何かを考える際、まっさきに取り出すものといえば、やはり紙とペンですね。
記事の最後に追記していただきましたが、以下の記事を読んだときに、ふと紙とペンを取り出したくなりました。
» Evernoteを使って「いつかやりたいこと」からプロジェクトを掘り出す手順
前後編の記事を一通り読んでみると、「ふ~ん」という感じはするのですが、腑に落ちるような感覚はありません。もう一度最初から通して読んでみると、それが「ふんふん」という感じになります。それでも納得感100%には届きません。
そういう時には、自分の手を動かすのが一番です。
こんな感じで、自分の手を動かして情報をまとめたところ、「ふむふむ」という一歩踏み込んだ納得感が得られました。ここまでくれば、「なるほど」と膝を打つことができます。
情報が咀嚼できたわけです。
図解からの二つの発見
こうして図解してみると、全体像が把握できるだけでなく、一つ上の視点から眺められるようになります。
ノートの隅っこにこんなことを書きました。
メタノート+KJ法的な「気になること」の管理法
「メタノート」とは、二種類のノートを使うアイデア管理法です。日常的に思いついたことを記すノートと、そのノートから選抜した特別なアイデアを書き記すノート。この二つを使い、アイデアを漏れなく拾いながらも、重要度の高いアイデアだけを後から参照できるようにする手法です。
図解をみると、「気になること」が二つの列をなしていることがわかります。左の列から右の列への移動は、まさに「メタノート」的手法と言えるでしょう。
さらに、「気になったこと」の「仲間を集める」というやり方は、KJ法のアプローチとまったく同一です。
KJ法におけるグルーピングの特徴は、既存のカテゴリーに基づくのではなく、「自分が近しいと感じるもの」を集める点です。気になったことの仲間を集めるというやり方は、KJ法との共鳴を感じます。
咀嚼の効能
一度図解で示し、その全体像を俯瞰することで、他の情報との類似点を捕まえることができました。頭の中で考えている時は、どうしても近視的になってしまったり、あるいは全体像がぼやけていたりするので、なかなかコンセプトを捕まえることができません。それでは情報を咀嚼できたとは言えないでしょう。
俯瞰して、一度でもコンセプトを捕まえれば、他にも応用できるようになります。
3つあげた手法はどれも、
- 情報(アイデア・気になったこと)を、全て並べ
- それを一つ一つ確認していき
- 自分フィルターを通してグルーピングを行う
という手順を踏んでいます。
ポイントは「全て並べる」「再確認する」「自分フィルターを通す」でしょう。対象を変えても、このポイントを押さえていれば、同じような運用ができるでしょう。
情報を咀嚼し、自分の血肉にできたわけです。
その他の実例
ついでに、最近「手を動かした」他の例も紹介しておきます。
これは『未来は言葉でつくられる』という本の読書メモです。以前書いた記事は、このメモを元に書きました。
記事中で「知的生産の未来について自分でも考えてみる」と書きましたので、実際に紙に書いて考えてみたのが次のノート。
4つのプロセスを4つのスペースに割り当てて、自分の考えを書き込んであります。こういうのも頭の中で考えている内は、プロセスがあっちこっちに飛んでしまいがちなので、紙に書いて段階を踏んでいくのがよいでしょう。
最後が、いま考えている蔵書管理の方法です。
「いかに整理するのか」について、頭の中にあるものを書き出してあります。ちなみに、何かの整理について考える場合、「いかにして使うのか」という用途をイメージすることと、「運用のフロー図」を書いてみるのが効果的です。モノや情報がどのように流れ、ボトルネックになるのはどのポイントなのかが発見できます。
さいごに
「手を動かす」というのは、なかなか面倒な作業です。できることなら避けたいかもしれません。
しかし、手を動かしているうちに気がつくこともありますし、書き上げたものを見返すことで見つけられるものもあります。
「ふ~ん」で通り過ぎているようなものも、一度手を動かしてみれば「なるほど」と新しい発見が得られたりもします。それはそれで、なかなか「快」な体験なのです。
▼参考文献:
メタノートについては、こちらの本をどうぞ。
KJ法については、こちらの本をどうぞ。
▼関連エントリー:
シゴタノ! 「いつかやりたいこと」は「気になっていること」と解釈する
シゴタノ! Evernoteを使って「いつかやりたいこと」からプロジェクトを掘り出す手順
▼今週の一冊:
「知的生産の未来を考える」ためのヒントとして、本書を再読してみました。まったく古びていないどころか、本書の価値は現代において再評価されてもよいとすら思いました。
本書で提示されている情報の価格についての「お布施理論」は、SNSが浸透したこの社会において、新しい装いを与えることができるしょう。
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ひたすら締め切りに遅れているので、泣きながら原稿を書いています。というのは嘘ですが、なかなか進まないときは焦りがつのり、筆が進んでいるときは「もっと作業したい」という欲求が高まります。できるだけ、毎日平常心を持って仕事をしたいところなのですが、なかなか難しいですね。まあ、たんに未熟なだけかもしれませんが。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。