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生き残るためにできること。クヨクヨしない!

By: Martin HearnCC BY 2.0


佐々木正悟 この本は、有名です。でも、読んでない。タイトルだけは知っている、という人も多いでしょう。

ある意味、そういう本こそアマゾンの「読み放題」で目にするのが理想的だと思うのですが、今のところ本書はそうなっていません。

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本書のような本に書かれていることは、ある程度推測がつくでしょう。

本書の著者も、そんな推測が為されていることは百も承知です。

「どうせ、●●な、本でしょ?」と思われてもなお、少し読まれさえすれば最後まで読み通させるという技能を持つのが、この種の本を書く「プロ」と言えます。

しかし私たちは、さらにその先を考えましょう。

クヨクヨしないことに、意味はあるのか?

クヨクヨする理由がまったくないのに「とにかくクヨクヨしたいからクヨクヨする」などという人はいません。

「小さいことにクヨクヨするな」と言われても、小さかろうと大きかろうと、とにかくクヨクヨしなければいけないことに直面するから、人はクヨクヨするわけです。

都心の大きな駅で、見知らぬ人からいきなり、「バカじゃねえのか!」と怒鳴りつけられる。

まあ、どうでもいいと言えばどうでもいいことです。しかし、傷つく人は傷つくでしょうし、人によってはこんな出来事でも、一日中、クヨクヨするだけの理由になるのです。

なぜでしょう?

頭脳は、個体を守るために、危険を回避するという責任を負っているからです。

したがって、いきなり罵声を浴びせてくるような危険な人に、できれば2度と遭遇しないために、有効な戦略を検討します。その検討が「クヨクヨ」と言えます。

つまり「クヨクヨ」というのは危険を回避するための方法を編み出すためのネガティブな問題についての思考なのであり、一切クヨクヨしないのは、むしろ危険なのではないか?と不安になってしまう。だからからこそクヨクヨするわけです。

クヨクヨするのには、意味がある。

とは言え禅問答みたいですが、クヨクヨしないことにもやはり、意味はあります。

というのは、特に心理学方面でよく言われることなのですが、ネガティブな問題について検討することはストレスであり、ストレスは総じてあまりよい影響をおよぼしません。心にも、身体にも。

クヨクヨすることには意味があるとしても、クヨクヨしたからと言っていいアイディアが思いつかないことも多いでしょう。意味不明な理由でいきなり罵声を浴びせられるのはよくありませんが、だからといって都心を歩かないわけにも、いきません。

であればクヨクヨするだけ、ストレスを溜めるばかりのことについて、ただ「クヨクヨしない」ことができれば、メリットは充分あると言えます。

解決できない問題についてクヨクヨ悩まないのは、メリットなのです。

しかし、クヨクヨしないということは、決意次第で可能なのか?

すると残る問題は「クヨクヨしないことが可能かどうか?」になります。

「小さいことにクヨクヨするな!」などと言うのは、ただ、著者が生まれつき脳天気なだけではないのか。

正常な人間は、クヨクヨしないと決めても、やはりクヨクヨしてしまうものなのではないか。

あるいは、「小さい」ことならクヨクヨしないようにはできても、もっと深刻な問題にはクヨクヨして当然ではないか。カールソンはただ本も書けて、お金もあって、環境が整備されているからクヨクヨせずに済むかもしれないが、普通の人間はそうではないはずだ。

先日、娘に付き合って図書館で見つけた本の中に、ヒントがありました。

 ある日、ジャックの髪を切っているとき、アーロンが言った。
「いいか、ジャック、ここで起こることはすべてゲームだと思え。どんな目にあっても、くよくよしてはいけない。そうすれば、ナチスより長く生きることができるかもしれない」・・・
 すべてはゲームだ。そう思え。
 だが、そのゲームでは、たったひとつのミスが死を意味する。
 点呼のときに包帯をしていっただけで、わきによけられ、あとで殺されてしまうかもしれない。どんなささいな理由であれ、監視兵になぐられ、働くことができなくなってしまえば、殺されてしまうだろう。
 だが、そんな場合でも、くよくよしてはいけないのだ。

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まったく理不尽と思う以外何も思うことがないようなこの種の話ですが、意外なくらいこの種の体験において「クヨクヨしないこと」の重要性が説かれているものです。

そして、この「ジャック」のような人は、「クヨクヨしないこと」に意味を見出し、かつ、こんな状況でも「クヨクヨしないこと」ができたからこそ、本が書けたわけです。

この本の中のジャックほど、クヨクヨするに足る理由に取り巻かれることは、まずないでしょう。それでも人間は、どうやら、そんな場合ですらクヨクヨしないと決めることは、できるようなのです。

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▼編集後記:
佐々木正悟




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