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時間の見積もりは「これぐらいで終わるだろうな」ではなく「これぐらいかかるはずだ」



大橋悦夫時間を見積もるときに重要なことは「だいたいこれくらいの時間で終わるだろうな」ではなく「これくらいの時間はかかるはずだ」という、マイルドな諦めの境地から出発することだと思います。

「だいたいこれくらいの時間で終わるだろうな」には「これくらいの時間で終わらせたい」という気持ちが含まれています。「これくらいの時間しかかけられない」あるいは「かけたくない」という感情です。

自分でも過小見積りであることは薄々わかってはいるのですが、感情には抗いがたいわけです。

その結果、見積り時間が過ぎても終わる気配がなく、ますますその仕事がイヤになってしまう。

さらには、時間を見積もること自体もイヤになって「見積もっているヒマがあったら、さっさと仕事に取りかかったほうが早い!」という“急進派”に転向することになります。

急進主義、最初はいいのですが、取り組んでいるうちに「これ、いつ終わるんだろう?」という先行きが気になり始め、見通しが見えない不安から最終的にはスピードが落ちてしまうことになります。

「これぐらいで終わるだろうな」 → 「これぐらいかかるはずだ」

これを防ぐためには見積りの認識を改める必要があります。

  • 「これぐらいで終わるだろうな」 → 「これぐらいかかるはずだ」



「これぐらいかかるはずだ」と言えるようになるためには、根拠が要ります。

つまり、これまでの同種の仕事にかかった実績時間です。実績時間を参照することで「早く終わらせたい」という感情を抑えて、冷静に「これぐらいかかるはずだ」と考えることができるわけです。

一日の最初にその日の仕事全体をふかんして、それぞれの仕事について「これぐらいかかるはずだ」方式で時間を見積もっていくと、「え、今日はこれしかできないの?」と残念な気持ちになるかもしれません。

でも、いったんその気持ちは脇に置き、その「これしか」に粛々と取り組んでみます。

「これしか」であれ、その日のうちにすべてを完了させることができると、静かな達成感が得られるはずです。

一度でもこの達成感が味わえると、たかが「これしか」されど「これしか」と、認識がガラッと変わるので、よりいっそう地に足に着いた見積りができるようになり、それゆえに落ち着いて一つひとつの仕事に取り組めるようになり、必然的に見積りからさほど大きくぶれることなく仕事が完了し、自信がつきます。

そのまま好循環に入ることができますので、「勢い」や「本気」は不要になります。

出発点は、日々の仕事一つひとつにかかった時間を記録することです。

計画はどうせ狂う、だから計画を立てる

実際、最初のうちは「見積もり精度は不正確」です。しかし、ある程度慎重に見積もれば「当たらずといえども遠からず」なレベルは目指せますし、それで十分です。

これも、カーナビの比喩が役に立つでしょう。

カーナビの予測精度だって完壁ではありません。だからといって、予測がまったくムダだとは言えないと思います。

たとえば、「東名高速道路に乗ってから、大橋JCTまで40分」と見積もられていれば、おおよそ妥当と言えるでしょう。

もちろん、飛ばせば35分でつくかもしれないし、渋滞に巻き込まれれば1時間くらいかかるかもしれませんが、「だから40分という見積もりがまったく役立たない」というのはおかしいと思います。

大事なのは、「だいたい正しいところを見積もったあとなら割り出せる、さまざまな情報」なのです。

見積もりとは、そのように役立てるものです。


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