「三極発想法」は複雑に絡み合った現実を一目で分かるように体系化して整理するうえで極めて有効なツールです。
魔方陣のような独特な図解フォーマットに、一定のルールに従って言葉を埋めていくと、自然に思考の整理が進みます。
最初目にしたときはその真価がよくわかりませんでしたが、解説書を読み進めていきながら多くの事例を読み解いていくに従って、少しずつ腑に落ちてきました。
その解説書とは、以下(Amazonに在庫がなく、中古のみです)。
言葉で説明するより先にその図解フォーマットを見ていただくほうが早いでしょう。
「歴史に学ぶ」の三極図形
本書をもとにPowerPointで作図してみました。
以下、この図の解説です。
歴史は過去の史実から、現在の社会構造や国家間の対立、共存への必然を学ぶところから出発します。
史実ですら、後年、人によって書き残されたわけですから、歴史家は史実そのものの探究のために、古文書や埋もれた言い伝えも大切にします。生の情報収集に相当するわけです。
現在の構造を知るとともに、史実の分析との接点や、変遷の必然性から、未来への仮説を立て、予言を聞くことになります。
そして、時代はやがて変革の時を刻むのです。
(赤字・太字の文字修飾は大橋)
解説を読まずとも、この図をじっくりと眺めているだけで各要素間の関係性が伝わってきます。
例えば、「過去」と「現在」を結ぶ線上には「必然」が避けて通れない位置にあり、「現在」から「未来」の途上には「仮説」が敷設されています。
「過去」と「未来」は「変革」によって結びつけられるのですが、この結びつきは「現在」が取り持っている格好です。
また、「過去」、「現在」、「未来」それぞれに直結している3要素(「史実」、「構造」、「予言」)は、中央に位置する「歴史に学ぶ」というメインテーマとの関係性を表しています。
メインテーマと三極が決まれば、残りの6つの要素はそれぞれの三極の“磁場”の持つ力によって、この“魔方陣”に召喚されてきます。
まさしく「三極」をベースに「発想」を展開する方法論。
メインテーマを取り囲むように配置されている6つの要素はそれぞれに等価でありながら、三極それぞれからの影響下にあり、三極図形全体が一つの系を体現しているわけです。
全10個のサークルを言葉で埋めていく作業が極めて快感
本書には膨大な数の三極図形が掲載されています。
先ほど示した「歴史に学ぶ」はその1つなのですが、三極図形の数々と、それぞれに付された解説を読んでいくと、頭の中が実にクリアになります。
理論はほんのわずかで、とにかく事例、事例、ひたすら事例。
本書の良さは、たくさんの事例をじっくりと眺めていく中で、おのずと自分が抱えている課題を解決するための糸口が見つかったり、新たな発想が刺激されたりと、極めて実利的な時間を過ごすことができるところにあります。
三極の位置にはそれぞれ意味があるのですが、ルール的なことはそれぐらいで、あとは文字どおり三極が導いてくれます。
まったく同じ三極を設定しても、人によって異なる三極図形が出来上がるでしょう。そこに自分が色濃く反映されるのです。
三極と残りの6要素の設定が全てなのですが、メインテーマである中央のサークルを含めた全10個のサークルを言葉で埋めていく作業が極めて快感で、何とも言えない知的興奮をともないます。
こうしてできあがった三極図形は、複雑な事象を一目で分かるように整理されたものになります。「客観的に一目で分かるようにすること」を体系化といいますが、三極発想法はまさに体系化するためのツールと言えるでしょう。
6要素が埋まらなかったり、三極のバランスがおかしいと感じれば、どこかに欠陥がある、ということになり、発想のセルフチェックができます。
タスクシュートを三極発想法で考えてみた
あえて解説はしませんので、TaskChuteやたすくまをお使いの方はじっくりと読み解いてみてください。タスクシュートの理解が深まると思いますので。
最後に
久々に知的興奮をかき立てられまくった一冊。