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仕事をラクに進める上で活用したい3つの「特殊効果」



大橋悦夫1980年代に「ネクタリス」という戦術シミュレーションゲームに夢中になっていました。「PCエンジン」というゲーム機で、20万本売り上げたほどのヒット作。

僕が夢中になった要因の1つに、戦闘時に考慮に入れるべき3つの特殊効果がありました。これらの効果を最大限に引き出すための戦略の妙味に酔いしれたのです。

3つの特殊効果とは次の3つです。

  • 地形効果
  • 支援効果
  • 包囲効果

3つの特殊効果の内容

ネクタリスにおける3つの特殊効果について、簡単にご紹介します。

地形効果

地形効果とは、戦闘時に自分がいる地形に応じて防御力がアップする、というものです。

たとえば、最大の効果が得られるのは「山脈」で、そこで戦闘を行うときは防御力が40%アップします。一方、まったく効果が得られないのが「道路」で、防御力はいっさいアップしません。

自軍が「山脈」におり、敵が「道路」にいる場合、敵は何の障害物もない、まさに狙いやすい「的」の状態であるのに対して、自軍は「山脈」に身を潜めながら攻撃ができるので、被害を受けにくいわけです。

支援効果

支援効果とは、敵と対峙するときに、同一の敵に自軍のほかのユニットが隣接していると、自分の攻撃力と防御力がアップする、というものです。

プロレスにたとえれば、一人の相手に対して、自分ともう1人(あるいはそれ以上の)味方レスラーが対峙しているような格好です。実際に攻撃するのは自分のみですが、相手としては、注意と攻撃が分散するために、結果として、こちらの攻撃が決まりやすくなり、相手からの攻撃はかわしやすくなります(味方が複数いるので)。

包囲効果

包囲効果とは、敵と対峙するときに、同一の敵に自軍のほかのユニットが包囲網を形成していると、その敵の攻撃力と防御力を半減させることができる、というものです。

プロレスにたとえれば、自分のほかに2人の味方レスラーが相手の左右後方に位置しているような、三方向から包囲しているような格好です。実際に攻撃するのは自分のみですが、相手としては、背後にいる2人にも注意を奪われるため、本来の力が発揮できなくなります。

3つの特殊効果の中でも最も強力なものなので、ほかの効果を差し置いてでも、最優先で実現させたい効果です。

↓以下のサイトで、より詳しく解説されています。

» BASE NECTARIS ■ 特殊効果について

↓以下は、支援効果と包囲効果を最大限に引き出して、歩兵(左)が戦車(右)を打ち負かしている様子です。支援効果により自軍ユニット(歩兵)の攻撃力が80から600に激増し、包囲効果により敵軍ユニット(戦車)の攻撃力と防御力が半減しています。

https://gyazo.com/c2e1dfa72b2bc8bdf6f76d460d30ea3e

↓以下の動画の8分42秒あたりから。


仕事にも当てはまる

これら3つの特殊効果は、いずれも仕事にも当てはまります。

地形効果 → 環境ドリブン

身を置く環境に左右されるという意味で、「地形効果」はまさに「環境ドリブン」そのものと言えます。

「環境ドリブン」、「自分ドリブン」、いずれも僕の造語です。

人は身を置く環境によってその行動に影響を受けています。静かな図書館であれば、おのずと集中して勉強をする気になりますし、自宅に帰り着けば放っておいてもリラックスするでしょう。

もちろん、例外もあります。静かすぎる図書館よりも、ある程度騒がしいカフェのほうが仕事がはかどるという人もいるでしょうし、神経が高ぶっていれば自宅でも緊張が解けないこともあるかもしれません。

それでも、たいていは環境を変えることで気分が改まり、行動にも変化がおよぶものです。

このように、環境の力を借りて行動を変えようとするアプローチを「環境ドリブン」と呼んでいます(ドリブンとは「駆動」の意味で、ここでは環境の変化がきっかけとなって行動に何らかの変化が起こる、というニュアンス)。

一方、環境に関係なく、自らの意志と努力によって行動を変えるアプローチもあります。こちらを「自分ドリブン」と呼んでいます。

静かなオフィス、邪魔されない工夫、ノイズキャンセリングヘッドホンや耳栓の使用、などはいずれも「地形効果」を得るためのものと言えるでしょう。


支援効果

仕事において「支援効果」を実感するのは、シェアオフィスやカフェなど、人の目のある環境に身を置いているときです。

その人に自分のことを監視しようという意図がなくても、傍らに真剣にPCに向かっている人がいれば、あるいは視界の中にそういう人の姿があれば、おのずと「自分もちゃんとやらなくっちゃ」という気持ちになります。

間接的に後押ししてくれるという意味で、まさに「支援効果」と言えるでしょう。自宅でも、むしろ自宅のほうが快適に仕事ができるであろうところを、わざわざプレッシャーのかかる場に身を置くのは、この効果を得たいがためなのです。

カフェやシェアオフィスで仕事をすることは、まさにこの「ホーソーン効果」を期待してのことでしょう。

たとえその他人(たち)が自分のことを積極的に監視しようという意図を持っていなかったとしても、

  • その他人(たち)に「ぜんぜん仕事をしないダメな人」などと思われたくない
  • 逆に「何をやっているのかは分からないがとにかく真剣な表情で作業に打ち込んでいる」他人(たち)が常に視界に入ってくることで「自分ももっとがんばらないと」

…といった気持ちが自然と沸き起こってきます。

僕自身がシェアオフィスに赴いて享受しているメリットはまさにこれですが、上記の記事はこのメリットを自宅に居ながらにして実現させようとしていることになります。

言ってみれば、外食する代わりに出前を取る感じです。


包囲効果

最後の「包囲効果」は、意外にも自分一人だけで発揮することができます。厳密に言うと、“複数の自分”で仕事を包囲する形になります。

「包囲効果」のいっさい得られない仕事のやり方は、1対1で仕事に対峙するやり方。すなわち、時間のかかる仕事を締切ギリギリまで放置したところからスタートして、最後まで一気に仕上げようとする、良くない例として挙げられがちな方法です。

一方「包囲効果」の得られる仕事のやり方は、時間のかかる仕事に対して、きちんと時間をかけて少しずつ突き崩していくやり方。時期を違えて複数の自分が同じ仕事にアタックをかけるという意味で、その残像を重ねるとその仕事を「包囲」している形になるわけです。

ネクタリスと同様に、この「包囲効果」がもっとも強力です。


まとめ

最悪な仕事のやり方は、「環境ドリブン」が得られない環境に身を置いたうえで、周囲に人の目がなく、時間に追われながら行う、という三拍子揃った戦い方です。

たとえば、深夜の自宅で・一人で・翌朝締切の仕事に取り組む、というものです。

こうした戦い方を強いられないようにするためにも、まずは重要な仕事を「毎日少しずつ進める」ところから始めていきましょう。

関連

↓タスク管理をゲームになぞらえて解説している一冊。

↓「ネクタリス」にはプレイステーション版があります。



以前(2011年頃)はiPhoneで「ネクタリス」はじめ、いくつかのハドソンのゲームをプレイできるアプリがあったのですが、すでになくなっていますね…。

↓以下はそのときのキャプチャです。