やりたいことがそのまま仕事になる、というのはまれである。
思っていたのとは違った形で仕事になり、あとからふり返ってみると実に自分にフィットしていることに気づく。
やり方にこだわらず、自分がやりたいことの実態は何なのかを考えてみる。
否、考えても答えが出るとは限らないので、いろいろやってみる。やってみる中で忘れた頃にぶつかる。
成功の要因はその途上ではわからないし、後から振り返っても完全に特定できるわけではない。
自分でも気づいていないことが作用している場合もあるし、何もしなかったことがかえって良かった、ということもある。
大切なことは、すぐに結果が出なくても自分で「これだ!」と思えたことを愚直にやり続けることだと思う。
他人がやっていることに目を奪われて、自分ではしっくり来ていなくても「これをやれば、あの人みたいになれるはずなんだ」という一縷の望みのみに頼ってしまうと、早晩その“糸”はぷっつり切れて奈落の底に突き落とされてしまう。
であれば、人が何と言おうと自分がもっとも熱中できて、没頭できるところに時間とエネルギーを注ぎ込むほうが、少なくとも没頭している間は心地が良いし、不安もない。
そして、その先には「気づいたら突き抜けていた」という境地が待っている。
人と同じことをやるということは、突き抜けることを諦めるということに等しい。
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コロンブスは、みんなの前では平気なフリをしていたが、航海が当初の計画を超えた長いものになるにつれ、彼自身、「本当に大陸はあるのだろうか」と不安を感じるようになる。進めど進めど、見えるのは果てしなく広がる紺碧の海……。
そして10月6日、コロンブス率いる隊に危機が走った。
数人の船員が暴動を起こしたのだ。大陸が見つからぬままむだに日数だけが経っていく。食料も水も底をつき始めていた。しかし、コロンブスは「絶対、大陸はある」と言い張り航海を続行した。
ところが、3日経っても一向に陸地は見えてこない。ついに、船員たちの我慢も極限に達した。大規模な反乱が起こるのは時間の問題と思われた。
と、そのときである。はるかかなた、海の向こうにぽつりと小さな陸地らしきものが見えてきたのだ。
「やった、新大陸をついに発見したぞ」。コロンブスも船員達も手に手を取り合って喜んだ。新大陸発見の瞬間である。
こうしてコロンブスは新大陸を発見し、その功績により金銀財宝を手に入れることができたのだ。では、彼がこの成功を手にすることができたいちばんの理由はどこにあるのだろうか。僕は、彼が自分を信じ、「大陸を発見する」という願望を決してあきらめなかったことに尽きると思う。(p.102)
» ひとりで儲ける時代―夢を追い越した男「金と仕事」のド根性哲学