この本は面白くてレビューでも好評です。
レビューを読む限り、一日の見通しというのはその日になってみなければ、ふつうはわからないものなのです。
ときどきタスクシュートをよく理解していそうな人でも、「これは時間割で代替えできるのでは?」と誤解なさっています。
つまり次のようなテーブルで、代替えできると言うのですね。
でもこれではタスクシュートの代替えには決してならないのです。
「今日の見通し」はその日にならないとたたない
タスクシュートを検討しているかたがよくもらす不満として、
「他の人はどうかわからないが、自分の毎日はそんな決まりきったものではないのだから、そうそう予定どおりにいかないし、ましてシミュレーションなんかできない」
というものがあります。
まさに「そうそう予定どおりにいかない」から、上にあげたカレンダーによる時間割では済まされないのです。
私のだってそんなに予定どおりにいきません。
当日になって発生するあらゆることを、それこそ預言者みたいに予想しきれる人など、いません。
大きな地震が来たら、仕事は中断させられるのです。それを完璧に予測できるくらいなら、その能力で十分に食べていけそうですから、私は違う仕事をしているでしょう。
電話にしても、誰かが尋ねてくるのでも、メールでも、全部、予測しきれないことがらばかりです。シミュレーションというのは、予測しきれない時にやるものです。
カーナビは、高速道路の状況を考慮しながら、到着時刻を予想します。カーナビにそれができなかった時、私たちは、道路交通状況をラジオで聞いたり、サービスエリアで「この先の道路状況がどうなっているか」をモニタで確認していたはずです。
そういうことを、週間の時間割に組み込めるかといったら、そんな事はなかったでしょう。
今でも、ないでしょう。
時間の使い方というのは、その日の、その時になってみないと、判断がつかないので、直前になったところで直後の状況をチェックする必要が、どうしたってあるのです。
だから、冒頭で紹介した「18分の法則」の著者も「まず当日の朝か、せいぜいその直前の夜に計画を立てるように」と、述べているわけです。
ステップ1(5分):朝の時間
Bregman氏は、前夜もしくは朝のうちに前もって計画を立てることを推奨しています。
「前もって」ではあっても、その「前」とは、ようするに「1日が始まる直前」なのです。このタイミングが、「今日はこれでいけるか?」を判断できるギリギリです。
そしてこのタイミングで「ちょっと時間がとれそうもないけれど、これだけはやろう」ということを組み入れておかないと、忙殺のうちに1日が過ぎ去ってしまうと考えているわけです。つまり「7つの習慣における第2領域のための時間」は「1日が始まる直前」に計画されるべきものなのです。
私もこれに同意します。
シミュレーションどおりにいく日は存在しない
とはいえ、1日の最初に想定したとおりに、実際の1日が進むというわけには、まずいかないでしょう。
だから、計画表は、1日の途中でたびたび、書き直されることになります。
この意味でも、週間の時間割だけでは、足りないのです。
ステップ2(1時間に1分×8時間):軌道修正
時計や電話などで、1時間ごとに鳴るアラームをかけてから、スケジュールにリストアップされた仕事を始めましょう。
アラームが聞こえたら、直前の1時間を生産的に過ごせたか自問しましょう。
それからスケジュールを見て、次の1時間の使い方を意識しながら慎重に仕事をするのです。
書き換えるというこの考え方は、タスクシュートユーザーにはおなじみのものです。
このステップがあるから、タスクシュートが有効なのです。
タスクシュートになじめないという人も、たすくまもTaskChute2も使わないとしても、「ステップ2」は必ず実行するべきです。
1日がシミュレーションどおりになどいくはずがないから、事前に1日の予定表を作るのなどムダだ、という人ですら、1日の実情に合わせて頻繁に予定を組み直すということは、しないものです。
「想定どおりにいかない」のであれば、「想定と違う」からこそ並べ替える必要が発生しているわけです。
それが1時間に1分ですむのであれば、した方がいいと、思うのです。
「第2領域の時間」だけではなく、他のあらゆる予定に関わることも、組み替えても組み替えても、なかなかうまく消化しきれないはずです。
だからいやになるという意見もわかるのですが、理想の計画が実行に移されないのは、他のことをやっているからです。
その他のことを、実際どのようにやったのか、あるいはやらされたのか、目で見て確認するべきです。
すると驚くべきことがわかります。
「たしかに理想どおりにはまったくいっていないが、どの時間にやったことも、そうせざるを得なかった」とわかるのです。
ある意味で、現実とは理想以上なのです。
理想では、あれこれやりたいと思っても、現実には、それ以上の要求がくるために、理想が押しのけられるわけです。
実際、「緊急」を押しのけて「緊急ではないが重要」なことを優先すれば、一時的であっても「現実」の価値は下がります。
それは気持ちの良くないことです。
のどがカラカラなのに水分補給せず、トイレに行くのもガマンして、英語の勉強を続けたりするのは、何かを強引に転倒させている状態です。
見通しはそもそも気持ちのいいものではなく、それすらもスマートに実行されず切れ切れになって、なおかつ「現状の価値を一時的に低下させた」としてもやりたいと思うことだけが、実行できることになります。
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「どうして情報整理などが仕事の役に立つのか?」と思う人ほどおすすめです。
あっという間に読み終わります。テンポの作り方がいいです。
なぜこんなことになるのか?
と思うことが仕事ではよくあるのですが、混乱の原因にも対策にもリアリティが感じられます。
やるべきことは、非常に簡単なことです。
というよりも、簡単そうに見えます。
しかし最大限少なめに見積もっても、半数の人はまったくこれをやっておらず「なぜ、こんなことになるのか?」を毎日繰り返しています。
思うにここで解説されている「情報整理術」は一見したところほど簡単ではないのです。
こういうやり方に対して一定数登場する「拒否感」の正体は
- こんなこと全部わかっているよ
- いちいちやっていられない
- こういうことが問題の本質じゃないよ
といったことではなく「整理は意外に難しい」ということなのではないかと最近思うようになりました。
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