができるものかどうか。
こういう事態にぶつかったとき、やってみるとわかりますが、実に難しいものなのです。丸二日、原稿はまったく進まないことになりますし、「もっとうまくやれ」ば、丸二日で一気に事態を打開できるような気がするからです。
しかし、行き詰まった仕事を気合いを入れてやり始めて、書き上げる努力をしようとすると、だいたいは時間ばかり経って、なにもしなかったりするものです。私は学生時代からずっとそうでした。
したがって、「気合いを入れてやり出す」ようなマネは避けます。つまり、一日はもうなにもしないことにしてしまいます。そして、「やり抜く努力」も避けます。つまり、まず計画を立てる時間だけ用意しておいて、計画を立て直すところだけをやるわけです。
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