生きることは失うことである。「生」と「失」は字が似ている。「生」を足元から引き裂いていくと「失」になる。形あるものはいつかは壊れる。生まれたものは確実にまっすぐに死に向かって突き進む(そして「失」なうものがなくなると「土」に還る)。
生きていれば、常に何かを失う。日々何かを失いながら生きている。何も失わずに済むのであればそれに越したことはない。しかし、人は失うことによって学習し、喪失から逃れるために努力をする。何も失わないとなれば、人は努力をしなくなる。
失って初めてその大切さに気づくこともあるが、失って初めてその無意味さに気づくこともある。
失ったものと得たものとでバランスシートを作ってみるとよくわかる。失うことは無くなることではなく、形を変えることだと思う。すなわちバランスシート上から消えることはない。
この一年でどれだけのものを「失った」だろうか。