ぼちぼちと、書店の売り場で来年の手帳を見かけるようになってきました。
今使っている手帳に満足している人は、来年も同じ手帳を使い続ければ問題ありません。
しかし、使っているうちに不満を感じたり、あるいは環境の変化があった場合は、新しい手帳にチャレンジしてみるのもよいでしょう。あるいは、今年から手帳を使い始める人もいるかもしれません。
というわけで、今回は手帳の選び方について考えてみます。
ステップ0:そもそもの疑問
最初に考えたいのは、「手帳は必要なのか?」というわりと根本的な疑問です。
その疑問は第一に「セルフマネジメントツールが必要なのか?」という意味を含んでいます。
たとえば、有能な秘書がいるなら自分で手帳を持つ必要はありませんね。あるいは自分の裁量がまったくなかったり、予定というものが一切発生しないような仕事の場合、管理する情報がそもそもありません。当然、手帳も必要なくなります。
仮にそういうツールが必要である場合(大半のお仕事はそうでしょうが)、上の疑問は「そのツールが手帳である必要はあるのか?」という意味になります。
もし、スマートフォンやクラウドカレンダーなどでスケジュール管理が事足りてしまう場合、わざわざ手帳を持つ必要はないかもしれません。少なくとも、セルフマネジメントツールとしての手帳には居場所がないでしょう。こういう場合、無理して手帳を持つことはありません。
まず、これについて考えた上で「よし、手帳が必要だ」となった場合、次なるステップに進みます。
ステップ1:使用環境
次に考えたいのは、「A/N比」です。アナログ・デジタル比。つまり、手帳だけで完結しなければいけないのか、スマートフォンなどのデジタルツールが使えるのか、ということです。仮にデジタルツールが使えるにしても、どれぐらい使えるのかは環境によって異なるでしょう。
それを確認したら、次は手帳を開くシチュエーションを想像してみましょう。デスクの上だけで開くのか、移動中にも開くのか。また、デスクで使うにしても、使用できるスペースの広さも考えておく必要があります。
移動中も使う場合、あまり大きなサイズはチョイスできません。肝心なときに開けないのは手帳としては致命的です。デスクで使う場合は、大きめのサイズも選択肢に入りますが、パソコンに場所を取られてキーボードを収納しないと手帳を開けられない、というのでは使い勝手は落ちてしまいます。
こうした使用環境を把握しておくと、手帳の「サイズ」を選びやすくなります。
ステップ2:時間把握の視点
次に確認したいのは「時間把握の視点」です。
自身のスケジュール管理を行う場合、どのようなスパンでの管理が一番適切でしょうか。これは仕事によって変わってきます。
ある仕事は一ヶ月単位を俯瞰できるのがよいかもしれません。別の仕事では一週間単位、さらに別の仕事では一日の情報さえ閲覧できれば問題ない、なんてこともあります。
それが把握できれば、手帳の「タイプ」を選択できます。
- マンスリー:一ヶ月単位
- デイリー:一日単位
- レフト:一週間[大まかな内容+メモ]
- バーチカル:一週間[時間軸中心]
また、二週間を俯瞰できるような手帳もあります。
何が適切なのかは、どういう視点を持ちたいのかで判断してください。
ちなみに私の前職ではバーチカルがベストな選択でしたが、現状はレフトタイプでも問題なく運用できそうです。
ステップ3:メモ記入量
次なるステップはメモ量の確認です。
もし、メモが少ないのならばどんな手帳を使っても問題ありません。メモ欄が多くついた手帳であっても、使わなければよいだけです。しかし、メモが多いのにメモ欄が少ない手帳を使ってしまうと悲劇が起きます。
最近ではメモスペースを大きく確保した手帳もありますし、メモノートが別冊になっているタイプもあります。知識労働者にとって、アイデアをメモすることは仕事の一環と言っても過言ではないので、十分な配慮が必要でしょう。
もちろん、スマートフォンを使える場合は、手帳に必要なメモのスペースというのはかなり小さくなります。
さいごに
こうした自分の「環境」を把握した上で、必要な機能を満たす手帳を選択すればOKです。
ただし、必要な機能を全て満たしていても「デザインがダサい」と感じる手帳は、避けた方が良いかもしれません。そういうツールは持ち歩くのも、開くのも徐々に敬遠してしまうものだからです。
多少の機能不足であれば、複数の手帳を併用したり、あるいはノートと組み合わせてみたり、デジタルツールとのハイブリッドなどで対応することもできます。この辺りは、ハックマインドの見せ所ですね。
ちなみに、自分の「環境」を把握した上で手帳を選ぶということは、社会人一年目には適切な手帳を選ぶのは難しいということでもあります。その辺りは職場の先輩にでも意見を聞いてみましょう。
フリーランスの方は、試行錯誤を繰り返すしかありませんね。
▼参考文献:
今回の手帳の選び方のポイントは、上のムックの綴込付録である『2014年版手帳コンプリートカタログ』を参考にさせていただきました。
手帳術や新しい手帳について知りたい、という方には情報が詰まった一冊になっております。
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いよいよ涼しくなってきました。実に原稿が捗る季節です。というわけで、ぼちぼち脱稿が近づいてきました。もう一踏ん張り。やりたいことはいろいろありますが、まずは原稿を書き上げてからですね。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。