「次は何をしようか…」とか「これもやらなきゃ…」「あれも…」などと思考を分散させてしまうことは仕事を片付けるうえで一番よくない阻害要因です。
早いうちに「これさえやればOK」というその日における“合格最低点”を見極め、その達成に向かって一気呵成に一点突破を試みれば、とりあえず“合格”はできるでしょう。
このとき、「見極め」と「突破」は異なるタイミングで行われます。まず「見極め」、そののちに「突破」です。
言い換えれば、考える時間と手を動かす時間を分けているわけです。
» SH005:仕事を早く終わらせたければ、熟考と実行を分ける
考えながら手を動かす同時進行作業は、地図を確認せず当てずっぽうに森の中を歩き回るようなもので、運が良ければさっさと抜け出せますが、そうでなければ同じ所をぐるぐる回り続け、しかもそれに気づかず時間と体力を消耗するばかり、ということになりかねません。
合格最低点はおろか出題範囲も把握せずに、やみくもに勉強をしても合格はおぼつかないでしょう。
やるべきことをあらかじめリストアップしておくことは、森の中を迷わず進むための地図を手に入れるようなものです。
最近読んだ『テンプレート仕事術』という本にも同じような記述がありました。
テンプレート化しておけば、「あれ、どうやるんだっけ?」「何か、忘れているのでは?」といった心配は一切なくなります。漏れなく、正確にその仕事を遂行することができます。
本書では「テンプレート」を「すぐに使用できる設定済みのパターン」と定義していますが、リストもまたテンプレートの一つでしょう。
さらに、テンプレートがあることにより、安心感が得られる、とも書かれています。
仕事をテンプレート化することで、「ちゃんと覚えなくちゃ」などというプレッシャーとも無縁になります。
考えながら手を動かすやり方のまずさは、このプレッシャーをまともに食らってしまう点にあります。ドラクエで言えば、「どく」におかされたままの状態で冒険を続けるようなものです。刻々と体力が奪われてしまいます。
実際のところ、リストを作るのは面倒ですし、実情にあわせてメンテナンスをし続ける必要があるために、ついつい後回しにしがちです。
でも、最初の導入の時間と手間さえ乗り越えてしまえば、あとはずっとゆるやかながらも下り坂を滑り降りる快感を味わい続けることができます。
逆に、最初のリストアップの時間や手間を惜しんで、勘や記憶に頼って仕事をしているとしたら、それは短期的には正解かもしれませんが、長い目で見るとかえって時間と手間を増やすことになってしまいます。