さて、いよいよ年末です。
日常から少し離れるこんな時期には、大掃除と同じように情報環境の整理もしておきたいところ。
今回は、情報環境の整理におけるいくつかの軸を紹介してみます。鍵を握るのは__「バランス」です。
読む量と書く量(と考える量)
日常的にどのくらい読むことに時間を使っているでしょうか。読む対象はなんでもかまいません。本でもブログでもSNSでもOKです。そうした対象を使ってインプットを行う時間はどのくらいの量でしょうか。
また、そうしたものを素材としながら、何かを生み出す(書き出す)時間はどのくらいでしょうか。
読むことに時間を使いすぎていないでしょうか。あるいは書くことに時間を使いすぎてはいないでしょうか。
トータルの時間を知り、その比率を把握しておくことが、改善の最初の一歩です。
ある程度ログを取っているならば、こうした数字は簡単に把握できますが、そうでなければ当てずっぽうになりかねません。よって、簡単で良いので、一日の行動記録を取ってみると良いでしょう。
コンテンツ
時間について確認した後は、その内容です。
何か新しい地平を広げてくれるようなコンテンツ、あるいは空いた時間を潰すためのコンテンツ。さまざまなコンテンツがあるかと思います。後者のコンテンツだって、立派な情報であり、何かしらの役には立ってくれるでしょう。だからといって、そればかりでいいのかというと、少し考えたくなります。
食事においてもデザートの存在は重要なものですが、デザートばかり食べていると、不健康にまっしぐらでしょう。私たちの脳内に蓄えられる情報においても、同じことが言えるかもしれません。
深化と拡散
さらに情報との接し方にも視線を向けてみましょう。
どのくらい一つの分野を深く掘り下げるための情報摂取を行っていますか。あるいは、新しい分野に足を踏み入れる情報摂取はどうでしょう。どちらのタイプの情報摂取も重要ですが、バランスを考えておくのは無駄ではありません。でないと、極端なタコツボ化か、あるいは関心の拡散が起きてしまいます。
たとえば本を読む場合でも、ある分野の本を10冊買うのと、新書で目に付いた本を10冊買うのとでは、情報摂取の意味合いとしては違ってくるはずです。 Twitterなどでもタイムラインの作り方で、その意味合いを変えられるでしょう。
もう一度書きますが、どちらのタイプの情報摂取も重要です。ただ、どちらか一方に流れすぎていないかを確認しておくことは必要になります。
さいごに
現代は情報がありすぎる時代です。もう少し言うならば、簡単に情報が入手でき、さらに広告を伴った(魅力的な)情報が怒濤のごとく流れ込んでくる時代です。
牧歌的にそれらすべてを受けようとすれば、時間と認知資源の浪費は避けられません。自衛が必要です。
ただし、闇雲に切り捨てることだけが自衛とは言えません。自分にとって好ましいバランスを維持することでも、十分目的を達成できるでしょう。
どちらにせよ、自分がどのような情報に時間や関心を使っているのかを確認してみることです。新年に目標を立てようと思っても、実績を知っていなければ機能する目標など立てられません。また、何かを改善しようと思っても、どこから手を付けていいのかわからないでしょう。
「敵を知り己を知れば」なんて言葉がありますが、まずは自分の時間の使い方を振り返ってみることがスタートになりそうです。
▼今週の一冊:
今年紹介する最後の一冊となるわけですが、うんうん考えたあげくやっぱりドラッカーにしました。
ドラッカーの本は、ともかく戯言が少ないですね。もうずばっと核心を突いてきます。彼の頭の良さは明晰という言葉では足りないのではないか、という気がして仕方ありません。
企業とイノベーションの関係を説いた一冊なんですが、企業活動以外でもきっと役に立ちます。以前ドラッカーの著作を引いた『ブログ・マネジメント』という本を書きましたが、そうなると『ブログ・イノベーション』という本が続刊になりそうな気がしてきました。
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師走真っ盛りですが、さまざまなイベントを横目で眺めながら原稿を書いています。もう8.57/10.00くらいまでは進捗しているので、あともう一息といったところ。新年は開放的な気持ちで迎えたいところです。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。
» 知的生産とその技術 Classic10選[Kindle版]