少しずつではありますが、KDPで作られた本をKindleストアで見かけるようになってきました。自己出版の本です。
KDP、つまり「Kindle ダイレクト・パブリッシング」を使えば、誰でも「作家」になれます。これまでの自費出版とは違い、金銭的コストが必要ないので、気楽にスタート可能なのも特徴と言えるでしょう。
しかし、Amazonのアカウントと銀行口座を用意すれば、即「人気作家」になれるかというとそうでもありません。本を作ることと、それを読んでもらえることの間には、埋めなければならない溝がたくさん空いています。
おそらく最低でも3つ、意識しておきたいポイントがあります。
- コンテンツメイキング
- デザイン
- マーケティング
それぞれ簡単に見ていきましょう。
コンテンツメイキング
何はともあれ内容が必要です。
ブロガーや同人作家の人であれば、コンテンツを作ることに対する不安はないでしょう。もちろんプロの物書きでも同様です。新しいコンテンツをゼロから作ったり、既存のコンテンツをリメイクしたりと、さまざまな方法が考えられます。
が、そういう経験がない方は、なにはともあれ作品を作ることです。それがなければ始まりません。頭の中の偉大なる構想も、とにかく形にしないと一生かかっても「本」にはなりません。
案ずるより産むが易しと言いますが、作品については構想を案ずる方が遙かに楽チンです。ともかく手を動かしましょう。
デザイン
この場合の「デザイン」は二つの意味合いがあります。
一つは、「コンテンツ・デザイン」。一般的に編集と呼ばれている行為です。書きたいことを書くだけでなく、読まれるように手を加えることは、曲がりなりにもお金を取る以上、必須と言ってよいでしょう。また、電子書籍の形で読まれる本を意識した編集も必要になってくるかと思います。
もう一つが、「ビジュアル・デザイン」。いわゆるデザインですね。Kindleストアでは、「表紙」が大きな力を持っているので、この辺りにもこだわりたいところです。
マーケティング
最後の一つがマーケティング。つまり「いかに売るのか」も考えなければいけません。
基礎的な要素となるのは、プラットフォーム作りでしょう。ウェブサイトでもBlogでもよいのですが、Kindleストアへの導線を作る必要があります。
また、価格設定や発売のタイミング、告知やセールの打ち方など、考える要素はいくらでもあります。
面白い本を書くことも大切ですが、あまたの本が並ぶKindleストアで、一目置いてもらえる本にするためには、いろいろな工夫が必要になってきます。
さいごに
こうして考えてみると、やることはたくさんあります。単にテキストデータを完成させれば、それで終了、というわけではありません。
一人で「出版」ができるということは、「出版」にまつわる全ての作業が一人に回ってくる、ということでもあります。
上にあげた分野の知識を一人でコツコツ勉強するのも良いですし、それが得意な人と共同作業してもよいでしょう。
ともあれ、KDPについては面白そうなのでこの連載でもちょこちょこフォローしていきたいと思います。
▼今週の一冊:
ダン・アリエリー氏の新刊です。今回は「不正行為」に関する行動経済学のお話。
人はどのようなメカニズムで「不正」を行うのか。その心理的な原因をきちんと把握することができれば、適切な予防策を講じることができるでしょう。軽快でユーモラスな文体と、意外な実験結果が次々と紹介されていきます。
本書は、自分で決めたルールを自分で守るにはどうすればいいのか、を考える示唆も与えてくれるでしょう。
Follow @rashita2
新年一発目のエントリーですね。今回はKDPのお話をちょこっとだけしてみました。それぞれの分野は詳しく語っていけばすごいボリュームになってしまうので、またボチボチ書いていきたいと思います。私の場合、前職の経験から「マーケティング」に関してはあまり穴はないのですが、「デザイン」(ビジュアルの方)がちょっと、いろいろ問題多いですね・・・。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。