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「記憶」に始まり「記憶」に終わる



大橋悦夫11年前に夢中になって読んでいた『脳はなにかと言い訳する』を読み返している。一番の理由は父がアルツハイマーと診断されたことで改めて「記憶」や「海馬」に対する関心が強まったこと。

» 脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)


読み返し始めてほどなくして以下のくだりにぶつかった。

意外に思われるかもしれないが、ストレスに慣れることは一種の「記憶の作用」である。環境そのものは変わっていないにもかかわらずストレスが減る──これは「現在の環境をストレスに感じる必要はない」と脳が“記憶”した結果なのだ。(p.30)

ストレスに限らず、人の行動は「記憶」の内容に強く影響を受ける。

今回こうして同じ本を読み返しているのも、前回読んだときに「良い本だ」と感じた記憶による影響が大きい。

すべては「記憶」への働きかけ

「セルフブランディング」という言葉があるが、これも「記憶」という文脈に沿って言えば、

  • 自分をどういう存在として
  • 対象となる人たちの頭の中に
  • 記憶として定着させるか

ということになる。

「自分をどういう存在として」については自己規定(アイデンティティ)を明らかにすること。生まれてから現在に至るまでのすべての記憶の中からどの部分を前面に出すのか。

その上で、その自分はどうありたいのかの未来像(ビジョン)を思い描き、これを実現するための使命(ミッション)を設定していく。

この時点で、「対象となる人」はおのずと絞り込まれるはず。

少なくとも、自分のビジョンに共感・共鳴してくれる人に。

共感や共鳴もやはり「記憶」の作用なので、「この人はこういう人で、こういうビジョンを持って日々のミッションに取り組んでいるのか」というイメージを記憶してもらうこと。

それが「セルフブランディング」ということになる。

記憶してもらうには時間がかかるので、手を変え品を変えながら、発信(刺激)を繰り返していくしかない。

発信する側は、最初はストレスに感じるかもしれないが、繰り返していくうちに慣れる。ストレスが減る。

自分自身が自らのビジョンに共感するまでの間にも時間がかかるのである。

まとめ

自らの「記憶」を整理するところから始まり、ビジョンとミッションを定め、これを対象となる人の「記憶」に留めてもらう。

自分の「記憶」であれ誰かの「記憶」であれ、定着するまでには時間がかかる。この過程をショートカットするのは難しい。

参考文献

» 脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)


また、以下の本で言う「コンセプト」とはまさに「セルフブランディング」であり、そのつくり方と使い方は参考になる。やはりすべては「記憶」への働きかけだと再認識した。

» 無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか? 100億円の価値を生み出す凄いコンセプトのつくり方[Kindle版]