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戦う場所を間違えると戦わずして負けることになる



大橋悦夫努力は大切ですが、「血のにじむような努力までしなくても結果が出せる場所」を選ばないと、血みどろになったうえに惨敗する、という残念な結果になります。

最近このことについて改めて「そうだな」と思ったのですが、それは以下の一文を目にしたからです。

モットーは「大した努力をしなくても勝てる場所で、努力をしなさい」。予備校講師の仕事を選んだのも、数々の失敗の中で「人にものを教えることだけはうまくいった」からだそうだ。


ここだけを読むと、「ラクしてトクする」みたいな「ズルさ」を感じさせるかもしれませんが、勝てない場所で戦うのは意味がありませんし、それ以前に続きません。

ここで思い出されるのがこのエピソード。

「偏差値40以下の中学生だけを教える家庭教師」

そこで彼女は戦略を変更する。「偏差値40以下の中学生だけを教える家庭教師」を始めたのだ。

彼女が家庭教師を始めた地区は、教育熱心な地域であったため、学習塾も数多くあったが、そのほとんどは勉強のできる子どもを対象とする、有名私学を目指す指導を行っているところばかりであった。彼女はそうした学習塾がまったく相手にしていない、勉強ができないけれど、せめて高校ぐらいは卒業しておきたい、と考える親とその子どもをビジネスの相手としたのである。

しかも彼女は「高校に無事に合格できたら特別ボーナスをいただきます」と成功報酬制の契約を結んだことから、初年度から大きく稼ぐことが可能となった。

彼女の短大出という弱みは、基礎から親切に教えてくれそう、苦労しているから弱い人の気持ちが分かる、と逆に強みになったわけである。(p.150)

『小さな会社・儲けのルール』という本に載っていた事例です。

世の中には「モテる」「モテない」という区別がありますが、「モテる」人は必ずしもあらゆる人からモテているわけではないはずです。死角、すなわち「モテる」人を嫌う人も当然います。

そういう人にもモテようと躍起になる人こそ「モテない」人ではないかと思うのです。

しなければならない努力は続かない

「努力」それ自体は無色ですが、目的が生じると色がつきます。

誰かから強制されて、あるいは立場上仕方なく重ねる「しなければならない努力」は灰色あるいは黒色かもしれません。やればやるほど気分が沈んでいくので、結果も出にくく、辛いので続きません。

そもそも出発点に自分の意志や欲求がないので、たとえ「やる気を出せ!」と言われても「君ならできる!」と発破をかけられても、できないものはできないのです。

欲しいものを手に入れるための努力はやめられない

一方、欲しいものが明確にあり「がんばれば手に入りそうだ」という見通しがあれば、それを手に入れるための「努力」はみなぎるやる気と闘志で真っ赤に染まるでしょう。

たとえ足もとの道が暗く険しくとも、ふと顔を上げれば遠くに燦然と輝くゴールが見えているので、歩みを止めることがありません。むしろ、やめられないでしょう。

このように勢いよくガツガツ歩き続けられるルートこそが「大した努力をしなくても勝てる場所」だと思います。

「場所」というよりむしろ「ゴールへの途上」といえるかもしれません。

そのような「場所」は、どうやれば見つかるか

先ほど紹介した「偏差値40以下の中学生だけを教える家庭教師」に注目すると、そこには次のようなポイントがあることに気づきます。

  • 置かれている競争環境を把握する
  • “無風地帯”を見つける
  • 自分の弱みを把握する
  • 弱みが強みに変わるための条件を見つける

特に2つめと4つめが重要です。

「学習塾がまったく相手にしていない、勉強ができないけれど、せめて高校ぐらいは卒業しておきたい、と考える親とその子ども」という無風地帯を見つけたことが突破口になり、

「基礎から親切に教えてくれそう、苦労しているから弱い人の気持ちが分かる」という、弱みが強みに変わるための条件がこの突破口を突き抜けるためのエネルギーになっていることがわかります。

“無風地帯”が見つかっても、それが自分にとって“追い風”になっていなければ、突破口にはなりえません。

自分のことを分かっていることが結局は勝つための条件ということになるでしょう。

考えるためのヒント

では、どうすれば「自分のこと」が分かるのでしょうか。

一言でいうと、「切実に埋めたいと思えるギャップを見つける」ことです。「短大出の家庭教師」の目を引いたのは、「有名私学を目指す」ことと「せめて高校ぐらいは卒業しておきたい」という2つの間に横たわるギャップです。

世の中を眺めた時に、どうしても放っておけないこと、あるいはなぜか引っかかることが少なからずあるでしょう。そこには自分の過去から現在に至るまでの間に身に起きた出来事と何かしら接点があります。

接点があるから、引っかかるのです。

自分というブラックボックスの中身をを分かろうとすれば、このように外に飛び出した引っかかりに注目するしかないわけです。

こうした引っかかりを丁寧に拾い集めていった先にたどり着くのが、
「自分にとっての戦うべき場所」です。

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本文でご紹介した「偏差値40以下の中学生だけを教える家庭教師」のような、いわゆる「弱者」がいかに死なずに戦い抜くかについて、生々しい事例とともに詳しく解説されています。

もう11年前の本ですがいまだに多くの人に読み継がれているようです。