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2013年に読んだ、役立ち本ベスト7冊

倉下忠憲

12月といえば、毎年好例の「今年読んだ本ベスト〜」の時期ですね。今年もやってみましょう。
※ちなみに去年はやっていません。

おおよその基準はこんな感じです。

  • 知的生産・仕事術に「役に立ち」そうな内容であること
  • 「見た本」ではなく「読んだ本」から選定
  • 自分が著者ではない本

ちなみにランキングではなく、読了順に並んでいますのであしからず。

スマホ時代のタスク管理「超」入門

別にステマというわけではありません。タスク管理系書籍の中でも、わかりやすく、実用的な本です。

スマホ時代だろうがなんだろうが、タスク管理の最終的な目的は「自分を動かし、目的を達成すること」です。そこに変化はありません。ただし、仕事の環境が変化している現在では、タスク管理の手法やツールも、若干の修正が求めらるようになります。

必要なのは、「どうすれば自分が動くようになるのか」という知見と、現在使えるツールは、どのようにその役に立つのかという情報です。それを押さえれば、タスク管理なんてヘッチャラ・・・とまでは言いませんが、それほど苦ではなくなるでしょう。


20歳の自分に受けさせたい文章講義

文章講義。作文技術の話ですが、細かい技術論がメインテーマではありません。それを支える根本的な心構えが紹介されています。

「文章はリズムで決まる」というのはまったく同感でした。


数学文章作法 基礎編

こちらも作文技術の本。ほんとうに基本的な作文におけるポイントが紹介されています。全体を貫く「読者のことを考える」という姿勢にもたいへん共感できます。

もちろん小説を書くための文章ではありません。「わかりやすい」説明をするための文章です。


習慣の力 The Power of Habit

仕事にしても知的生産にしても、「習慣の力」を無視するわけにはいきません。何か思いついたときにメモするのだって習慣ですし、こうしてブログを書くのも習慣です。ホウレンソウだって習慣になってしまえば習慣です。

「己を知る」ことの大部分は、もしかしたら自分の習慣を知るということなのかもしれません。

習慣をいかに形成するか。結構、重要なことです。


「超」説得法

文章技術とも言えますし、コピーライティング的な要素もあります。

情報が飛び交う中で、いかに「説得」する力をそれに添付できるか。超説得社会の現代では、有用なスキルなのでしょう。ブログであれば、タイトルの付け方や、冒頭部分の書き方に説得力の有無が出てきます。

たとえばこの記事だって、「今年私が読んだ本8冊」というタイトルだったら、たぶんあまり読まれなかったでしょう。逆に、説得力のスイッチをもう少し強にひねれば、「驚くほど役に立つ!2013年知的生産本ベスト7」というタイトルにもできそうですが、なんとなくやめておきました。

ともあれ、タイトルというのは記事の希求力において重要な役割を持っています。中身の質だけでは、なかなかアピールできないのが現代の情報化社会なのです。


人を動かす、新たな3原則

「売らない売り込み」についての方法論。

こちらも広く言えば「説得法」と言えるかもしれません。マーケティング、ブレゼンテーション、セールス、といった内容が絡み合っています。

消費者が情報を持つようになってきた時代では、これまでの「売り込み」は徐々に機能しなくなり、その代わりに違ったものが幅を利かせるようになります。そこにうまくシフトできるかどうか。そこがポイントなのでしょう。

また、本書が指摘ているように、私たちはセールスマン(セールスパーソンが適切ですが本書の言葉から拝借しました)以外でも、日常的にセールス(説得)を行っています。そういうスキルは、ある程度有していた方がよいのでしょう。


決定力! :正解を導く4つのプロセス

直感が機能しない分野での、効果的な選択のプロセスを解説した本です。

経験から学ぶ我々の直感は、ほとんどの場合うまく機能するので、多くの選択において私たちはその力を利用します。でも、決してそれは万能なものではありません。

一生に数回しか起こらなかったり、フィードバックに大きなタイムラグがある場合、直感はさほど役には立ちません。直感が鍛えられないからです。そういう場合の直感は、「ただの思いつき」です。しかもそれが、バイアスによって歪められてしまっていたら、始末が悪いことこの上ありません。

仕事を進めていく上でも、知的生産の工程を進めていく上でも、直感はさまざまな場面で活用されますが、プロセス全体を眺めてみると、それだけでは足りない部分もきっと出てきます。新しいことにチャレンジしようとしているならば、なおさらです。

そういう時に、本書が示している4つのプロセス(WRAP)を用いれば、直感とは少し距離を置いて選択できるでしょうし、おそらく後悔の度合いもずいぶん縮小されるのではないかと思います。


さいごに

というわけで、7冊の本をセレクトしてみました。

年末年始の読書選びにお役立ていただければ幸いです。

ちなみに、「役に立つ」以外の基準については、R-styleで記事を書く予定なので、気になる方はそちらをチェックしてみてください。

▼編集後記:
倉下忠憲



ようやく新刊の原稿作業が(ほぼ)終わりました。校正作業は何度やっても神経を使いますね・・・。ともあれ、12月中にはちゃんと発売になりそうです。よかった、よかった。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。