『人生の悩みが消える自問力』という本を読みました。サブタイトルは、〈「5つの質問」と「自問自答」ですべてが好転する〉ということで、5つの自問が紹介されています。この5つの自問が(当然ですが)実によく練られており、これらの問いに一つひとつ答えていくことで、実際に落ち着いて考えることができました。
- 1.自分が得たい結果は何だろう?
- 2.どうして自分はそれを得たいのだろう?
- 3.どうしたらそれを実現できるだろう?
- 4.これは自分の将来にとってどんな意味があるだろう?
- 5.いま自分がすべきことは何だろう?
5つの自問の解説と事例
解説
それぞれの質問の位置づけは以下の通りです(本書より)。
- 1.自分が得たい結果は何だろう? → 問題を「自分事」としてとらえる質問
- 2.どうして自分はそれを得たいのだろう? → 自分の目的を明確にする質問
- 3.どうしたらそれを実現できるだろう? → 可能性に目を向ける質問
- 4.これは自分の将来にとってどんな意味があるだろう? → いい意味づけをする質問
- 5.いま自分がすべきことは何だろう? → 自分を動かす質問
事例
以下、5つの自問の事例です(本書より)。
たとえば、「勤めていた会社の業績が一気に悪くなり、ボーナスがなくなったうえ、給料も削減されることになった。このままいくと、ひょっとしたら会社は倒産してしまうかもしれない……。もし、そんな状況に陥ったとしたら、自分にどんな言葉を投げかけたらいいか?」という状況です。
- 1.自分が得たい結果は何だろう?
→ 会社と関係なく、将来的にずっと安定した仕事と収入を持ち続けたい。
- 2.どうして自分はそれを得たいのだろう?
→ お金の不安がなくなれば、家族が安心できるじゃないか。子どもの進学も悩まなくて済むし、皆で旅行するような余裕だって生まれる。
- 3.どうしたらそれを実現できるだろう?
→ いまの会社に依存している限り、ちょっとリスクがあるな。会社を救えないか、仕事を頑張るとともに、交友関係を増やしながら、ビジネスの知識を増やして自分を成長させよう。
- 4.これは自分の将来にとってどんな意味があるだろう?
→ 会社の危機だけれど、自分を成長させてくれるいい機会かもしれない。
- 5.いま自分がすべきことは何だろう?
→ まずはビジネススクールの情報を調べてみよう。何を学ぶのがいいだろうか。
実際にやってみました
僕自身(フリーランス歴17年目に突入)も、実際にやってみました。
たとえば、「現状の仕事環境は100点満点でいうと65点というところで、資格試験であればギリギリ合格か、場合によっては不合格になるレベル。長く続けてきている仕事は愛着もあり、また支持してくださる方も多いのでできれば続けたい。一方で、その仕事を続ける限り新しい仕事を始めるのは難しい。」という状況です。
- 1.自分が得たい結果は何だろう?
→ 自分が17年間取り組んできていることを再現可能な形で提供することで、自分自身が解決してきた課題を、今まさに抱えている方の役に立ちたい。この活動(主たる活動)を通じて、最低限この活動を続けられる程度の収入を得たい。
- 2.どうして自分はそれを得たいのだろう?
→ 主たる活動を続けるための「仕入れ」や「経費」を賄うために、主たる活動以外に時間やエネルギーを割かなくてもよい状況。まさに「主たる活動」中心に生活が回っている状況。
- 3.どうしたらそれを実現できるだろう?
→ 現状において、自分がやっているものの、自分でなくてもできる(かもしれない)ことを誰かに代わりにやってもらうことで、「主たる活動」にかけられる時間とエネルギーを増やす。
- 4.これは自分の将来にとってどんな意味があるだろう?
→ まさに今の自分が感じている、「あれこれ手を出すことなく、これだと決めた一つの得意に没頭し続けるだけで生活が回る状態」を実現したい方のための再現可能な仕組みが作り出せる。
- 5.いま自分がすべきことは何だろう?
→ 「この17年間の記録を読み返し、直面していた課題とこれを解決するためにとった行動のセットを抽出する」というプロジェクトを設定し、これを進めるためのレシピを朝一番のルーチンに組み込む。
実際に質問に向き合うことで、なるほど、実際にコーチから問いかけられているかのようなモードになり、いろいろと考えることができました。
「やらないことを決める」という“ノウハウ”がありますが、僕自身はこれを真っ正面から実践する代わりに「やりたいことを増やす」ことで、それまでにやっていた、最も優先度の低いことがトコロテン式に押し出されるように持っていく方式がムリがなくて良いと考えています(のでおすすめです)。
いざ「やらないことを決めよう」とすると、「どれをやめようか? えーと、うーん、どれもやめたくないぞ…」という“長考”に入りがちだからです。
「トコロテン方式」は、とにかく新しいアプリをインストールしてしまい、それによって、最も使用頻度の低いアプリがホーム画面から追い出される様子に似ています。
やりたいことは「古いアプリを整理する」ではなく、「新しいアプリを体験する」なのですから。
「なるほど!」と感じた一文
著者はプロのコーチということで、以下の一文には特に「なるほど!」と感じました。僕自身、本書を読むまでは、まさにこういう風に考えていましたので。
「すべての答えは自分の中にある」は間違い。
本書は、この前提を実にあっさりと覆してくれます。