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自前の電子書籍を作ったときに、使った3つのツール

倉下忠憲
先日、AmazonのKindleストアで自作の電子書籍を発売しました。


エッセイ集です。しかも大特価の99円。

ちなみに毎週必死に書いていたのはこの本の原稿ではありません。この本の原稿は、運営している有料メルマガWeekly R-style Magazineで過去に掲載されていたエッセイをピックアップしたものです。今回は第一弾と言うことで3年前の2010年に書いたエッセイが約10本入っております。

もともとメールマガジンに掲載されていたものなので、この本でもそれと同じように読めるように横書きになっております。

ご興味ある方はぜひ。

というところで、さくっと宣伝を終えて、今回は上の本を作ったときに使ったツールをご紹介しましょう。


Evernote

「いまさら」感一杯ですが、Evernoteは執筆において欠かせないツールです。

今回は新規の書き下ろしではなかったものの、過去の原稿が必要となりました。大丈夫です。Evernoteを使い始めてから、現在に至るまで自分で書いた原稿は全てEvernoteに保存されています。それを検索で引っ張り出して使いました。

重要なのは、2010年にこれを書いた時点では、このようなセルフパブリッシングについては一切考えていなかった、ということです。何がどう使われるかわかったものではありません。でも、Evernoteに保存しておけば安心ですね。

ちなみに、プロジェクトに関する情報(タスクリストなど)もEvernoteで管理しました。

sigil

EPUBエディターとして採用したのが「sigil」です。以下からダンロードできます。

http://code.google.com/p/sigil/
※Mac版もWin版もあります。

ここにEvernoteから拾い上げたテキストを、ぽいぽい放り込んでいきました。後は見出しを設定し、目次を作り、表紙画像を埋め込むだけ。凝ったデザインにするつもりは一切なかったので、非常に完結に作業は終わりました。

ちなみに、Mac版の「Sigil-0.7.2-Mac-Package.dmg」は、現状Mavericksでは起動してくれません。Sigilをメインで使っている方はご注意下さい。
※いずれ対応されるかと思いますが。

Pixelmater

表紙画像を作成したのが「Pixelmater」。Macの画像ツールです。

pixelmater

ごらんのように特に凝った表紙ではありません。私のひねくれ者ぐあいのようにタイトルテキストが横に傾いているぐらいです。わずかばかり背景にドロップシャドウも効かせていますが、たいした手間ではありません。

細かい調整を含めて、おおよそ30分程度で作成できたかと思います。

さいごに

基本的には以上のツールだけです。

もう一つ付け加えるならば、プレピューのためにiOSのKindleアプリ(主にiPhone)を使いましたが、これはKindleプレビューを使う選択もあるでしょう。どちらにせよ無料で入手できます。

全体的に「簡単に作った」感がありますが、もちろん単に過去のテキストを流用しただけでなく、誤字脱字の修正や、文法的に怪しい、あるいは極端に読みにくい文章については手直ししてあります。一番時間がかった作業はそこでしょう。それでも、一冊の本を仕上げる手間としては大幅に短いものでした。だからこその99プライスです。

今後は、もう少し手間をかけたものや、書き下ろし作品も手がけていくつもりです。合わせて、電子書籍の作成に関する話題もちらほら出していこうかと思います。


▼関連エントリー:

R-style » 【告知】自作の電子書籍が発売になりました


▼今週の一冊:

「本の作り方」に、少し関係する本です。

大人気『数学ガール』がどのように生まれたのか。そして、どんな想いを込めて作られているのか。そうしたことが語られています。著者が行った二つの講演がベースになっているのですが、質疑応答も含まれている点が魅力です。やはり「対話」というのは、何かを掘り下げていく効果があります。

「誰かに何かを伝える」

そのためには、どんなことを考えればよいのか。簡単な問題ではありませんが、本書からはいくつもの示唆が得られることでしょう。


▼編集後記:
倉下忠憲



というわけで電子書籍が発売されたわけですが、別段電子書籍しか書かないわけではありません。紙の本もバリバリ書いていきたいと思いますので、出版者・編集者・その他企画を考えておられる方もよろしくお願いいたします。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。