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「Don’t think. FEEL!」

人間の予測の下手さは、数字に関して、よく見られます。ヒトの脳は抽象的な数字を扱うのが苦手で、その代わりに、物理的な予測についてはわりと得意です。たとえば、野球のフライ。高く飛んできたボールの落下点に入ってキャッチする。私たちは<カン>で落下点がわかります。これは物理学で解こうと思ったら結構、大変な計算量なのです。

もしボールの落下点をコンピュータに見つけ出させるとしたら、ボールの初速度と方向だけでなく、風向きや空気抵抗、ボールの回転数などを全部考慮しなくてはいけません。現実世界では途中で風向きが不規則に変わったりさえします。機械で計算するのは大変な仕事量なのです。でも、人間はカンで、素早く落下点に行くことができます。物理的なカンはかなり正確なのに、数字に関するカンは弱い。

『脳はなにかと言い訳する』より


いろいろと考えるよりも最初にピンと来た直感を信じた方がうまくいくことが多い。直感でひらめいた答えを検証するためにあれこれ考えた末に、最初とは違う選択をした結果、失敗すると特にそう感じる。こんなことなら最初の答えにしておけばよかった、と。

直感を信じて選択をすると、もっと冷静に考えればこんな早とちりはしなかったのに、と後悔する。

ところで、検証も後悔も、直感の対極に位置するものである。

ということは…。

» 脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)