前回、前々回と作業記録をインスタントメッセンジャー(IM)でつけてみる話を書いてきましたが、このようにIMに走り書きするという行為は、要するにどういうことなのか、を考えてみます。
結論から先に言うと、“IM走り書き”は「完了させなくても良い仕事」の極みなのではないかと思っています。「完了させなくても良い仕事」というのは文字通り、取り掛かっても、取り散らかしても、完了はさせなくても良い仕事のことです。
前回、以下のように書きましたが、
「考える」系のタスクの鬼門は「取っ掛かり」ですので、その取っ掛かりを何気ないタイミングで乗り越えてしまえれば、そのタスクから感じるプレッシャーを先に切り崩すことができるわけです。
鬼門である「取っ掛かり」をクリアする上では「やらなくては」という追っ手が迫ってくる前に、先行スタートを切れた方が“レース”を有利に運ぶことができます。
まだ余裕があるうちに「どれどれ」という感じで仕事を“つまみ食い”してみることで“下見”ができます。局地戦において、敵地に攻め込む前に、
1.どこが切り崩しやすいかを探る(=取っ掛かりの糸口を探る)
2.逃走ルートを確保する(=うまくいかなかった時の妥協点を見極めておく)
といった偵察活動になぞらえることができそうです。
“IM走り書き”の特徴は、サッと始められて、スッと終えることができることです。「さぁやるぞ」という気合いを入れなくても始めることができるうえに、始めたら最後「終わるまで中断しにくい」という縛りもありません。
それでいて、たとえ“小さな一歩”でしかなかったとしても、その仕事を白紙の状態から始めるよりも断然取っつきやすくなります。しかも、その一歩は「やらなくては」というプレッシャーに駆られてではなく、「そういえば」ということで自ら主体的に踏み出した一歩ですので、あたかも自分が休んでいる間に仕事が勝手に進んでいるかのような錯覚を感じます。
もちろん、仕事を進めているのは間違いなく自分ではあるのですが、“追われるモード”の自分と“追いかけるモード”の自分という、モードの異なる2人の自分がそれぞれの得意なタイミングで仕事を分担することになるため、そのように感じるのだと思います。
「急ぎではないがやっておくと後で助かる仕事」というエントリーで以下のように書きましたが、
仕事においてもブラウンソースにあたるような作業、すなわち部品として再利用できる作業は先に済ませておくと、後が楽になります。とは言え、忙しい毎日の中で、いつ使うかわからない、もしくは使うことがわかっていても例えば1ヶ月先まで使わないということであれば、そのような部品作りに長々と時間をかけられません。
この「部品作り」と並んで、今回ご紹介した“追いかけるモード”の自分による「完了させなくても良い仕事」は、仕事をスピーディーかつ低ストレスで進める上で有効な方法だと言えるでしょう。
※IMを使わなくてもメモ帳で日時を刻印しながらメモを残す方法があります。これは、前回のエントリーにいただいたコメントで知りました。ありがとうございます。