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人と違うことより自分にしかできないことを志向する

By: shrkCC BY 2.0


マンガはあまり読まないが、その中でも夢中になって読んだ数少ないマンガの1つに『ナニワ金融道』がある。

社会人1年目、22歳の時に生まれ育った東京から異国の大阪に赴任した。休日は誰とも会うことなく会社の寮のそばにあったうどん屋に通っていた。そこに置いてあったのが『ナニワ金融道』

名前は知っていたが開いたことはなかった。ちょうど大阪にいるのだし、読んでみるか、ということで読み始める。

スクリーントーンをいっさい使わない独特の画風と、人間心理の巧みな描写に引き込まれ、夢中になって読みふけった。

肉欲棒太郎(登場人物の一人)が口にする「一人では一人分しか稼げないが、2人なら、3人分も4人分も稼げる」に代表される、妙にリアルな、おそらく実体験がベースになっているであろう言葉が当時の自分には刺さった。

マンガを読みまくっているだけではこうしたマンガを描けるようにはならないのだろう。

  • 自分にしか描けないテーマを、
  • 自分独自の世界観で切り出し、
  • 自分ならでは表現方法で形にする。

この3つはマンガを描く仕事以外においても外せない条件である。人と比べられたときに少なくとも一目は置かれたい、と考えているならば。

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漫画にも、パチンコに似たような誘惑はあった。ボクは、25歳のときに漫画雑誌の懸賞に応募して佳作に入賞した。佳作にしても、入賞いうのは貴重なんや。ある程度たしかな才能の証になる。

しかし、ボクはその賞を取ったからいうて、すぐに漫画家として立とうとは思わなかった。漫画は絵だけが勝負ではない。絵だけなら、ボクには自信があった。人に負けない独自な絵を描けるいう自信はあった。

しかし、漫画は絵だけではない。テーマのようなもの、自分が描きたいものは何かという本題のようなものをしっかり身につけていなければ、「漫画家宣言」をしたところで、後が続かないと思ったんや。

テーマを探す、テーマを掘り下げる力をつける。それが不可欠やと思ったから漫画家としてスタートしなかった。

一度や二度は、誰が何をやっても成功することはある。しかし、それくらいでテングになってしまったら、大抵は失敗するとボクは思う。人生は、そんなに甘いもんやない。そういうことを、ボクはパチンコから学んだと思ってる。

だから、ボクは本当の実力をつけることを先に考えた。大阪のキタ新地でさまざまな水商売を渡り歩こう思うたのも、何か自分の「中身」になるものをじっくり身につけたい、自分の力を養ってからでないと失敗すると思ったからや。

そういう心構えで、現実の裏をじっくりみてきた。そうして養分を養ったから『ナニワ金融道』という息の長い作品を書けるようになって、漫画家として成功したんやと思う。(p.75)

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