今回からはToodledoで“どんな風に”タスク管理をすれば良いかという感触をつかんで頂くべく、GTD(Getting Things Done)という情報管理の手法をベースに一連の流れを説明していきたいと思います。
という流れを受けて、私の方では大橋悦夫さんのTaskChuteによるタスク管理術を、Toodledoではどう実践すればいいかの説明にしていきたいと思います。
北さんがこの連載の火曜日を担当してくださっているので、私の方は北さんの連載に合わせる形をとります。本連載をお読みいただいている方には、私と北さんの連載を対照するように読んでいただければ、Toodledoに関する理解が一気に深まるでしょう。
ところで「TaskChute(タスクシュート)」って何?
シゴタノ!の読者さんなら先刻ご承知のこととは思いますが、TaskChuteとはシゴタノ!の管理人である大橋悦夫さんが、エクセルベースで開発された、タスク管理ツールのことです。
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そして、「タスクシュート式」とは、TaskChuteに盛り込まれている設計思想に基づいたタスク管理方式のことです。「タスクシュート式」を実践するためには、必ずしもTaskChuteを使う必要はありません。Toodledoでもよいわけです。
TaskChuteを使わなくても「タスクシュート式」を実践することはできますが、最低限度守らなければ「タスクシュート式」にはならないといういくつかの基本原則があります。それは以下の7つの原則です。
- タスク処理のログをとること
- タスクに時間の見積もりを設定し、タスクが終わったら何時になるかを先読みしていること
- タスクを「1日ごと」に処理しきってしまうこと
- タスクを処理する順番を先に決めること
- 1日を時間帯ごとに複数のセクションに分けること
- 「予定」と「タスク」を別のものと認識すること
- タスクをルーチン的に処理すること
急いで断っておきますが、以上7つの原則を完璧に墨守しなければ「タスクシュート式」と言えないわけではありません。たとえば、すべてのタスクがルーチンで処理できるわけではありません。仕事が回ればいいのです。
ただ、上記の7つの原則を、少なくとも志向する方針でのぞまなければ「タスクシュート式」ではなくなっていくだけのことです。
さらに1つだけ断らせてください。こうした「7原則」を書くと、「わかった!だから私にはタスクシュートが向かなかったんだ!」と簡単に「わかって」しまう人が多いのですが、全然わかっていないと思います。みなさん「わかる」のが早すぎます。
タスクシュートの設計思想は大変ユニークなもので、それだけに誤解されやすいものです。タスクシュート式にはたしかに欠点もあり、向かない人もいるでしょうが、ほぼすべての「わかった!」人の話を聞いてみると、それは誤解であるか、あるいは原則を無視しています。
タスクシュート式の発想は別に難しいものではありませんが、やってみないとわからないところがたしかにあります。やらなくてもかまわないものですが、やってみずして「わかる」ことはあり得ないものです。
では一つ一つみていきましょう。そしてそれぞれを、Todoledoではどのように処理してけばいいのかを、みていきます。
タスク処理のログをとること
もともとTaskchuteはタイムログをとるためのツールといっても間違いではありません。
Taskchuteの基本的な考え方は、徹底的なボトムアップ方式です。やったことをベースにすべてを組み立てていきます。
ですからToodledoでいえばこのような図が非常に大事なのです。事前のいとがどうであれ、私はこの図のように実際に行動したのです。だから今のような結果に至っているわけです。
もし現在の状況に大きな問題がなければ、もう一度上手のように行動すればいい。極端に言えば、チェックを外してもう一度それをタスクリストにしてしまえばいいのです。結果も悪くないし、一度やったのであればもう一度やることもできるはずです。
タスクシュート式とは、ログをベースに行動のリストを用意することなのです。
タスクに時間の見積もりを設定し、タスクが終わったら何時になるかを先読みしていること
Taskchuteにおいてもっとも印象に残りやすい機能がこれです。この機能があるゆえに、タスクシュート式における「タスク」は、「タスク」というよりも「アクション」とでもいった方がわかりやすくなります。
簡単に言えばこういうことなのです。
これとそれとあれとあれをやったら、何時になっている?
今が朝の9時で
「これにかかる時間」+「それにかかる時間」+「あれにかかる時間」+「あれにかかる時間」=4時間
9+4=13
だから13時?
そうはいきません。
なぜなら「これとそれとあれとあれ」をやる間に、他にもいろいろなことをしなくてはならず、省くことができないからです。この理由だけでも、「あらゆるアクションにかかるであろう時間」を全部決めて足し合わせる必要があります。
全部の行動足し合わせた結果を見るためには、Toodledoを使うならEndTime2というブックマークレットが必要です。結果は次のように表示されます。
▼EndTime2
EndTime2 | ToodledoTips Blog
「これとそれとあれとあれ」をやって何時になっているかがわかるということは、途中のすべての時間経過もわかっていくことを意味します。はたして「これとそれ」をやった時点で午後16時になっていて、そのあと「あれとあれ」ができるのか?
知らずにやっても知ってやっても、この問いには絶対に直面することになるでしょう。
タスクを処理する順番を先に決めること
この原則は次の2つの原則と実は同じです。
- タスクを「1日ごと」に処理しきってしまうこと
- 1日を時間帯ごとに複数のセクションに分けること
この3原則は同じことなのです。ただ、サイズが違うだけです。
例えばこれは「セクションG」すなわち16時から18時の間に処理するタスクリストですが、この中の処理順はどうでもいいように思われるかもしれません。もちろん好きなようにやってかまいません。
しかし、もしこのセクションをさらに小さく割っていったら、どうなるでしょう? 今は2時間のセクションです。しかしそれをさらに1時間。さらには30分。そして15分と割っていったら?
最後には、1つのセクションには1つのアクションしか入れる事ができなくなるはずです。すなわちそれが、GTD流にいえば、ネクストアクションです。「順番を入れ替える」というのは「先送りする」ということです。よく考えてみれば、そういうことのはずです。
前後依存関係がなくても、ある仕事は午前中が向いていて、別の仕事は夕方がいい、ということはあるでしょう。ここで午前中だとか夕方だというのは、それが認知しやすい「時間帯」だからです。でもそれを厳密につきつめていけば、ある仕事は別の仕事より前がいいし、ある仕事は夕方17時頃がいい、というようになっていくはずです。
絶対にやることだけをリストアップしてみて、しかも二度と順番を動かせない、動かす度に1万円の罰金が発生する、と思ってみてください。タスクを並べる順序は極めて合理的なものにせざるを得なくなります。
今度はサイズを逆に大きくしてみます。つまりセクションの束である「1日」をまたぐようなアクションを考えるわけです。
そのようなアクションは、少なくとも2つ以上に分ける必要が出てきます。ほとんどの場合これが「プロジェクト」というものです。
ここでもやはり「先送り」とは順番を変えることなのです。「今日絶対やる」はずのものを、「今日やるすべてのアクション」より後ろに持っていこうとするのが「先送り」です。
今日やるすべてのことの中に、今日やらなければいけないものを混ぜ合わせ、それを一日のどの時間帯にやるかを割り当て、最後にセクション内部の順番を決める。
そのリストの一番上に来たものに、取り組む以外の選択肢はないわけです。あるいは選択肢がないような組み合わせ方にするべきなのです。
「予定」と「タスク」を別のものと認識すること
すでに何度か述べてきたように、「予定」と「タスク」はタスクシュートでは異なる概念です。そして理想的には、「セクション」は「予定」で区切るべきです。
実際私には8時には「朝食」という予定があり、12時には「昼食」という予定があり、18時には「お風呂」という予定があります。だからこそ、「セクションB」は8時に終わり、「セクションD」は12時に終わり、全セクションは18時に終わるわけです。
「予定」は開始時刻を他人と約束したものですから、守るべきものです。「予定」と「予定」の間にタスクが入るだけ入ります。これが「セクション」の原型なのです。
「セクションD」のトップである10時からには、「10時スカイプ」が入っています。これは「予定」です。この前でセクションが切れるのは極めて自然です。
次に「セクションE」のトップである12時からには「昼食」が入っています。これも「予定」です。
セクションはこのように予定で始まり、次の予定の前で切れるべきなのです。なお私は、星印と優先順位でタスクの順番を決めていますから、予定の多くは★つきの「3Top」になっています。
タスクをルーチン的に処理すること
Toodledoのルーチン機能については、Toodledoの使い方 第8回 リピート機能を使いこなすで詳しく紹介していますので、使い方はそちらを参照してください。
タスクをこなしていく上ではどうしても「「これとそれとあれとあれ」をやる間に、他にもいろいろなことをしなくてはならず、省くことができない」という事実を頭に止めておく必要があると思っています。
人は食事をとりますし疲れますし意味のあることだけをやり続けるとムリが来ます。その無理を押してやらなければいけないとなぜか信じ切っている人もいますが、その無理を押してやってはならないと私は信じ切っています。
タスクをルーチン的に処理することで、流れは読みやすくなりますし、アクションこなしやすくなります。そもそも毎日一定量の仕事をこなすためには、どうやっても削ることのできないルーチン的なアクションと、以下に摩擦なく組み合わせるかという発想が必須です。
同じセクションで、同じ時間をかけ、ほぼ同じ位置で確実にこなせることが多いほど、他のアクションも遂行できる確率が高くなります。時間に切れ目がないように、アクションも本当は連鎖しています。何かが狂うと、連動しておかしくなってしまう行動が発生します。
「一日」を安定稼働させるには「ルーチン」の取り扱いが鍵を握るのです。
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▼東京ライフハック研究会で講演します
10月30日 東京ライフハック研究会Vol.7ー"SelfManagement Hack!" (東京都)
いったん満員になったのですが、その後キャンセルが出たようで、ちょっとお席に余裕ができています。この日は私自身のタスク管理と、Evernote整理をからめた「マネジメント」に関する話をさせていただく予定です。1時間で収まりきるようにがんばりますので、当日遊んでいただける方はぜひ来てください!