時間は限られているので、成果を上げたければ成果につながる行動を増やし、成果につながらない行動を減らす必要があります。
ここで問題になるのは感情です。
人は感情に大きく左右される生き物なので、気分というものが実は非常に重要なファクターになっています。
仕事をしている時でも、人と何かについて話をしている時でも、ゲームで遊んでいる時でも、あるいは部屋でぼーっと過ごしている時でも、そこに気分がよくなるような原因が用意されていれば、それが意図的にもたらされたものであれ偶然そこに居合わせたものであれ、結果は良好になりやすいのです。
たとえば、あまり気の進まない仕事が目の前にあったとします。
気の進まない仕事ですから、それに取り掛かることはあまり気分のよいものではありません。結果として、より気分のよくなる仕事に向かってしまいます。気分のよくなる仕事が見当たらなければ、気持ちは仕事以外のことに傾いていくでしょう。
その「気分のよくなる仕事」が成果につながる仕事であればよいのですが、つながらない仕事であれば、事態はいっそう悪化します。
このようなことを繰り返していては、いつまでたっても前に進めません。
考えなくてもできることを増やす
毎日繰り返す習慣(起床や入浴や食事)は、あらかじめ“水路”を作っておき、そこに毎日水を流し込むだけで、一連の習慣がすべて漏れも滞りもなく実行されるようにする、言い換えれば何も考えなくてもできるようにしてしまうとスムーズに流れるようになります。
「ムダな思考や行動」は単に時間を浪費するだけにとどまらず、脳に余計な負荷を与え、疲労やストレスになるので、可能な限りパターン化することで省力化するわけです。
このように生活をパターン化することの実態は、“考える時間を天引きすること”だと考えられます。そうすることによって、行動せざるをえない状況ができるからです。
行動さえできれば、とにかく結果は得られます。結果が得られれば、その結果を評価することで次に進むことができます。「もっと良い結果を得たい」と評価すれば、行動を変えるという新しい行動が引き出されるでしょう。
望む成果をはっきりさせる
「本を読んだりセミナーを受けるなどして知識を得たら、それを実践しないと意味がない」とはよく言われることですが、なかなか実践する人は増えません。
これには2つ、理由があると考えられます。
- 何をどうしたら実践したことになるのかが明確ではない
- 望む成果が明確ではない
人はやったことがないことに対しては、必要以上に難しくとらえるものですし、「できれば(今のままでいられてラクな)現状維持でやりすごしたい」と考えているために、その維持したい現状を破壊しかねない「実践」に対して抵抗を覚えるのです。
その一方で、さほどに維持したいと思っている現状にも関わらず、100%満足しているわけではないので、どこかでこの現状を打破したい、という意向も合わせ持っています。
たとえば、以下のようなことです。
- 散らかった部屋をどうにかしたい
- 野放図に増え続けるEvernoteの中身を整理したい
- 溜まりまくったRSSの未読を効率よく処理したい
- 放置している積ん読本を一気に読み切りたい
いずれも、すぐには望む結果が得られないものばかりなために、「まぁ、とりあえず時間のある時に何とかしよう」という保留を続けることになります。
こういった保留を一つでも解除して、実現に向けての第一歩を踏み出すことができれば、時間はかかるかもしれませんが、必ず望む成果が手に入るはずです。
実践ができないとしたら、この「望む成果」がはっきりしていないからかもしれません。
逆にいえば「望む成果」さえはっきりすれば、「どうにかして実現したい」という想いが束になって現状を打破するのに十分なパワーが生まれます。
従って、「どう実践するか」よりも「何を得たいか」という望む成果をはっきりさせることが先決になります。
まとめ
効率アップは手段です。
「成果を上げるためのノウハウ」は、具体的にどんな成果を欲しているのかが明確な人にとってはクスリになりますが、とにかく現状を打破したいと考えている人にとっては毒になる可能性があります。
ノウハウは自分の外にありますが、望む成果のイメージは自分の中にしかありません。
- どんな成果を得たいのかをじっくり考え、
- それを得るのに最も効果的な方法を手を動かしながら見つけ出し、
- 一つひとつ試し、
- 得られた結果が望んだ通りのものかを確かめる
このサイクルを繰り返し回していくことで、らせん状に上昇していくことができます。
このサイクルを飛ばして「最も効果的な方法」だけを探し続けると、同じ所をぐるぐる回ることになってしまいます。